お答え:引きこもりが長期化し居場所に行けない人への対応ー松田武己
(ページの作成:「 ==お答え:引きこもりが長期化し居場所に行けない人への対応ー松田武己== (質問163)'''親子に会話がなく引きこもりが長期...」) |
(→お答え:引きこもりが長期化し居場所に行けない人への対応ー松田武己) |
||
9行: | 9行: | ||
③「全く会話もなく部屋から出てこない娘に、どういうきっかけが良いか教えてほしい」。<br> | ③「全く会話もなく部屋から出てこない娘に、どういうきっかけが良いか教えてほしい」。<br> | ||
④「長期・年長の当事者は、長いトンネルです。悩みも長いのです。また親に心配をかけるか、どうしたら良いか答えが見えず、悩んでいるようです」。<br> | ④「長期・年長の当事者は、長いトンネルです。悩みも長いのです。また親に心配をかけるか、どうしたら良いか答えが見えず、悩んでいるようです」。<br> | ||
− | + | (お答え163)'''引きこもりが長期化し居場所に行けない人への対応'''<br> | |
居場所に行かれない・行かない状態の人は引きこもりの人の大部分を占めます。<br> | 居場所に行かれない・行かない状態の人は引きこもりの人の大部分を占めます。<br> | ||
推測ですが90%になるでしょう。<br> | 推測ですが90%になるでしょう。<br> |
2013年12月29日 (日) 11:29時点における版
お答え:引きこもりが長期化し居場所に行けない人への対応ー松田武己
(質問163)親子に会話がなく引きこもりが長期化しています
〔2013年1月〕
シリーズ「なでしこ会講演その後3」です。次の4つの質問は共通性があるものとしてお答えします。
まず全体の状況をみます。
①「長期化したひきこもりの人(居場所にも来れない人)の具体的な支援方法をお聞きしたかったです」。
②「親子の会話が全くない場合の対応法についてどうしたら良いのか知りたい」。
③「全く会話もなく部屋から出てこない娘に、どういうきっかけが良いか教えてほしい」。
④「長期・年長の当事者は、長いトンネルです。悩みも長いのです。また親に心配をかけるか、どうしたら良いか答えが見えず、悩んでいるようです」。
(お答え163)引きこもりが長期化し居場所に行けない人への対応
居場所に行かれない・行かない状態の人は引きこもりの人の大部分を占めます。
推測ですが90%になるでしょう。
図書館・コンビニなどに外出はできるけれども通常の会話を避けようとする人は引きこもりとしては軽い状態かもしれません。
家族以外の人と継続的な接点を持てる人の割合はかなり低いです。
医師・保健師など相談員と面談を重ねている人は10%をはるかに下回るでしょう。
家族とも会話をしない・自室からほとんど出ない人も少なくないと思います。
いろいろな状態の人にそれぞれあった支援方法が考えられなくてはなりません。
私たちがしているのはごく端緒的なことです。
それにふれる前にいくつかの事情を振り返っておきます。
政府・自治体が進めたことは、ニートと発達障害者という2つの視点を導入し対応しようとしたと考えられます。
引きこもり全体よりも輪郭のはっきりした人への対応策です。
自殺防止やうつ病対応もこれに類することと思います。
若者自立塾、地域若者サポートステーション、ジョブカフェ、発達障害者支援センター、ひきこもり支援センターの設立はそれによる施策でしょう。
いくつかの施策にかかわらず手の届いた引きこもりの人はわずかです。
引きこもりの中心部分には手が届かないままになっています。
2004年3月にNHKの“ひきこもりキャンペーン”が終了したあと、不登校情報センターへの通所者は徐々に減少しました(2004年2月の通所者実数67名⇒同年8月実数30名)。
都内にいくつかあったフリースペース的な居場所がなくなっていきました。
逆に言えばこのキャンペーンが形を変えて継続されていればこうはならなかったとも考えられます。
NHKにかぎらず全国的な対応があれば、少しはエネルギーのある引きこもりの人は動ける可能性を感じます。
お世話になった不動産屋さんの話です。
管理しているアパート・マンションの部屋にいる人には引きこもりと思える人があちこちにいるというのです。
業務を通し引きこもりに関心をもち、私の活動に注目していました。
全国的な対応とともに小さな地域単位での取り組みの可能性をこの不動産屋さんの話は教えてくれます。
引きこもりの可能性のある人が具体的にわかるかもしれません。
地域での対応方法の全体ははまだわかりませんが、一種ブームになっているコミュニティカフェに対応力を期待する、広めることは現実的ではないかと考えています。
個人のプライバシーや意思を尊重することと組み合わせた方法になるでしょう。
不登校情報センターとして取り組んでいるのは小さな具体的な、訪問活動と家族会です。
それらと全国的・地域的な対応が結び付いたときにより進んだ長期の引きこもりへの対応ができるものと思います。
質問などへの具体的な回答は次回にします。
*なでしこ会の講演と質疑
(質問151)お答え:子どもがしていることをやめさせるのではなく伸ばすー松田武己
(質問152)お答え:分担して作業し共通の広報等を応援するー松田武己
(質問153)お答え:能力差よりも関心の違いを生かすつもりー松田武己
(質問154)お答え:ゲームをやめさせるのではなく別の関わり方を持ち込むー松田武己
(質問155)お答え:成果を急がず信頼関係をつくるのが出発ー松田武己
(質問156)お答え:個人ができそうなことを始めSOHO共同体をめざすー松田武己
(質問157)お答え:医師との協力は望むが方法はその経過等によりますー松田武己
(質問158)お答え:居場所にくる人の状態を認めそこからの出発が支援ですー松田武己
(質問159)お答え:不登校親の会も少しずつ変化してきていますー松田武己
(質問160)お答え:オーソドックスな活動が波及しやすいのでは?ー松田武己
(質問161)お答え:教育的な方法で引きこもりに対応するー松田武己
(質問162)お答え:居場所は管理的でなく学ぶ機会にするー松田武己
(質問163)お答え:引きこもりが長期化し居場所に行けない人への対応ー松田武己
(質問164)お答え:親の会と子どもの外出の関係ー松田武己
(質問165)お答え:選択的で了解的な訪問の方法ー松田武己
(質問166)お答え:繊細な感覚を持っているが言葉化しづらいー松田武己
(質問167)お答え:当事者の仕事づくりを応援するー松田武己
講演「長期化する引きこもり支援活動」
回答者と所属団体
松田武己・不登校情報センター相談室