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2019年1月1日 (火) 20:19時点における最新版
脳神経系の学習ノート(5)
〔『記憶のメカニズム』高木貞敬、岩波新書、1976年〕
〔2011年春⇒2011年12月15日〕
「Ⅶ記憶痕跡のできかた―どのようにして、いつできるか」の章。
(1)ブログ「センター便り」の12月13日付け「仮説・引きこもりは脳神経系の成長の停滞を招く」の終わりにこの本の出版が1976年で古いことが弱点と書きました。
というのはこの章で著者は次の事情を紹介されています。
脳のニューロン(神経細胞)は後天的に発達していくものではあるけれども、先天的なものもある例を紹介しています。
「視神経系の場合には、ニューロンのあらゆるつながりは眼を使う前にすべて完成している」(129ページ)ことを、オーストラリアのエクルスが証明していたのです。
著者はその事情をまとめて、課題を整理しつつ、残しているともいえるからです。
「シナプス結合が使用前に完成していたとしても、そこをインパルスが通るかどうかわからないではないか?
これはまったく別問題と考えてよいであろう。
そこで学習や練習によって、それまでインパルスの通らなかったシナプスがインパルスを通すようになると考えることもできよう。
そうすれば学習や練習の効果を説明することもできる。
しかしまた、学習や連習によって細胞間に今までなかったシナプスが新しくできて活動するということも、十分に考えられることであろう。
それで右にのべた相反する二つの研究成果は、研究された脳の部位による違いと考えてもよいのではないか。
運動系その他の細胞では確かに…練習や年齢によると思われるニューロンの発達が認められている。
しかし網膜と視蓋との間の細胞間の結合は、使用前にすでに完成していることもまた確かなのである。
後者の場合は使用によって次第に発展するといった性格のものではないからであろう」(135ページ)。
その後の研究でここははっきりしているのではないでしょうか。
(2)この章では、発達の最適な時期や特徴が場面・機能によりいくつか紹介されている。
インプリンティング=刷り込み。動物の子は生まれて最初に眼にした“動くもの”を親と思い、ついてゆく習性がある。(125ページ)
ヒトの角膜移植はいつまでにおこなうべきか。「ものを見る能力の基礎は、ヒトでは2歳から4歳頃の間にできあがる」(126ページ)。
「基礎的学習のための決定的な時期がある」(127ページ)。
外国語の修得。「語学に関しても12、3歳の頃に脳活動にあきらかにひとつの転機がある。」
絶対音感。「4、5歳の頃までにその教育を受けないと身につかない」(128ページ)。
「学ぶ対象によって学習するのに最適の時期、否、逃してはならない時期というものがあることになる」(128ページ)。
これらは、脳神経系に関連して結論付けられたものであるから無視はできない。
しかし、個別的な部位や身体状態、運動機能などにより関連はするけれどもそれぞれ違っていくものと思えます。
男女差もまたこれに重なるのでしょう。
『記憶のメカニズム』(高木貞敬)のまとめ
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