Center:第4回 居場所における対人関係づくり
〔2012年8月27日〕
第4回 居場所における対人関係づくり・つづき
〔2012年8月12日〕
引きこもり経験者などが集まる居場所に何回か通うようになって感じる特徴のいくつかを例に挙げてみます。
似たような感じはあってもその強弱には個人差があるものです。
参加してターニングポイントといえるのは、誰かと親しい感じが持てたときではないかと思います。
相性がいいとか共通の趣味があるとわかるときです。
それを感じた人は「誰とも親しくならなくてもいいんだ」「みんなと仲良くしようとしていたけれどもそれに無理があった」と言うことが多いと思います。
確かにこれは貴重な感覚面での成長・変化といえるものです。
しかしまた、それも相対的なものであることがやがて自分なりにわかります。
この感覚以上に日常的に感じることがあります。
居場所にいる多くの人への違和感や嫌悪感です。
それは人を受け入れる器が十分に大きくないことから来るものと考えていいものではないでしょうか。
自分の感じたことが相手にどう伝わるのか、どう受けとめられるのかを見聞きしたときの、自分との違いがことさら大きく感じるところから生まれるものです。
自分のストライクゾーンが狭くて相手をうまく受けとめられないと言いかえてもいいと思います。
自分好みの受けとめ方をしていないと違和感があり、時には「何だこいつ!」という感覚になることもあります。
来ている人の動きや風体に違和感を持つことも少なくありません。
自分なりの世間常識がありそれに合致しないととても気になる、丁寧でなく自分のことだけを言いっぱなしにしている、何かにつけて頼ってくる感じを受けて何とか避けたい、とにかく周りに人がいると気が散る・思うように動けない…など。
そうするとここは自分が来る場所ではないという感情もわいてきます。
ときには自分に万能感がわき、何でもできそうな感覚になっている人もいます。
自分と他者との落差の大きさをこのような感覚で気づいていくのです。
実際に来なくなる人もいますが、しばらくすると他に行く場所がないことに改めて気づき、また来るようになる人もいます(動ける、来るようになった点でも自分なりの成長ではないかと思います)。
人それぞれにこのような経験をする時間が続きます。
初めから自分のことをあまり多くは話さないのは、話し慣れないという理由もありますが、ことさら自己開示をしないで様子を見ようとするスタンスを知らず知らずのうちにとっているためとも考えられます。
この時期はかなり長いし、姿を変えて自分のなかにくり返し沸き起こってくるように思います。
目に見える変化は先ほどのターニングポイントの例ですが、それを経験しても解消することはありません。
そのくり返しがこの時期の成長する姿であろうと思います。
このテーマはいろいろな実例がありますが、教室のテーマとしては1回にします。
このテーマに関係する例はしばしば出てくると思います。
出てきたところでまた話しましょう。
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