ひきこもり国語辞典・辞書編は行
は行
徘徊(はいかい)
散歩をするように心がけています。
これが昼間なら明るくのんびり健康な感じになりますが、夜の散歩はちょっと違います。
同じことでも徘徊といわれ、影のあることば、ひけめのある行動になります。
気にはしないようにしているのですが…。
外される(はずされる)
望んでいることは伝えたつもりでした。
言葉ではっきりは言いませんが、わかってくれたと思います。
でも相手は本筋を外した第二希望をこちらの希望と受けとめていました。
外された感じです。
本筋を口に出していうのは、相手に僭越なような、こちらが責任を負うような気がしたし、わかってくれるはずだったのです。
パステルカラー
暗黒色とは反対の彩かさを示す色。
世の中は暗黒色とパステルカラーしかないような気分になって、どちらかの側に気分が振れやすい。
肌(はだ)
あまり外出しないので、素肌がきれいです。
世間にふれると心も肌もあれるんでしょうか。
一般人からうらやましがられることもありますが、心情的には複雑です。
裸の王様(はだかのおおさま)
ご存知の裸のまま街を歩いた王様の話。
ひきこもりが長くなると理想像と現実の差が大きくなりがちです。
外に出たときは立派になったつもりで歩いていた気がします。
身の丈にあった服装や立場で暮らすのが一番です。
ばっくれる
逃げるという意味です。
逃げるには、身の安全を守るというニュアンスとともに、後ろめたいニュアンスの二通りがあります。
ばっくれるは、「しらばくれる」に由来し、後者のニュアンスの言葉です。
働いていたのに無断欠席したとか、そのまま仕事をやめてしまったとかいうときに使います。
ハッタリ
強気な雰囲気がありますが、自分から「ハッタリです」という人は謙虚さもあります。
本人はわかっているのです。
でもときどき自己弁護でハッタリという人もいます。
波動調整(はどうちょうせい)
外出や人の中にいるとその場の雰囲気に合わせていたのを、自分の気分にあった状態に戻そうとすること。
話してもわからない(はなしてもわからない)
「話せばわかる」の反対語。
とてもことばにできない感情や気分を「話す」なんて難しすぎます。
だからことばになった時点で真実の気持ちと離れてしまいます。
その真実とは離れたことばから真実に近づいて理解しようとしない人がそれをきいても、わからないでしょう。
「こちら側の人」はそれでもわかろうとしてくれます。
「わからない人」は住んでいる精神的世界が違ってことばだけで「わかった」と勘違いをしていると思います。
パニック
私のばあいは、追い込まれたとき、とにかく早口で何かを訴えていることが多いです。
聞いている相手はよく聞きとれないし、私の言う内容も多くて、しかもどんどんつづくので、ちっとも言うことがわからない(伝わらない)と言います。
でもそのときは、私にはそれ以外に何もできないのです。私のパニックのときだと最近わかりました。
母(はは)
味方と思ったら敵だったことがある身近な人。
身近だと思っていたのに遠くにいる人。
ある占い師から「家の中に敵がいますね」といわれて、納得した。
破片(はへん)
歩いていたら道端に光っている物をみつけました。
少し厚みのあるプラスチックのような破片です。何かの部品だったのでしょう。
微妙にまざりあった色あいがきれいで、形・大きさもよい。
持ち帰って宝石のように扱っています。
この破片は、私のおかれた状態と気持ちを表しているのです。
ハムスター
室内をかたづけるつもりでいるが、モノをあちこちに移動させるのを繰り返している感じです。
ハムスターを連想する。
反抗(はんこう)
気分はずっと以前から反抗しています。
社会に対しても、家族に対しても、友達に対しても。
さらには、道の曲がり具合みたいなものに対しても反抗しています。
でもそれを表に出すとまずいとわかっているので、いかにもわかっているように装(よそお)っています。
心に仮面をつけているのです。
般若(はんにゃ)
ある日学校に行くと、教師たちの自分を見る顔が般若のように見えました。
「あれ、なにかやらかしたかな」と考えてみるに思い当たることはありません。
自分では意識しないでしていることが、周囲の人には気に障ることをしているのではないかと、考えるようになりました。
(fj2016年3月)
引きづられる(ひきづられる)
自分ではわかっていても他人から「あなたは~です」といわれるとその思いが残ってしまいます。
たとえば「細かなことに気が回る」とほめられたとしても。
これも「細かなことを気にする人間に見られている」思いが植えつけられてしまいます。
