(8)外国の学校(説明)
「高卒(同等)の種類と取り方」は1996年発行の『定時制・通信制高校と大検の活用』に書いたものです。今日でも有効ですが一部は古くなっています。全体を調べなおすことはできませんのでこのまま転載いたします。〔2012年9月21日〕
外国の学校
大学受験や資格取得に必要な高卒は、海外の学校を卒業した人でもいい。
日本の高校を出ていなくても、「高卒」「高卒同等」と扱われる。
だから、海外で学び直すのも、「高卒の資格を得る」方法の一つと考えられる。
学校・支援団体の解説構造の「学校関連」
目次 |
①外国の教育機関で12年の課程を修了
学校教育法施行規則によってきめられている日本の小学校・中学校・高校に当たる合計12年を外国の教育制度で修了した人は、この規定によって、高卒同等者として認められている。
中学卒業後、外国の高校を卒業しても同じことになる。
ちょっと話がズレるけど、この外国での12年の修了は日本における大学入試では人によって有利になったり、不利になったりする。
日本の多くの大学ではこの海外の修了者に対して「帰国子女」という特別枠を設けていたりする。
教育制度の違いによるハンディを緩和するための優遇枠だ。
しかし実際にこの特別枠で大学に入学できるのは、外国の教育機関での成績優秀者になってしまう。
多くの外国での12年教育修了者はこの特別枠を利用できず、日本の高卒者と同じ立場で大学入試に臨むことになる。
そうするとどうなるか。
日本の教科書で学んできた人が有利になる。
国によって教科の分け方が違っていたり、その中でどんなことを学ぶのかも違っているし、教科選択(数)も違うのだから、外国で学んだ人が不利に作用することになりがちだ。
特に国公立系大学でその傾向が出やすい。
一芸入試のような、特に何かに長けた点を評価する大学においては、この外国での12年修了は有利に働くこともある。
その大学入試における有利・不利と、社会に出てから通用する力はまた別。
そういういくつかの要素を知っていた法がいい。それでも以前よりは改善されてきた。
②日本の高校に在籍し、1年間の高校留学
高校生活3年間(または4年間)のうち1年を留学に充てる制度が認められている。
この場合、在籍する高校は、全日制でも定時制でも通信制でもかまわない(学校によっては制度として導入されていないところもある)。
たとえば2年生を休学し、9月にアメリカの高校に入り、翌年まで留学。次の年の4月に3年生に復帰して、翌年卒業である。
この間4年を要す。
2年生の4月から8月の5か月間は語学留学に当てることが多いので、時間的ロスとはならない。
留学1年だけでなく2年に延長したくなったらどうすればいいのか。
もしかしたら帰国後日本の大学に進学する場合に不利にならないかなど心配面はある。
でも、貴重な体験をする、と考えれば総合的には不利とはいえない。
個人個人の判断の問題になるだろう。
注意点は、事前に在籍する高校での話し合い。
休学願いを提出したまま、1年の留学を果たして帰ったところ、在籍し休学している高校では事情が全然知らされていなくて、留学での履修単位は認められないというバカな事態を招かないように。
実際には留学を1年しても、日本の高校でも3年間学習する生徒がかなり多い。
多くは大学入試への対応である、と言われている。
③日本国内にある外国の学校から留学
特別な形だけど、外国の政府(またはそれに準ずる機関)が公認している高校が、日本に分校みたいな(!?)国際高校を設けている場合がある。
1年生は日本のその学校で学び、2、3年生はその国(アメリカ、カナダなど)の本校に留学することになる。
1年生は、いわば留学の準備期間をも兼ねる教育課程になる。
この種の国際高校がほんの数校だがある。留学時の語学のハンディから生まれる時間ロスを改善する面で有利に働く。
反面、もし中退なんかしたら、どこからも高卒の資格への橋わたしがなくなるというリスクがある。
④外国の通信制高校へ入学
さらに特別の形になると思うけど、外国の通信制高校のスクーリング協力校が日本にある。
単にスクーリングだけでなく、ファクスやパソコン通信を使って日常的に学習の援助や相談もしている。
外国の通信制高校(および教育制度)には、スクーリングのない所もある。
日本にいながらにして、通信教育によって外国の高校の卒業をめざす人もいる。
⑤国際バカロレア資格
主にインターナショナルスクールにおいて、外国の大学に入学しようとする人の不都合を緩和するためにつくられた、国際的大学入学資格。大検の国際版ってところだ。
国際的といってもヨーロッパ中心のもので、十分に国際的なものとはなっていない。
この制度に加盟している外国の学校の修了者は、日本でも高卒同等と認められ大学入学受験が可能になる。
日本の国内にあって外国の教育制度による高校教育に相当する課程(それが初等教育から累計12年の課程)であれば、本来的には、12年の教育課程を修了したものと考えられて当然だ。
ところが不思議なことに、基本的にはこの場合は高卒(同等)とはみなされていない。
この点は、別に触れる(第4章)。ただ国内にあるインターナショナルスクールのうち、国際バカロレア制度に参加している学校の生徒は、この制度によって国際バカロレア資格が得られ、高卒(同等)と認められている。
⑥日本の教育制度による在外教育施設
日本にある外国の学校(⑤のケース)とは逆のケースが、海外にある日本の教育制度による学校だ。
在外教育施設の高校教育に相当する課程の卒業生は、高卒とされる。
これも2種類あって、主に外国に居住する日本人社会による学校((日本人学校という)と、日本国内に本拠をおく学校法人などが、外国に校舎を設け(現地の法人による設立)、日本在住の生徒を留学(のように)させるものである。
後者は一般の留学と同じではないが、外国生活を体験する意味はある。
主に日本人教師が、日本人生徒を対象に日本の教科書に基づく教育課程を教えている。
⑦アビドゥア資格
大学入試に関し高卒同等以上の学力認定の文部省告示、「ドイツ連邦共和国の各州において大学入学資格として認められている」というアビドゥア資格が加わった。
国際バカロレア資格がフランス起源のものとすればアビドゥア資格がドイツ起源のものだ。
『世界大百科事典』(平凡社)によれば、「今日でも(ドイツ)連邦を構成する州の文部省が監督し、ギムナジウムおよび総合制中等学校の校長の責任で実施されている。
試験は一般にドイツ語による論文と受験者が履修した課程に応じた2科目について行われる……」と紹介されている。
ドイツ在住の日本人の子どもを対象にした措置と思うが、実は詳しくはわからない。
(1)高校卒業資格の意味(説明)
(2)定時制高校(説明)
(3)単位制高校(説明)
(4)通信制高校(説明)
(5)大検(大学入学資格検定)(説明)
(6)全日制高校(説明)
(7)盲学校・聾学校・養護学校高等部(説明)
(8)外国の学校(説明)
(9)高等専修学校(専修学校高等課程)(説明)
(10)海員学校(説明)