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カテゴリ:岡山県(地域)

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(くらしと憲法 岡山を歩く:1)生存権 貧困の子に「居場所」 /岡山県
夕暮れ近づく県南部の一軒家。学校帰りの中高生が次々と入っていく。「そろそろご飯よ」。
そら豆とタマネギのかき揚げ、豆ご飯、みそ汁が並んだ食卓を、子どもと大人が4人ずつ交互に座って囲んだ。
男子生徒が茶わんを差し出すと、「何杯目?」と笑いが起こった。
8人は家族ではない。ここは地域の住民グループが昨春始めた貧困家庭の子のための「居場所」だ。
平日午後7時まで、「おかえり」と出迎え、その日の出来事に耳を傾けて勉強も教える。
グループの会費や地域の寄付で運営しており、すべて無料だ。1年間で延べ約1300人が利用した。
押し入れの中でご飯を食べたり、マヨネーズまみれにして食べたり。行動に家庭環境が垣間見える。
落ち着いて勉強できる場所がないと学力に影響するのか、小学生向けのドリルに頭をひねる中高生もいる。
中学3年の男子生徒(14)は、ほぼ毎日やってくる。母子家庭で、母親が酒浸り。中学を今春卒業したばかりの兄が働いて家計を支えている。
母親から無心されることもあり、兄弟は早く家を出て行く算段を立てている。
それでも親への気遣いなのか、「家で食べるのと同じくらい楽しい」と言った。
あるスタッフは「貧困は目には見えにくい。経済的な貧困だけでなく、内面の貧困もある」とつぶやく。
生徒は最後に本音を見せた。「ここでは大人と気軽に話せるのがいい」。表情には居場所を見つけた安堵(あんど)感が漂っていた。
〔2016年6月22日・貧困ネット、平成28(2016)年6月14日 朝日新聞 大阪地方版朝刊〕 
  

周辺ニュース

発達障害の支援 法改正で成人期を手厚
来月2日は、国連が定めた世界自閉症啓発デーである。
8日までの発達障害啓発週間の期間中、岡山県内でも岡山城天守閣(岡山市)や備中国分寺五重塔(総社市)などを夜間、青く照らし出すブルーライトアップをはじめ、啓発活動が行われる。
発達障害は、対人関係が難しい自閉症やアスペルガー症候群、衝動的に行動する注意欠陥多動性障害(ADHD)、読む、書く、計算するなどのうち特定の習得が困難な学習障害(LD)の総称である。
その理解と支援をさらに広げたい。
発達障害者支援法が2005年の施行後、初めて改正される見通しだ。超党派の国会議員が今国会での改正を目指している。
支援法は、障害の早期発見や学校教育、就労などで、国や地方自治体の基本的な責務を定めている。
確かに、発達障害の名前は広く知られるようになったものの、日常生活での困難さに対する理解はまだ十分とは言い難い。
とかく子どもの問題と思われがちだが、「大人の発達障害」が大きな課題と言える。
岡山県が支援法に基づき、社会福祉法人旭川荘に委託し設置している「おかやま発達障害者支援センター」(岡山市北区祇園)が14年度に応じた相談のうち、65%の199件は19歳以上の当事者や家族からだった。
その6割は高校まで診断を受けることなく過ごしてきたが、就職や大学進学後に人間関係などの悩みを持つようになった人たちだ。
相談内容は仕事についてが多く、4割を占めている。離職して引きこもる人も少なくないという。
発達障害の支援体制は、幼児の療育や小中学校の教育については整ってきたが、年齢を重ねると乏しくなる。
就労機会の確保に加え、職場定着の支援が求められる。
改正案では、企業で長く働き続けられる環境整備や、教育現場でのきめ細かな対応を促す。
支援センターの強化も盛り込まれる見込みだ。
岡山県内では、県が岡山、津山市にセンターと支所を置いているほか、岡山、倉敷など19市町も相談窓口を設けている。
当事者への定期的な相談支援を続け、職場定着などに効果を挙げている窓口もある。相談は増えており、体制の強化を図るべきだ。
教育現場については、小中学校で子どもの状態に合う目標や取り組みを定めた個別指導計画の作成が進んでいる。
高校などにも浸透させたい。
発達障害の子どもは、たとえ中学校で特別支援学級に在籍していても、知的な遅れがないと支援学校高等部への進学は認められないことが多い。
通常の高校に進まざるを得ないために、集団生活などになじめず、退学するケースが珍しくない。
高校も福祉機関などと連携して障害の理解に努め、こうした生徒が学びやすい環境を整えることが大切だ。
〔山陽新聞 2016年3月31日〕

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