ネットマナーとコンプライアンス(上)
ネットマナーとコンプライアンス(上)
~ネット社会での常識的マナーを中心として~
『情報社会におけるITの活用ーその7』
庄司一也(中央法律専門学校 専任教員)
前回『情報社会におけるITの活用ーその6』では、「WEB2.0 の世界とe-ラーニング」と題して、WEB2.0の基本事項を解説・確認しました。
今回は近年のPCユーザー・モバイルユーザー(以下「ユーザー」とします)の急激な増加をかんがみ、「ネットマナーとコンプライアンス」のテーマの下、インターネット上のルールと法制度を考えていきたいと思います。
※文字数の関係上、本稿では表題(タイトル)前半部分「ネットマナー」について考えていきます。
さて、この概念は今さら学んだり覚えたりするものではなく、ユーザーは事前に内容を十分理解していて、かつ常にネットマナーの向上に努めることを要求されるものです。
しかし、現代のユーザーの「常識を逸脱するネット上の発言」や「ネット上の不謹慎な行動」等数々のユーザー行為に疑問や苛立ちを感じています。
そこで、今回あらためてネットマナーの基本部分を見直し、重要点をおさらいしたいと思います。
「ネットマナー」に関してはいわゆる「ネチケットと呼ばれる分野(一般常識的なもの)」と、「ネットワーク業界特有の分野(システムルール系)」があります。
今回は前者のネチケットに焦点を絞り、いわば一般社会でも求められる常識を、ネット環境に置き換えて考察してみます。
「ネチケット」についてはあまり説明の必要がないかと思います。
学術的かつ詳細に説明することも可能です。
しかし私の考えるネチケットの柱は以下の3 点と考えます。
1.多数のユーザーが存在する中で、操作・利用に際して常に相手を思いやる気持ちを持つ。
2.メールや電子掲示板、チャットなど、双方向性環境の下では、自分の書いた内容を「自分が受け取ったときにどう感じるか」を常に考える。
3.ネットは匿名性も特徴の一つであるが(厳密にはすべてのログが取られており追跡や復元が可)、自分の書き込みや操作に責任と自覚を持つ。
この3 点は「ネチケット」について考察したものですが、一般社会にも十分当てはまる内容だと思いませんか。
ただ、ネット環境においては特別な動画機能や音声機能を使用しない限り「文字情報のみのやり取り」となります。
そうすると「文書表現の方法」や「表記ミス」などによって、意見のすれ違いや誤解・不快感を与えかねません。
そうした意味で、ネットユーザーはより慎重にコンピューターを操作する必要があるわけです。
「ユーザー一人ひとりがマナーの向上に努め、相手を思いやる気持ちを持ちながら、閲覧側が不快でイヤな思いをしないように注意して責任を持った書き込みをする」ということが大事なのではないでしょうか。
一方、いわゆる「荒らし」などと呼ばれる行為をするユーザーはネットを利用する資格がないと思っています。
もし「表現の自由(憲法21 条)」を理由に持ち出そうものなら、それは同概念の意図するものとは根本的に異なるということを学術的に反論できます。
説明が長くなりましたが、要は「一般社会と同様にネット環境においても常識や礼儀・礼節を持ち、インターネットを正しく利用する」という単純かつ簡単なことが言いたいだけです。
今回、「ネットマナー」のみについてあらためて説明・考察したのは、(情報化の進展した)現代の高度情報社会において、最も重要な概念の一つであるからです。
今回、この原稿を読んでくださった方にそのことを十分理解していただきたいと思っております。
次回は表題(タイトル)後半部分の「コンプライアンス(法令遵守)」について考えていきたいと思います。
目次
①インターネットの魅力とe‐ラーニング
②E-ラーニングの特徴と学習方法
③双方向性を活用したe-ラーニングのサポート体制
④E-ラーニングの効果的な学習方法
⑤E-ラーニングの課題と種類
⑥WEB2.0の世界とe-ラーニング
⑦ネットマナーとコンプライアンス(上)
⑧ネットマナーとコンプライアンス(下)
⑨E-ラーニングを受講してよかった点
⑩E-ラーニングを受講して大変だった点