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児童相談所との意見交換会にて

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児童相談所との意見交換会にて

10月1日に葛飾区児童相談所が設立されます。都内各区で次々に設立される児童相談所設立の一環です。
それを前に8月27日、開設準備をすすめる担当者を招いて、意見交換会が開かれました。
主催は区内で活動をつづける子ども支援に関わる3つのネットワークです。私は不登校情報センターとしてその1つのネットワークのメンバーです。
意見交換会参加者は養護施設、保育、子ども食堂、学習塾、児童委員などから40人近くです。
内容は新設児童相談所の説明よりも、参加者が直面している具体的なテーマにそって、新設の児童相談所との協力関係をどうするのかなど活発でした。
設立前にこのような趣旨の意見交換になったことは異例であり、すばらしいことだと思います。
この会合の席でやりとりをききながら、私は一つの流れを感じていました。個人的な感想ですが、ここではそれを紹介します。
1980~90年代のころ都内の別の所に住んでいました。
近くに住む視力障害のある男女が結婚しました(Dさん夫婦とします)。
周りにいる人たちは買い物や日常生活の手伝っていたのですが、子どもが生まれると本格的ともいえる応援グループになりました。
Dさん夫婦は視力障害者として福祉の支援を受けていたのですが、それ以上の日常のことの多くはこの応援グループが分担していったのです。
同じころです。Wさん夫婦には子どもが4人います。
最年長の子どもは十代半ばであり、Wさんの元妻のつれ子でした。
Wさん夫婦とは血のつながりはありません。元妻とは別れたのか亡くなったのかはわかりません。
しかしWさんはその子をわが子として家族の一員にしていました。
これは里子にあたるのかどうかわかりませんが、自然にそうなったようです。
Dさん夫婦、Wさん家族の話は私には又聞きのことで、細かなことは違うかもしれませんが、大筋では間違いないと思います。
障害者の子育て、両親のいない子どもがこうして助けられ、居場所を得ていたのです。

次にLGBT(性的少数者)の例を紹介します。それに詳しい人がネット上の情報として教えてくれました。
「MtFとFtMの結婚の記事を見たことがあります。この二人なら問題なく一般的な結婚です。
また、ゲイとレズビアンの二つのカップルが、二組の男女に分かれて結婚して、結婚制度のメリットを享受しながらゲイとレズビアンの関係を続けていくという不思議なケースもありました。
自分の本来のセクシャリティを押し殺して普通に結婚と子作りをしてから離婚して、自分らしいセクシャリティで生きる道を選択する人はよくいるようです。
レズビアンなら精子提供で産むことは可能ですし、ゲイでも他の女性の子宮を借りることもできなくはないです。
ネットで調べたら、里親を希望する同性愛者が割といるとか、ゲイの精子をレズビアンの子宮に移す方法が取られることが多いなど、色々出てきました」
(2023年7月19日付メール)

私にはこれらの例は、家族が何らかの理由で家族になれないとき、家族機能の不足を補うときに、自然発生的に(行政側が関知しないという意味で)誕生した、住民のなかの動きだと思います。
こういう行政が関知しないままの国民の動きは、各地にいろいろな形で続いていると推察します。
それは小さな核家族では対応できない、ときには全く可能性のない事態を救済するものです。
ここに挙げた例は、その困った事態におかれた、あるいは不可能な状態におかれた人にとっては偶然の幸運に恵まれたものです。
しかし、そういう偶然のことですむことばかりではありません。社会が大きく変動する時代においては、いろいろな変則自体が多発します。
偶然の幸運に任せていては、対応できないことが続出します。
そういう対応できない事態においては、弱い立場の人、子ども、高齢者、障害者に代表される人たちにしわよせが向けられます。
虐待の背景にはこのような家族の機能が衰弱していることにあります。それは重大なひきこもりの原因の1つです。
家族機能が衰退している状況におかれたとき、周囲の人の力だけでも十分でなくなります。これを自治体や国に求めるのは当然です。
これは家族をめぐる社会福祉と考えるのですが、単純にそれだけに収まるものではありません。
健康の面ではどうか、子どもの教育の面ではどうか、日常生活はどうか、社会制度の面でどうか…具体的に生まれていることに即して対応策が必要になります。
児童相談所は、それらのうち子どもの状態に関わって、行政の他のセクションとの連携、地域・周囲の協力する民間団体、そして元々の家族関係のつながりを結集する位置にあると思えたのです。
意見交換会ではそのいろんな実例が交わされたのです。
これまでできている制度やネットワークでは対応しきれないことは多くあります。
関係者のつながり、それぞれの得意分野を生かすことが求められています。
私はその際に、これまで住民(国民)のなかに自然に生まれている創意工夫、ときには自己犠牲的な対応からも学び、生かして解決に向かってほしいと願います。
その制度を採用する、設けるときには経済的利益が得られる(名称は支援や補助などに関わらず)ようにしてほしいことです。
そうすることにより、少子化対策とか結婚できにくい条件という社会的な大きな課題の一端に貢献する内容ができると確信しています。
意見交換会の内容は個別の事態に即していずれ報告します。

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