気持ちが否定的なほうに引きずられるのです。
低目安定(ひくめあんてい)
気分の落ち込みは動けないとか寝込んでしまうほどではない。
外にも出られるし、人と顔を合わせることもできる。
でも何かを話すにはエネルギーが足りない。
そういう心身状態は低めに安定しているときです。
ピックアップシンドローム
人が集まるときいつも自分の話題が中心になっていないと落ち着かない精神状態。
特に好感を持たれそうな人が混じっていると、その人に関心が集まり自分がおきざりにされそうな気持ちになります。
女性に多いといわれますが、男性はどうでしょうか。
ひとアレルギー
食べ物にアレルギーがあるように人に対してアレルギー症状が出る感じです。
食べ物アレルギーの場合は全てのものにアレルギーが出るわけではないように、人に対しても同じです。
症状が出る相手と出ない相手がいます。
症状が出ない人と関わるなかで徐々に抗体をつくるように取り組んでいるのかもしれません。
対人アレルギー、人間アレルギーといってもいいでしょう。
他人事(ひとごと)
子どもが親に危害を加えるニュースが流れています。
なんだか神経がそれにすいこまれていくようです。
横で親が話していました。
「こんなこともあるのか」とか「ひどい話だ」なんて全く自分には関係のない感じです。
心の片隅で「他人事(ひとごと)じゃないんだよ!」と叫びたい、叫んでいる。
私にも親への怒りが心の底にあるとわかっているからです。
人の声(ひとのこえ)
部屋にとじこもって家族ともしばらく話しをしていない日がつづくと、妙に不安になってきます。
夜中になるととくに不安が強まるのです。
ふとひらめきました。
ある電機メーカーのクレーム受付が24時間体制で問い合わせに応じています。
しかも「0120」で電話料は無料。
思い切って電話をかけてみたら「こちらは○○ですが、ありがとうございます。
…」という声が返ってきました。
なんだかほっとしたのですが、悪い気がして「すみません、間違いました」と電話をきりました。
久しぶりに人の声を聞きました。
人のために動く(ひとのためにうごく)
歩いているときに体調が悪いのか、道路にうずくまっている老人がいました。
声をかけその場から救急車を呼び、救急車が到着するまでそばにいました。
自分のことではこんなに一生懸命になれないのに、こういうときには自分でも驚くぐらいです。
独り暮らし(ひとりぐらし)
家から離れると精神的にラクになれるはずです。
バイトを始めたのをきっかけに実家に近いところで独り暮らしを始めました。
独りで暮らすことは家賃や生活費の負担がはっきり見えるのでイヤなことです。
やっぱりキツイです。
バイト先のことも全部自分で処理しなくてはなりません。
それに加えて部屋の整理や食事なんかも全部自分でしなくてはならないのが大変です。
バイトをやめたら一気に自宅でひきこもりになり、かえって苦しくなりました。
私には独り暮らしは向かないのでしょうか。
一人っ子気質(ひとりっこきしつ)
きょうだいはいるのですが一人っ子かと聞かれてします。
集団行動が苦手、空気を読めない、ひとりで遊ぶのが好き。
こういうのが一人っ子の特徴ですか?
ピュアな人(ぴゅあなひと)
社会のなかで人にもまれていないです。
ときどきピュアな人といわれることがあります。
自分ではピュアなものは腐れやすいと思っています。
抵抗力がないので害に犯されやすいのです。
その抵抗力をつけようとしているのですが身につきません。
ピン止め(ぴんどめ)
自分の思い通りに動けません。
体のどこかがピン止めされていて、自由に手足を伸ばせないし、考えもどこかに固まっているかのようです。
[2016年3月]
不安(ふあん)
意外にも、とても楽しいときに突然不安になることがあります。
久しぶりに人の中に入って自分もその中の一人で居場所を確保できて嬉しい。
「でもこれはこのときだけだ」「もうこんなことはないかもしれない」なんていう思いが湧いてきます。
せっかくのいい雰囲気なのにとわかっていながら、不安になることもあります。
不穏(ふおん)
父親が家にいるとそれだけで気分が落ちつきません。
無言の圧力、存在の圧迫感がどこからともなくじわりとただよってきます。
顔をあわせないようにしているのですが、からだにしみ込んだ記憶がひとりでに作動してしまいます。
不幸自慢(ふこうじまん)
だれかがつらい体験を話しています。
自分にもつらい体験があるのでつられたように話したくなります。
なんだか自分の体験の方がよりつらいというような調子になり、止めたいのだけれどもうまく止められない。
