Center:第6回 仕事に就こうとするときの感覚
〔2012年8月27日、未完成下書き〕
第6回 仕事に就こうとするときの感覚
〔2012年10月14日〕
第5回のときのもう一つの点、自分の体が思うようにならない、という感覚です。
週5日フルタイム就業が困難である人の割合はかなり高いです。
この状態で仕事についている人は3種類のパターンがあります。
①数か月のフルタイム就業を繰り返す(3か月働き、3か月は無職を繰り返す)。
②週5日・1日3時間程度のパートタイム的な仕事を続ける。
③週2日・週3日フルタイムのパートタイム仕事を続ける。
このようなものですが、実際はそれが就業時間の限界の実例をかなり多く見てきました。
それを超えると、引きこもり的な生活に戻るか精神的な障害になる可能性があります。
不登校情報センター内の作業から感じていることは、
①仕事の速度の遅さ、
②休憩時間の多さによって生産性は低くなります。
しかし最大の要因は③自分で臨機応変の判断を避けることによってより重大な影響を受けるのです。
ただ全員が一律にそうなるわけでもなく、個人差は相当に開きがあります。
③は失敗や怒られないための予防策+アルファがあります。
アルファには完全性を求め、自分なりの見込みとの妥協点を得る気持ちも反映しています。
不登校情報センターの作業基準では次のようにしています。
省略
これはひとつの基準ですが、個人の状態は多様です。
仕事についたときとのおおよその整合性は感じられると思います。
なぜそのようなことになるのか。
私は次のように推測しています。
仮説・引きこもりは脳神経系の成長の停滞を招く(2011年12月13日 )。
長期の引きこもり生活状態、すなわち対人関係の長期の欠如は身体的な成長にも停滞をもたらします。
身体的な成長の停滞とは、特に脳神経系の成長の停滞をさします。
それは対人関係の長期の欠如が“こころの成長”の停滞を招く、ということへの対比となるのですが、むしろ“こころの成長”の物質的な根拠になるのかもしれません。
脳神経系の成長の停滞とは、ニューロン(神経細胞)間を連絡するシナプスとその先端の樹状突起の成長が十分に発達しないことを意味するのではないかと思います。
ニューロン自体の数は生まれたときに比べて青年期では約半分に減少します。
脳神経系の活動の活発さを支えるのはニューロン間を結ぶ連絡の違いにあると思えるからです。
もちろんこれは推測であり、解剖学的な研究が進めば、当否は明確になることです。
個人的な証拠のない推測にとどまります。
それが肯定的に裏付けられるならば、引きこもり状態の意味すること、予防対策やリハビリテーションの方法にも生かされていくはずです。
これを固定的にみるのではありません。
成長は年齢のかかわらず続く、青年期は30歳くらいまで延長している、身体的成長変化における社会環境の役割が人間の成人化には大きな意味を持っている、など検討の余地があります。
それらを視野において見なくてはなりません。
またこれと、引きこもりを障害者として認めることの関係にも触れておかなくてはなりません。
KHJ引きこもり親の会は引きこもりを障害者枠での社会福祉の対象にする運動を進めています。
全面的に反対というのではありませんが、引きこもり全体を障害者枠にというのは、当事者の感覚とあいません。
どこかで不十分さを感じるのです。
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Center:第3回 引きこもりからの対人関係づくり
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