お答え:選択的で了解的な訪問の方法ー松田武己
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引きこもり当事者への訪問活動にお答えします。<br> | 引きこもり当事者への訪問活動にお答えします。<br> | ||
訪問活動の内容はいろんな面に及びますが、お答えは私が到達した「選択的で了解的な訪問方法」の紹介にかぎります。<br> | 訪問活動の内容はいろんな面に及びますが、お答えは私が到達した「選択的で了解的な訪問方法」の紹介にかぎります。<br> | ||
(1)訪問を始める前提として、引きこもっている子どもと親の間に何らかの会話ができる状態が必要です。<br> | (1)訪問を始める前提として、引きこもっている子どもと親の間に何らかの会話ができる状態が必要です。<br> | ||
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(2)本人が同意または反対しない状態で、支援者が家庭を訪問し始めることが求められます。<br> | (2)本人が同意または反対しない状態で、支援者が家庭を訪問し始めることが求められます。<br> | ||
このための手順が要ります。<br> | このための手順が要ります。<br> | ||
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それを箇条書きにして家族から当事者に示します。<br> | それを箇条書きにして家族から当事者に示します。<br> | ||
いずれも当事者の状態や環境条件にそった内容です。<br> | いずれも当事者の状態や環境条件にそった内容です。<br> | ||
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1項目を空白にし本人が提示する方法も書けるようにすることもあります。<br> | 1項目を空白にし本人が提示する方法も書けるようにすることもあります。<br> | ||
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2017年7月16日 (日) 19:47時点における最新版
お答え:選択的で了解的な訪問の方法ー松田武己
(質問165)訪問活動は外に連れ出すことではないのか
〔2013年2月〕
シリーズ「なでしこ会講演その後5」です。
(お答え165)選択的で了解的な訪問の方法
引きこもり当事者への訪問活動にお答えします。
訪問活動の内容はいろんな面に及びますが、お答えは私が到達した「選択的で了解的な訪問方法」の紹介にかぎります。
(1)訪問を始める前提として、引きこもっている子どもと親の間に何らかの会話ができる状態が必要です。
親子が会話をできない状態で、訪問者がそれを超えて当事者と顔を合わせる関係になることはできません
(役所関係のなんらかの手続きにおいてはありうるかもしれませんが…)。
(2)本人が同意または反対しない状態で、支援者が家庭を訪問し始めることが求められます。
このための手順が要ります。
この方法を「選択的で了解的な訪問方法」と呼ぶことにします。
家族から相談をうけて、いくつかの提案を考えます。
それを箇条書きにして家族から当事者に示します。
いずれも当事者の状態や環境条件にそった内容です。
たとえば、①親戚の××さんの所の仕事を手伝う、
②パソコンを習う教室に通う、
③訪問活動をしている××さんに来てもらう、
④中学受験を目指している××くんの家庭教師をする、
⑤親の会に当事者が来ているのでその人たちがいるフリースペースに参加する。
など条件を考えて5、6項目を並べ1週間ぐらいの期限付きで本人に選択してもらいます。
1項目を空白にし本人が提示する方法も書けるようにすることもあります。
期限内に答えがない場合は、「③訪問活動をしている××さんに来てもらう」にすると伝えておきます。
他の方法と違い本人が動かず家にいてもできる方法だからです。
これらの提案をできる環境をつくるのにある程度の時間を必要とします。
突然やってもうまくいく可能性は少ないものです。
この方法をかりに「選択的で了解的な訪問方法」と呼ぶことにします。
(3)「選択的で了解的な訪問方法」に至るまでにはいろいろな試みをしました。
これができた後も手続きを省略したこともあります。
本人と顔を合わせることができる割合はこの方法が格段に高いと思います(私個人では累計で40人以上を対象に訪問活動をしています)。
それでも絶対的な方法ではありません。
本人と顔を合わせてからが本当の訪問活動です。
連れ出すことを優先すべきではありません。
当事者がなぜ外出をできないのかの理解をしようとするスタンスが必要です。
本人の状態・気持ちを理解しようとするなかで、どうするのかは本人が口にするのを待つのがいいと思います。
訪問初日に「不登校情報センターに来ないか」と勧めてきた人もいますが、それは例外と考えるべきことのようです。
(4)しかし、自分がどうすればいいのかは当事者にはなかなか思いつかないものです。
それ以前に関心のあること、意欲がわかないことなどを話し始める時期があります。
それを聞きながら訪問者が体験したこと、見聞きしたことを話します。
そうしなさいというものではなく、訪問者自身のこととして話します。
小手先のことばでは空振りに終わります。
当事者のことは当事者が考えるしかないのです。
訪問者には「選択的で了解的な訪問方法」を始める前に提案したことはここで参考になります。
この時期に参考にならないことばかりを「選択的で了解的な訪問方法」のときに提示しているとここで行き詰まることがあります。
ここでそれまでの訪問で気づいたことなどを参考に改めて考えることも必要ですが、スタンスはすでにその時点でわかっていなくてはうまくいかないと感じます。
訪問活動は長期の引きこもりへの中心的な取り組みです。
とても言い尽くすことはできませんのでこのあたりにしておきます。
「五十田猛の論文とエッセイ」にときおりその経験を書いていますので参照してください。
*なでしこ会の講演と質疑
(質問151)お答え:子どもがしていることをやめさせるのではなく伸ばすー松田武己
(質問152)お答え:分担して作業し共通の広報等を応援するー松田武己
(質問153)お答え:能力差よりも関心の違いを生かすつもりー松田武己
(質問154)お答え:ゲームをやめさせるのではなく別の関わり方を持ち込むー松田武己
(質問155)お答え:成果を急がず信頼関係をつくるのが出発ー松田武己
(質問156)お答え:個人ができそうなことを始めSOHO共同体をめざすー松田武己
(質問157)お答え:医師との協力は望むが方法はその経過等によりますー松田武己
(質問158)お答え:居場所にくる人の状態を認めそこからの出発が支援ですー松田武己
(質問159)お答え:不登校親の会も少しずつ変化してきていますー松田武己
(質問160)お答え:オーソドックスな活動が波及しやすいのでは?ー松田武己
(質問161)お答え:教育的な方法で引きこもりに対応するー松田武己
(質問162)お答え:居場所は管理的でなく学ぶ機会にするー松田武己
(質問163)お答え:引きこもりが長期化し居場所に行けない人への対応ー松田武己
(質問164)お答え:親の会と子どもの外出の関係ー松田武己
(質問165)お答え:選択的で了解的な訪問の方法ー松田武己
(質問166)お答え:繊細な感覚を持っているが言葉化しづらいー松田武己
(質問167)お答え:当事者の仕事づくりを応援するー松田武己
講演「長期化する引きこもり支援活動」
回答者と所属団体
松田武己・不登校情報センター相談室