(4)通信制高校(説明)
学校・支援団体の解説構造の「学校関連」
「高卒(同等)の種類と取り方」は1996年発行の『定時制・通信制高校と大検の活用』に書いたものです。今日でも有効ですが一部は古くなっています。全体を調べなおすことはできませんのでこのまま転載いたします。〔2012年9月21日〕
通信制高校
学校で勉強する代わりに、主に自宅でレポート(テストみたいになっているプリント)を作成して学校に送り、月2、3回学校に行って授業を受けて(スクーリング)、またテスト(試験)により4年(または3年)以上かけて高校卒業資格を取るのが通信制高校だ。
レポート作成によるものを添削指導、スクーリングによるものを面接指導という。
公立は各都道府県に1校以上あるし、私立も全国で25校ある。
単位制の通信制高校もあるけれど、通信制高校はもともと「単位制的発想の高校」なので、学年が設けられていても(○年次生という言い方が多い)一応便宜上のものだと思ってもいい。
通信制高校を卒業しても、得られる高卒の資格はほかの高校とまったく同じ。
たまにしか学校に行かなくたって、文化祭や体育祭や遠足などの行事もあるし、定期試験もある。
学校に友達をつくっている人も多い。
ちょっと違うのは学割で「定期が買えない」こと。
通っている人の年齢層がものすごく広いこと(最近は10代の若い人も多くいる)。留年(留年数オーバーによる退学)がないこと(卒業するか自分からやめると言うまで、何年でも在学可能)。
受験・再受験と転・編入が一番「楽」なのが、この通信制高校。受験は新中学卒業生、再受験は単位を一つも取れていない人ともう高校をやめちゃった人。
あとの人は、在学してるけど単位を一つも取っていない人を含めて転・編入扱いになるだろう。
前の高校で取った単位は、単位制高校と同じように、卒業に必要な単位として認めてもらえるから、高校在学中の人は1単位でも多く取っておいたほうがいい。
受験・再受験も転・編入も、願書など書類の提出は必要だが、試験というほどのものはない(単位制が併設されている一部の学校に入試がある)。
やる気を確認するために、作文提出や面接のある場合もあるが、ほとんど「受付順合格」に近い。
学校に1日も通っていない人でも、「オール1」でも大丈夫。
再受験の人は、所定の期間に願書と中学校からの調査書などを提出すること。
3月末~4月にかけてが募集期間であることが多い。
まだ高校に在学している人は、先生に相談すると必要な手続きのほとんどを学校経由で行ってくれる(転校扱い)。
もうやめちゃった人は、必要書類(願書と単位修得証明書=元の高校で発行してくれる)をそろえ、自分で提出すること。
通信制高校の場合、在学しているか・していないかの違いは、書類を学校でそろえてもらうか、自分でそろえるかの違いだけだ。
入るのが一番「楽」だけど、続けるのは一番難しいのが、この通信制高校かもしれない。
だって、自宅で自力で、計画的に勉強しなきゃいけないんだから。
自習用には教科書のほかに学習書(とっても詳しい教科書みたいなやつ)はあるけれど、自宅学習する習慣のない人にとって、勉強の超苦手な人にとって、毎週のようにレポートを作成するのはキツイことは確か。
それに、働きながら学ぶ人のことを考えて、スクーリングは休日に設定されている場合が多い。
レポートを出すのが面倒になって、休日をつぶすのがイヤになって、通信制に「在学しているだけ」の人もけっこういる。
スクーリングには、協力校といって数校が指定され、比較的近い高校に通学するようにしている所がかなりある。
地域単位で集団学習を行い(スクーリングに準ずる)、生徒の学習を支援しているところもある。
気の合う仲間で一緒に勉強しているグループもある。
レポートを最終指定日までに全部出すことが単位認定の試験(中間試験など)を受ける資格となる学校があるが、この場合「レポートのできが悪くても試験で何とか」は期待できるけど、「レポートは出していないが試験で何とか」は期待できない。
それでも、「勉強したい、絶対高卒の資格がほしい」という強い意志を持って、仲間をつくって自主的な勉強会を企画したりしながら、通信制高校でがんばっている人はたくさんいる。
通信制高校生を受け入れ、学習の援助、学習習慣のリズムをつくるような学習塾もある。
近く『不登校・中退生と民間学習援助機関』(仮題、東京学参)という本がでるので、それを参考にするといい。
自学自習で続けられるようにサポート(支援)校を自称しているところは、その手の学習塾やフリースクールだ。
通信制では、取った単位は何年たっても有効だから、もし途中で続けられなくなっても、続けたいときはいつでも、大人になってからでも、おばあちゃんになってからでも勉強を再開できるっていうのも、通信制高校のいいところだと思う。
実際にみんなのお父さんくらいの年齢の人や、先生より年上の生徒も珍しくないようだ。
(1)高校卒業資格の意味(説明)
(2)定時制高校(説明)
(3)単位制高校(説明)
(4)通信制高校(説明)
(5)大検(大学入学資格検定)(説明)
(6)全日制高校(説明)
(7)盲学校・聾学校・養護学校高等部(説明)
(8)外国の学校(説明)
(9)高等専修学校(専修学校高等課程)(説明)
(10)海員学校(説明)