さらに別の人がこの話しに加わったりするともう大変。
合唱というか次つぎとつらい体験が話され、それぞれが自分のつらさこそ一番つらいという感じになります。
まるで不幸度を自慢しあっているようです。
〔類似語〕武勇伝。
不幸体質(ふこうたいしつ)
病気がちで、仕事や学業に支障をきたしてうまくいかず、仕事に就けず学校を辞めることになりました。
異性に近づけず、家族ともなんとなく溝がある悪循環。
そんな自分を不幸体質と表現したいです。
「笑い」または「笑える状態」に身を置くことが効果的といわれています。
不条理(ふじょうり)
人様(ひとさま)にはせめて迷惑をかけないように気をつけて生きています。
向こうから歩いてくる人がいたら、気をつけて道の端に寄ったり、ゆっくりと歩いたり。
水たまりがあれば相手が歩きやすいように自分がその水たまり側を歩いたり、いろいろ気をつかっているのです。
でも、後ろから急ぎ足でやってきた人が、ドンとぶつかり、ろくに謝りもせず追い越して行きました。
こんなときに不条理という言葉が浮かんできます。
美容院(びよういん)
大きな鏡に向かい欠点を含めて見えてくる。
自分の姿が洗いざらい写され「お仕事は何されるんですか?」「きょうはこれからお出かけですか?」など返答に困る質問をされる場所。
美容師さんとのトークが苦手なのでいつも寝たふりか雑誌を熟読するふりをします。
二見知り(ふたみしり)
初めて会うときよりも顔を知った後に顔を会わせるときが緊張する。
どんな顔をして会えばいいのか困ってしまう。
普通(ふつう)
普通であることは難しいです。
普通はかなり高いレベルのことをさします。
最近は「フツーにうまい」の言い方が広がりました。
かなりうまいという意味になります。
それを聞いて少し納得しました。
ふっきれる
自分で不登校をした経験が、あまり悪いことではなかったと思えるようになったとき、自分は自分の道を行く気持ちが湧いてきました。
それがふっきれた感じです。
いまの自分がいるのは不登校経験があるからです。
不登校の経験を肯定的に考えられるようになりました。
負の連鎖(ふのれんさ)
ひきこもり経験者が活動的になり、仕事に就いたりした後で、ひきこもりを否定的、低く見るようになる人がいます。
自助グループなどでも自分より弱い当事者をいじめたり、つぶしたりすることがあります。
弱い人を踏み台にして上に行こうとすると負の連鎖になります。
武勇伝(ぶゆうでん)
薬の量や副作用の強さ、自傷行為の経験、生い立ちの不幸などを自慢し、競うように話します。
何かの英雄物語か武勇伝のようです。
聞く側の人には感動も同情も沸かず苦しくてイヤなものです。
話す場を間違えています。
〔類似語〕不幸自慢。
ブラストレーション
人の悪口を発するとき、自分よりも容姿が下かもしれない女性の話は、男性から同情と共感をもらいやすいようです。
美人の悪口は共感されず、口元の緩んだ様子から「こいつねたんでるな」という感情を読みとられるので、逆にストレスがたまります。
この様子をブラストレーションとよびます。
美人の悪口はいうものではなく黙っていることが賢明のようです。
男性は美人に弱い、弱すぎる。
プリクラ
最近は下火になっているプリクラ(プリントクラブ)。以前のはやっていたころのこと。
多くの人と私のプリクラを交換しました。
手帳に整理して並べていると、なんだか多くの友達ができたようで、一人で眺め満足していました。
いま思うと、交換することだけの瞬間的な付き合いで、友達なんかじゃなかったんです。
たぶん友達に飢えていたです。
フリーズ
からだが固まって身動きができない感じです。
見ている人は反応しない人間と思うかもしれません。
あまりにも多くのことを同時にこなそうとすることは、何もしないことと同じになるとからだで感じているのです。
私にとってのパニックとはフリーズ(凍りつく)と同じです。
フリースペース
二十代後半以上のひきこもりの人にとっては、18~20歳ごろの心性に戻ってお互いに交流できる(したい)と思っている場。
さまざまな要素によってかき乱されますが、ときたまそのような状態になるのが居心地よくて、つい期待してしまいます。
振り出し(ふりだし)
もうここまで年を重ねてしまうと(といっても三十代ですが)、この先のことが見えてしまってやる気がそがれます。
できれば子どものころに戻ってやり直したいと思うことはしょっちゅうです。
〔類似語〕リセット(作り直し)。
古株さん(ふるかぶさん)
フリースペースなどを長く居場所にしている人で、知らないうちにできている暗黙の習慣などがわかるのでその場を差配するタイプです。
