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脳神経系の学習ノート(3)
〔『記憶のメカニズム』高木貞敬、岩波新書、1976年〕
〔2011年春⇒2011年12月3日〕
「Ⅴ記憶をささえる神経の仕組み―神経解剖学者の研究」の章。
(1)脳のニューロンの数(83-84ページ)
◎生まれたての赤ちゃんと20歳の成人の脳のニューロンは同数。以下の二つの説による。
大脳皮質の一定面積にあるニューロン数は20歳までに平均して半分に減少する=解剖学者ブロディの説。
20歳になるまでに脳の表面積は2倍になる=解剖学者レブ―フの説。
◎大脳皮質の一定面積にあるニューロン数は80歳までに30%減少し、脳の表面積も約10%減少する。
ここから80歳になればニューロン数は37%も減少する。
◎これに加えて使っていない器官は“廃用萎縮”を起こす。ニューロンの働きも失われる。
(2)グリア細胞=神経膠細胞ともいう
脳内にあるニューロンは100億から150億であるが、グリア細胞はその約5倍ある細胞。
「数種類に分類されるが、ニューロンの間をぎっしりと埋めている。
脳のニューロンは特に多くの酸素や栄養を必要とするが、グリア細胞は脳の中に入りこんでいる動脈の毛細管から酸素や栄養素を受けとってニューロンまで運搬し、逆に炭酸ガスや老廃物をニューロンから受けとり静脈へ運ぶ働きをしている。
この細胞はまた動脈によって脳へ運ばれてくる物質に対して“関所”を作り、それらの物質を選別し、一部のものしかニューロンへ送りこまない」(85ページ)。
(3)シナプス=神経細胞間の連絡=樹状突起
脳のニューロンは生後から20歳くらいの間はニューロンの数は変わらないが、…「生まれたときは樹状突起もあまり発達せず、また神経線維も短くて他のニューロンと連絡を持つにはいたっていない。
…各細胞は、ほとんど孤立した状態で脳のなかに散在している」(87ページ)。
「シナプスの構造を調べると、神経線維の先端の神経終末部と、わずか200ないし300オングストロームの間隙をおいて、これに対応する相手側の神経細胞や筋細胞(ここはシナプス下膜とよばれる特別な部分)とからできていることがわかる。
神経終末部の内部には、多数のきわめて小さい顆粒がみだされ、これに対して、シナプス下膜の方にはこのようなシナプス顆粒はまったく存在しない。
神経のインパルスはこの顆粒のある側から、それのない側に伝えられるので、その逆の伝達はまったく起らない…」(88ページ)。
伝達物質には、興奮型のシナプスと抑制型のシナプスがある(89ページ)。
(4)大脳皮質の層構造
皮質=大脳の表面。表面から数ミリメートルの深さ、ニューロンが詰まっている。6つの層に分かれる。
髄質=神経線維が詰まっている。
層構造は、大脳の各部でかなり違う。⇒脳地図(ブロードマンは)大脳表面を52に区画に分け、番号をつけた。(90ページ)。
『記憶のメカニズム』(高木貞敬)のまとめ
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