(2)通所施設、宿泊施設(説明)
通所施設、宿泊施設(説明)
〔*『登校拒否関係団体全国リスト』(99~2000年版)第1部「対応する団体・施設」の(2)(1999年3月発行)です。
その後の制度変更、社会状況の変化により、ここに述べてあることはそのままでは通用しないところもあります。〕
学校・支援団体の解説構造の「学校以外の支援団体・機関」
目次 |
子どもの居場所(フリースペース)
学校以外で、子どもが学習したり、遊んだり、話し合ったりできる施設や場所です。“子どものたまり場”とよばれることもあります。
児童館や学童保育所は、ある程度の公共施設の性格をもっています(地域差があります)が、居場所は、任意で開設されかなり私的性格の強い施設です。
登校拒否の子どもを受け入れている居場所では、一般に、子どもの自主運営をめざしているところが多いようです。
施設は多様なあり方を示していますが、いくつかの点で特色をみることができます。
(1)指導員が常時いて、場所の利用を図っている所。
設置者である親の会の一員や学習塾の教師が、合い間に様子をみている所。ある程度の年齢の子どもが、事実上中心になって運営している所など。
(2)常時開設(もちろん深夜は除く)の所。
一定時間(曜日や時間帯を決めて)に公共施設の一室、個人宅の一角などを借りて開設している所。
(3)会員制で有料になっている所。参加費は必要だがだれでも参加できる所、無料の所。有料といっても特に高い所はありません。
(4)子どもにとって学習の比重が高い所。それほどでもない所や学習指導のまったくない所。
(5)登校拒否の子どもを主な対象としている所。登校拒否にかぎらずだれでも参加対象となっている所。
これらのいくつかの要素が組み合わされて、居場所の性格が決まります。
だれが設置者なのか(親の会、学習塾、教育相談所……)によって、これらの要素がいくぶん左右されてきます。
プレイスクール
フリースペースに似ていますが、指導員がいて主に小学生や中学生を対象に、遊びやゲームを指導員と一緒にする所をプレイスクール(遊びの学校)といいます。
スポーツや野外活動をする所もあります。
登校拒否の子どもを受け入れているプレイスクールもあります。
アウトワード・バウンド・スクール
野外活動を中心とした体験学習、冒険教育の実践の場です。
ヨーロッパで生まれた教育理論、教育運動で、近年日本に紹介されました。
子どもの自主性・自発性を育てるために、野外体験などをとおして「考えること・気づくこと」を主眼にした「待ちの教育」といわれています。
登校拒否の子どもに対しても有益な方法と考えられ、青少年自然の家などと協力してキャンプなどの実践の場を設定しています。
○日本アウトワード・バウンド協会
ここはアウトワード・バウンドの教育を広め、その指導者を養成するために設立された機関です。
青少年を受け入れる自然の家や教育委員会などと協力しています。
宿泊施設・国内留学
宿泊施設は親元から離れて、主に登校拒否の子どもと指導員が住み込み、共同生活をする場、入所施設です。
一部には国内留学とよんでいる所もあります。
施設のある場所は、都市地域から比較的離れた、自然豊かな農山村地域が多いようです。
入所者の多くは中学生以上の学齢の子どもです。原則として近くの学校へ通います。
共同生活では、農作業、動物の飼育、学習、仲間との討論や自主活動などが組み込まれています。
高校年齢以上の入所の子どもが通信制高校に籍を置いたり、大検をめざして学習している所もあります。
設置者や指導員の多くは、登校拒否への理解の深い人です。
しかし1991年夏に、子どもの監禁・死亡事件を起こした風の子学園(広島県)も宿泊施設でした。
作業が強制労働的であったり、生活の拘束性が強い所は、“収容所”的な性格があると考えられます。
このような強制や拘束は子どもが目標をもってがんばり、熱中しているのとは別のことです。
入所の前には、親子で実際に訪れて、入所している子どもたちの様子を見たり、指導員と話し合って確かめる必要があります。
入所・退所が子どもの自由意志で容易に認められる所と、初めの約束である程度制約されている所があり、入所前に確認しておく必要があります。
この方法の違いは教育観や登校拒否の子どもの状態に左右されるもので、一般的にどちらがいいとは言えません。
設置者にとって、宿泊施設の運営は大変です。
指導員は忙しく、施設の出来事に全責任を負います。
指導員の養成や運営資金の負担も大変です。
公的援助のない施設は資金面でぎりぎりの状態が多いといいます。
かなりの宿泊施設が加盟する全国的な協議会があります。
○青少年創・生連絡協議会
この協議会に関係・協力する団体の取り組みを紹介した本として、河合洋編『不登校児の新しい生活空間』(日本評論社、定価1600円)があります。
公立の宿泊施設に当たるのが、自治体、教育委員会の実施する山村留学、海浜留学(小学校・中学校・高校)であると考えられます。
牧場
登校拒否の子どもを受け入れている牧場があります。
動物とふれ合うこと、自然のなかで体を動かし働くこと、親元から離れて自活すること、そのなかで仲間とかかわること、などが相乗効果となって、登校拒否の子どもにいい役割を果たしていると考えられます。
教育牧場、あるいは福祉牧場として、登校拒否の子どもなどを積極的に受け入れている所と、一般牧場で、結果として登校拒否の子どもを受け入れている所に分けられます。
(1)親の会と体験者の会(説明)
(2)通所施設、宿泊施設(説明)
(3)学習塾、フリースクール、家庭教師(訪問活動)(説明)
(4)大検と大検予備校(説明)
(5)小学校・中学校(説明)
(6)中検と夜間中学校(説明)
(7)義務教育制度を補完する方法(説明)
(8)教育委員会・教育行政(説明)
(9)高等学校(全日制)(説明)
(10)定時制高校(説明)
(11)通信制高校(説明)
(12)技能連携校と通信制サポート校(説明)
(13)仕事の学校と就業=就職サポート(説明)
(14)外国の高校(留学・ホームステイ)(説明)
(15)大学・短期大学・専門学校(説明)
(16)児童福祉施設(説明)
(17)医療・心理・保健機関(説明)
(17-2)臨床心理士とカウンセラー、セラピスト(説明)
(18)司法と人権の機関(説明)
(19)電話・文通・出版・体験発表(説明)