長くいるだけではそうはなりません。
その場で特定のことを縄張り意識にする人がいたり、新参者に対して“暗黙のルール”を持ち出して嫌悪感を表したりすることもあります。
その不文律の慣習をこえるだけのものがないと、逆にこの先輩を煙たく感じてしまいます。
古新聞(ふるしんぶん)
自分の部屋には、古い新聞が重ねられています。
一度「かたずける」ということで、棄てられたのですが、新聞置き場に行って回収してもらいました。
全部は回収できなかったんですが。自分がまだ消化していない部分があって、それを未消化のまま消去されるような気がしたのです。
自分でも部屋がだんだん狭くなるくらいの量なのですが、あれ以降は選んで新聞を残すようにしています。
それでも少しずつまたたまっています。ごめんなさい。
でも棄てられないのです。
分担(ぶんたん)
一つのことを私と誰かが一緒に協力してすすめるのはなぜか苦手です。
何かをすること自体はいいときもあるのですが、一人でできないときはちょっと苦しいです。
せめて一人ひとりの分担範囲を決めてもらうと、気分が楽になります。最善を尽くせそうな気がします。
たぶん自分の部分に入って来られるのがイヤというところがあるのです。
平穏 (へいおん)
毎日が平穏に過ぎる日が続くと、このままずーっと行きそうに思います。
それは錯覚なのです。ちょっとしたことであるとき崩れます。
不安感がますと今度は現実が突きつけられるように迫ってきます。
現実を見ると怖くなり、不安感は加速します。
平常心(へいじょうしん)
ゆっくりできる喫茶店を知っています。
人の出入りの多いファストフード店よりも楽です。
ファストフード店では、人が多く混雑しがちなので、早く立ち退いてくださいという店員の気持ちがわかって、平常心でいられなくなります。
平成時代(へいせいじだい)
ちょうど30年前あたりからひきこもりが始まった。平成は終わった。
私のひきこもり生活も終わった…はずだが、後遺症かな?
ひきこもり 平成時代と まるかぶり
ペット
話す相手がいなくて、いろんな思いがたまってくると、ついペットを相手に話しかけてしまいます。
常習(慢性)の人もいるし、ペットショップに出かけてペットに話しかける人もいます。
人が相手だと相手の反応が気になってしまいますが、ペットだと反応なんか気にしなくていい、だからラク、ということもあります。
返事(へんじ)
短い形で、自分の意思を表せる方法。
「いや」「できません」「別に~」というのは言葉による返事。
無言、無視、しらんぷりというのもあります。
私の場合どの返事の仕方をみても反発したり、同調した形になっていない返事をしているのが自分でもわかります。
変に目立つ(へんにめだつ)
無視されるのもいやですが、注目されるのはさらに苦手です。
このバランスが難しいです。
髪が長くなって、顔の表情がわからなくなったと密かに喜んでいました。
ところが気が付けば、髪を長く伸ばしている人と呼ばれていました。
隠れるつもりが逆に目立つことに…。
こういう変に目立つ体験が多いです。
返品(へんぴん)
仕事につこうと考え派遣会社に登録しようと思い立ちました。
でも、その派遣会社からどこかに紹介された私はすぐに返品されるのではないかと怖くなりました。
超えられない壁のような気がします。
結婚することを考えても相手から返品されるのではないかと消極的になってしまいます。
星(ほし)
夜は孤独な気分になりやすいです。
比較的高層のマンションにいるので町の灯りをみることもできるのですが、町は雑然として気分は落着きません。
空を見上げて星が輝いていたら、すっきりした気分になれます。
都会では星もポツポツとしか見えないのですが、ときたますっきりと見えることもあり嬉しいものです。
本当の友達(ほんとうのともだち)
友達らしい人はいたと思います。
しかし本当の友達とは違います。
お互いになんでも言い合ってわかりあえるのが本当の友達です。
もしかしたら「青い鳥」を探しているだけかもしれません。
どこかにいるはずなので、いまの不満足感のある人を本当の友達とは認めたくはないのです。
ある人から、それは育てるもの、お互いさまのものといわれました。
ポンコツ
自嘲して言うことばです。
使い古して動きの悪い自動車をポンコツ車といいますね。
自分はあれと同じです。
漢字で書くと凡骨で、「平凡な才能・素質」と辞書にあります。
それほど極端に低く落としているのではなさそうです。
〔id、1604〕
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