ネットマナーとコンプライアンス(下)
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2018年1月27日 (土) 09:33時点における版
ネットマナーとコンプライアンス(下)
~法律を守る(コンプライアンス)という当たり前のこと~
『情報社会におけるITの活用ーその8』
庄司一也(中央法律専門学校 専任教員)
前回『情報社会におけるITの活用ーその7』では、「ネットマナーとコンプライアンス」と題して、特に前半の「ネットマナー(ネチケット)」について考察・解説しました。
今回は後半部分、「コンプライアンス(法令遵守)」について当たり前の事項を確認していきたいと思います。
※紙面と文字数の関係上、学術的内容よりもむしろ「一般常識的見地からの考察」となります。
「コンプライアンス」ということばは、別名「法令遵守」ともいわれます。
つまり法律を守ることです。
「法律を守ることを論じる」というのは常識的におかしなことかもしれませんが(なぜなら、法治国家において法律を守ることは当たり前だからです)、現実には法律を犯す者がいるから犯罪が発生し、刑務所も存在するわけです。
これは現実の一般社会のみならず、ネット社会においても例外ではありません。
実際にインターネットに関する犯罪を犯し、逮捕されるケースも多数出ています。
テレビのニュースなどで報じられているとおりです。
この問題を語るとき、「なぜ法律を守らなければならないのか」「なぜ法律が存在するのか」「犯罪の定義や要件は何か」といった、法律学入門の話をする必要があるのです。
しかし本稿ではテーマに即して「現実ネット社会における実例」を基に考察してみたいと思います。
近年のニュースや話題になるネット犯罪は主に以下のようなものでしょう(あくまで代表例で、それに関連するものや付随する犯罪が多数存在します)。
・掲示板、ブログやツイッターなどによる誹謗中傷・侮辱、殺人予告等(刑法)。
・違法サイトからの、動画・音楽などの無許可ダウンロードとアップロード(著作権法)。
・ハッキングやウイルスばら撒きなどのセキュリティ関係(不正アクセス禁止法)。
・違法ネットビジネス、架空請求、ワンクリック詐欺等々(各刑事法)。
上述したものはすべて刑事法に該当し、刑事罰の対象となります。
これは「法律を知らなかった」「犯罪になるとは思わなかった」「悪気はなかった」などの言い訳は通用しません。
刑事法学に「知らない場合は罪に問わない」という概念はありません。
逆に「法の不知はこれを許さず(知らなかったでは済まされない:刑法38条3項)」という言葉があります。
つまりネットユーザーであるからには、必要な法令の十分な理解が前提条件になるわけです。
また、ネット環境には犯罪現場が密接にかかわっているということを常に頭において、自覚と責任ある行動をとることが必要になります。
このようなことは今さら説明する必要などないことです。
しかし、近年のネット犯罪の急増・悪質化に伴って、今回あらためて確認をすることで、事の重大さを認識してほしかったわけです。
「ITには無限の可能性がある」ともいわれます。
その中にはもちろん犯罪の分野も含まれるでしょう。
しかし、ITの本来の意味を損なうこと(犯罪等の誘発)は社会・組織・個人とって大きな損失です。
「法を守る・ルールを守る・規則を守る」といったネット内外問わず人間社会における基本事項を誠実に遂行することで、現代の複雑かつ困難な社会を乗り切る術を構築することができると確信しています。
私たちがシステムやテクノロジーの進化による恩恵(権利ともいえます)を受けている以上、義務をきちんと果たし、現代の高度情報社会を快適かつより豊かになるように、個人の認識アップと意識改革が必要な時期にきています。
次回は「e-ラーニング自己体験記」というテーマの下で、私のe-ラーニング学習内容の報告(良かった点や大変だった点等の報告)をしたいと思います。
目次
①インターネットの魅力とe‐ラーニング
②E-ラーニングの特徴と学習方法
③双方向性を活用したe-ラーニングのサポート体制
④E-ラーニングの効果的な学習方法
⑤E-ラーニングの課題と種類
⑥WEB2.0の世界とe-ラーニング
⑦ネットマナーとコンプライアンス(上)
⑧ネットマナーとコンプライアンス(下)
⑨E-ラーニングを受講してよかった点
⑩E-ラーニングを受講して大変だった点