ひきこもり国語辞典・辞書編た行
お知らせ
掲載していた内容は『ひきこもり国語辞典』[1](2013年4月1日発行)に移しました。
278語、A5版110ページです。
定価400円(税別)、送付するときは1冊500円(送料含む)です。
た行
ダイエット
体型面から太らない、痩せたいという気持ちを実現しようとする減食方法です。
多くの女性に特徴的にみられますが「大人になるのに抵抗感を持つ」ために行なうのが私の特色です。
妥協(だきょう)
自分を押し殺して周囲に同調する、溶けこむことです。
辞書をみるとお互いに譲り合って、折合いをつけるみたいなこととありましたが、しっくりきません。
私にとっては妥協とは敗北に近い感覚になります。
タメ語(ためご)
「タメ」とは同年齢の意味。
辞書には載っていないのでどんな漢字を当てるのかわかりません。
「タメ語」とは敬語ではない、対等の関係でのことば遣いになります。
自分は未熟者だという自覚があるので、せめてことば遣いだけでもよくしたいという思いがあります。
そうすると相手が同年齢以下なのか年上なのかということが気になります。
「タメ語」を遣っていいのかどうかが変わります。
いきなり相手の年齢をきくのも変なので、そのあたりを気にしながら話し始めることになります。
短期バイト(たんきばいと)
二週間の期限限定の、体力を使うバイトをしました。
はじめてのバイト体験で、がんばりました。
一週間過ぎたら本当にへとへとです。
体力以上に失敗しないように、怒られないように、迷惑をかけないように上司や同僚に神経を遣っています。
こっちの方がはるかに疲れる原因です。
2週間の期限がなかったら死んでいました。
誕生日(たんじょうび)
もうこの年になって誕生日も特別のことだとはいえないのかもしれません。
年が一つ増えるのは喜ばしくはないのに誕生日だけはちょっと嬉しいです。
誰かが誕生日を覚えていてくれるとかなり嬉しいというのも実感です。
年を重ねるよりもこの世に出てきたことを祝う日が誕生日だそうです。
男性タレント(だんせいたれんと)
男性は女性と一緒の集まりのとき、好みの女性タレントの名前をポンポンと挙げます。
女性は聞く側に回って「かわいいよね―」とうんうんうなずいていますが、それほど興味があるわけではありません。
それよりも好きな男性タレントの話題を持ち出したいくらいですが、面食いだと思われたくないので我慢しています。
女性だって若いイケメンが嫌いなわけではないのです!
痴漢被害妄想(ちかんひがいもうそう)
電車に乗るとチカンをしたと捕まるのではという被害妄想、被害予想感がでます。
電車内では両手とも吊り革に手をやるようにしています。
デッキに立っていることも多いです。
電車に乗らないのがいちばんいいのです。
父親(ちちおや)
社会の掟、約束事、世間体を示す原理主義者になりやすい立場の人。
家族内の独裁者。家庭ではいろいろと弱点を示すけれども家庭の外に対してはいい親をしたがる(いわゆる外面がよい)。
その落差は驚くほどですが、当人はそれに気付いておらず一個の統一体を続けられる不思議な存在です。
注目される(ちゅうもくされる)
家の近くで事故発生です。
いつもは人に見られないように、声を聞かれないように潜めた生活をしています。
しかし、このときは出かけて事故の様子を見ました。
集まった人たちは事故に関心が向いて私には関心が向かないので安心です。
注目して見られるのがたまらないのです。
長髪(ちょうはつ)
ある一線を超えて社会に入ってはいかないことを暗黙のうちに公示している自己表現。
副作用として自分で髪を切ったり、セットする技術を身につくことがあります。
徴兵制(ちょうへいせい)
保守系論者が言いがちな引きこもり・ニートへの特効薬的対策です。
私にとってはこの社会自体が徴兵制みたいなものです。
これ以上の徴兵制はいりません。
沈黙(ちんもく)
人と合っている時は沈黙になるのが苦手です。
特に一対一の時が難しく、人数が多いと楽ですが多すぎるとまたダメです。
情緒不安定の証拠です。
ついどうでもいいことを話して話さなければよかったと失敗します。
通販(つうはん)
通信販売。家から出ないで必要なものを手に入れるのに役立つ便利な方法です。
通販が広がり定着したから引きこもりが増えたわけではありません。
そうだとは思いますが引きこもりの条件としてよくなったといえるかもしれません。
必要とするものが個人でかなり偏ってしまうことと、それを買うお金が問題ですね。
つけあがる
付き合いが苦手です。
親しくしてくれるいい人が現れたので、人付き合いが苦手だったのを忘れて、なれなれしくしていました。
その人から「頼られすぎても困る」といわれ、つけあがっていたのかも、と反省しました。
ツンでれ
すごく愛情欲求が強く、甘えたいのに甘え方がわからないために、世話役になりきることがあります。
注目をあびて一瞬は嬉しいのですが、リーダーシップを発揮し、輝くことはあっても、甘えるどころか甘えられることに嫌気がさしてくる。
ついにはキレたり、うつに陥ったりします。
こういうことがわかると、ツンツンしているようでも、内心はデレデレしたいのだということがわかります。
