Center:(8)居場所を活用する粘りがほしい
(8)居場所を活用する粘りがほしい
このような過程をとおして、Bさんグループの人は知り合いや友人として親しく話しのできる人ができるようになります。
やがて親しい友人が数人はいるという状況にもなるでしょう。
Aさんグループの人はさらに多くの過程をへてこの道をたどります。
Qくんのように、ある程度の会話や笑いや表情が出るまでに年単位を要する人もします。
私たちは、引きこもり経験者が、出かけて行こうとするときに、出かけていっただけのこと、少なくとも出かけて行ってよかったと思える場づくりをめざします。
これは微妙のバランスを要する場づくりです。
サポート役がどの程度、何に対して動けばいいのかは、一人ひとり違います。
同じ当事者の会といっても、その日その時その場にやってくるのは少しずつ違います。
その場を予定することは困難です。
この当事者の会のメンバー同士の顔合わせこそ、引きこもりの人が「出かけて行ってよかった」と思えるかどうかの分岐点です。
それがきわめて偶然性の高い要素に委ねられているわけです。
私にできることは、個々のだれとだれの組み合わせがいいとかよくないとかを考えることではありません。
それが各人にとっての重要テーマであったとしても、私はよりよい場、居やすい場という一般的なことを考えるだけです。
しかし現実には、その居やすい場をかき乱す要素も発生します。
それを排除の方法ではなく、一般的には対人関係の向上につながる形で受け入れなくてはなりません。
現実には失敗の連続というのが当たっているでしょう。
しかし100%十分ではなくてもよいと思います。
その場づくりには、ある人数が必要です。
しかし、とくに精神的自立が低いレベルの人ほど、求める相手は限定され、その人を見つけ出すにはより多くの人がいることは必要です。
しかし人数が多いと今度はそれ自体が心理的な抵抗を感じやすいのも精神的自立が低いレベルの人の一面です。
二律背反状態です。
このバランスは、ある日のある時間帯をとると実現していないことが多いでしょう。
期間が長くつづくなかで、ある時間帯にそういう場面が生まれるのです。
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