Center:(4)引きこもりの体験発表と交流・相談会
(4)引きこもりの体験発表と交流・相談会
この投稿を見て連絡をよこしてくれた人にも、私は4月末の人生模索の会の案内をしていった。
当然のことだが、投稿を見て、直接に相談に来られる人も少しいた。
4月29日の第3回の集会の様子は、ある雑誌に書きました。
そのうち関係するところを抜粋して紹介しておきます。
<カウンセリング的効果>
引きこもりの体験発表と交流・相談会として4月29日に行った。
不登校情報センターのスタッフ会議の席で参加したある女性が、「自分の引きこもりの体験を話す」と、勇気をもって言いだしてくれた。
29日の参加者は、体験者と体験者の家族が20人だったが、サポート役として加わった私たちスタッフの中にも不登校や引きこもりの体験者がいる。
小グループでの交流会は四つに分けて行った。
女性の体験者とその親。
男性は24歳以下と25歳以上の2グループ。
そして、29歳の男性を孫にもつ祖父の相談とそれを囲む数人。
それぞれスタッフも参加して学ぶ。
結果は予想通りの展開になった。
これまで人と話し込んだことはないと言っていた体験者が、気がつくと夢中になって話し合っている。
引きこもりの子をもつ親が、何らかの手がかりを得ようとして体験者に質問する。
体験者は自分の経験を話し、その話自体が質問者の役に立っている。
1時間半の予定が、気がつくと1時間以上延長していた。
その後も近くのファミリーレストランに場所を移し、構成を少し変えた4組の小グループの話し合いはなおも続いた。
<話せれば前進だ>
この会合を問い合わせた人は全部で26人いたが、このうち実際に参加したのは7人で、予約なしの参加者は13人いた。
出席しなかった人とは何か。問い合わせだけだった人もいるだろうが、多くは心理的要因だったと思う。
学校へ行くつもりなのに登校できない不登校と同じ心理的な要因だと思う。
実はこれが最大の課題なのだ。
ともかく出て来られれば、それだけで一歩前進になるからだ。
会合の参加者にアンケートをとったところ、こう書いてあった。
「いろいろ話せてたのしかったです」「おもいきって来てよかった」「また開いてほしい」「いまの状況を思いっきり本音で話せる場はとても大事で意味があった」。
今後の課題は運営の方法だ。
まず、会の参加者同士が日常的に話し合える関係になることが大事だろう。
これまでの私の経験では、参加をくり返すなかで、顔見知りになり、お互いに相手がわかっていく過程がすすみ、友人関係になる。
なかには恋愛関係になる男女もいると思う。
そういうことを促すように運営方法を改善することだ。
課題はあっても、交友方式の場なら専門家でなくてもできるのではなかろうか。
全国のあちこちで、このような心を開いて話し合える場が生まれることを期待している。
(『論座』2000年7月号「『引きこもり』最良の教師は体験者」
この第3回の形式と同じものは、その後の人生模索の会にはない。
ただ雑談中心や二次会などどこかにかよっている点はある。
会終了後、ファストフードへ行くのがファミリーレストランになっている点が違う。
もう一つは、引きこもりの人、その経験者あるいは家族も関心を寄せながら、参加すると予約しながら、実際には参加できない人がいるということも注目される。
予約しないで参加しない人もいるが、だぶん参加したいと思いながら予約はせず、しかも参加できなかった人もこの数字以上に多数いると推測された。
当事者の会を開くというのは、こういう背景のなかにいることだ。
それはこれまでの通信生・大検生の会、こみゆんとクラブで何度も経験してきたことだ。その一端が数字的にも示されたものだと思う。
そして、私がこの原稿の『ひきこもり』最良の教師は「専門家でなくともできる」という点でした。
見出し自体は、雑誌編集部でつけたものだが、その見出しの内容を生かすベース、土台、いわば対応(サポート)の受け皿は、「専門家でなくともできる」――私はそう言ったのです。
それから約半年をして、2000年の秋には、人生模索の会は毎週水曜日(ウィークディに開かれるようになっている。
この時期は、後述しますが、『ひきコミ』の創刊を準備していた時期に当たります。
人生模索の会を週1回、しかもウィークディにした。
これには二つの理由があります。
集まる機会が月1回程度では少なくて不十分であるのを改善すること。
しかし毎週土曜日や日曜日にすると、私の負担が大きくなる。
会場はこれまでは主に公共機関の会議室などをかりていたが、それもやめた。
当時、不登校情報センターの事務所は、マンションの一室で、スペースは7坪、そこに机2つと作業台が1つが入っていて狭かった。
そこに人生模索の会の日には30人前後がつめかけ、文字通りからだをくっつけあって雑談する光景ができた。
私はその日は仕事をするのをほとんどあきらめ、この雰囲気ですごすことになっていた。
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