親がきびしくて甘え知らずに育ったことが原因と思われます。
ていたらく
何度か気を取りなおし、あることに自分なりに取り組んでみました。
しかし、長続きせず一つとして身についたものはありません。
これが自分のていたらく(体たらく)です。
自分をことばのうえで貶め、そこで自分の実態と自分の評価のバランスを図ろうとしています。
手詰まり感(てづまりかん)
それほど多くのことに挑戦してはいませんが、自分のなかでは何をしてもうまくいかないという予測がつきます。
知識、常識、技術、容姿、特技、好感度などいろんなことに何一ついいところがないのです。
他の人からはあれがいい、これがどうと言われてもまったく実感がありません。
次に何かをする手がないのです。
出る杭は打たれる(でるくいはうたれる)
(1)「優れた者はねたまれる」、
(2)「調子に乗って何かをすると結果はよくない」とう意味です。
フリースペースで目立ってしまうと排除・排斥されます。
ときには「2ちゃんねる」でたたかれることもあります。
これは自分が「出る杭」になったためのようです。
点検(てんけん)
ファストフードに入って、カウンターの前に立ったところで、はて何を注文しようかと考えこんでいました。
メニュー表を見ながら、ひとつの品をチェックしていたのですが、店員さんの様子がなにか妙です。
気がつくと私の後ろには数人が順番待ちで並んでいるのです。
メニュー選びの点検では、こんなことが何度かありました。
電車(でんしゃ)
夜、 電車で家に帰る途中、向かいの席に見覚えのある人がいます。
親しくはなかったけれども高校時代の同級生です。
気付かれたくないと思いましたが、車内を動くと目立ちます。
目をつむり眠った振りです。
耳はそれとは反対に神経が高ぶり、もと同級生の動きや通過駅を間違わないようにしました。
気が付かれなくてよかったのでしょう、か。
てんぱる
麻雀(マージャン)であと一つの牌がそろえば完成する状態をてんぱいといいます。
その動詞形がてんぱる。
他のメンツがその牌を捨てるのではないか、自分でつもるのではないかと、ドキドキして待つ感じをさします。
意味が転じて、緊張感が高まる、追い詰められて焦りが募る、そういうときにてんぱる、または「てんぱっている」と表現します。
当事者弁慶(とうじしゃべんけい)
メンタル系の人を相手に饒舌になる、慇懃無礼な態度をとる人がいます。
一般人相手だとだんまりになり、接触を避けています。
優位でなくてはダメ、同列ではいられないのでしょうか。
内弁慶という人がいるので、当事者弁慶とでもいいたいです。
冬眠(とうみん)
人間にも冬眠があればいいですね。
私は一人勝手に長い冬眠生活をしています。
冬だけでなく一年中通してね。
遠い(とおい)
〔2014年4月〕
交通費がかかるという意味。時間は関係ありません。
たとえ地球の裏側であろうが、冥王星であろうが、交通費を出してもらえたら「近い」です。〔ひきマス〕
都会生活(とかいせいかつ)
町中を歩くと、光るもの、主張するものが並んでいるのが都市です。
周りのものに影響されやすく、流されていって自分本来のものが薄くなってしまいます。
自分らしいもの、関心を集中することを確立しているのが都会生活での対策です。
時計(とけい)
世の中には目に見えないものを、目に見えるようにする役目をするものがいろいろあります。
たとえば学業成績を示すテストの点、金をもっているかどうかの不動産所有。
そして時間が過ぎていくのを突きつけてくるのが時計です。
家中にある時計を全て止めてしまった人もいます。
図書館(としょかん)
外に出ても行く先がない。
うっかり喫茶店に入ったりするとお金を使うし、人の出入りが多いと早く出ないと悪い気分になります。
その点、図書館はいい。
金は不要だし、本を探すだけで時間がすぎていきます。
気に入った本があればそれだけで時間がもちます。
誰かと話すこともいらないし、人気(ひとけ)があるので人間界にいると実感できます。
たまに図書館が「整理中」とかで休館だとがっくりし、行くところがなくなります。
月曜日だったりすると、自分が曜日を忘れて生活していることを実感します。
突然変異(とつぜんへんい)
あるときから一人前の社会人として生き生きしています。
前にあった人から「あの人は~だと思ったけど本当じゃなかった、勘違い」と思われるのがベストです。
ときどきこんなことを思い浮かべていますが、これは突然変異願望だと思います。
取り返し衝動(とりかえししょうどう)
取り戻し気分ともいう。
長くひきこもっていた人が動けるようになると、これまでの空白を取り戻すように活発に動いていきます。
気持ちはわかりますが成功率は必ずしも高くないそうなので、急がずに着実に積み重ねていくのがお勧めと聞きました。
トンネル
田舎にいたので列車の本数が少なく、鉄道のトンネルを歩いて抜けることがありました。
初めは真っ暗ですが、そのうち向こうに明かるい部分が点のように浮かびだんだん大きくなります。
それが出口です。
引きこもり生活も長くなりましたが、向こう側にまだ点が見えません。
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