(8)教育委員会・教育行政(説明)
学校・支援団体の解説構造の「学校関連」
目次 |
教育委員会・教育行政(説明)
〔*『登校拒否関係団体全国リスト』(99~2000年版)第1部「対応する団体・施設」の(8)(1999年3月発行)です。
その後の制度変更、社会状況の変化により、ここに述べてあることはそのままでは通用しないところもあります。〕
個々の小学校、中学校での対応ではなく、自治体(教育委員会)単位で取り組む事業のなかに、登校拒否への対応を含むものがいくつかあります。
適応指導教室・相談学級
長期欠席の子どもに対応するために、教育委員会が設立した、登校拒否の子どもだけで組織する学級です。
小学校・中学校、教育センター・相談所そのほかの公共施設内に設けられているところが多いようです。
一部には駅前ビルなどに開設しているところもあります。
子どもは、元の学級・学校に籍を置いたまま(原籍校という)、適応指導教室・相談学級に入ることになります。
地域によっては原籍校の籍を離れることもあります。
適応指導教室に通室(通学)すると、在籍する小学校・中学校での出席扱いとなるために、適応指導教室に行くのは登校拒否の子どもではない(?)という珍現象が生まれます。
相談学級のほかに、適応教室、相談コーナーなどいろいろな名称があり、またその内容にも地域差があります。
医師や臨床心理士と協力して相談にのっている所、学習・遊びや集団活動など取り入れている所など、一見フリースクールの様相を示しているところもありますが(フリースクールを自称するところもあります)、設置している自治体により内容は変わります。
一般の学校では学級定数が多く、教師は子ども一人ひとりに目が届かない面がありますが、適応指導教室・相談学級では、子どもが少なく、教師に時間のゆとりがあり、一般的には対応がスムーズです。
大多数の学校や教師が、登校拒否の子どもにうまく対応できない状態では、適応指導教室は積極的な意味をもちますが、根本的には問題ももっていると指摘されています。
例えば、登校拒否の子どもへの教師(学校)としての指導を放棄し、適応指導教室に入れて一件落着にする。
すべての学校、学級で登校拒否の子どもに対応する方向が必要なのに、適応指導教室にその役割を負わせ、一般の学級は登校拒否の子どもが提出している問題を素通りする。
適応指導教室に通級する子どもと一般学級の子どもの間で生まれる区別と差別。
また、適応指導教室で「再登校」を目標とするあまり、不適切な対応をするケースもあります。
これら両者の意味をもっているのが現在の適応指導教室・相談学級のようです。
適応指導教室は98年で全国に800か所以上に達し、全国的な連絡会もつくられています。
養護学校(病虚弱児)
心身に障害をもつ子どもの成長と教育を保障するために、障害児学級(盲学校、聾学校、養護学校)があります。
そのうち養護学校は、精神薄弱、肢体不自由、病虚弱児の3種に分けられ、病虚弱児養護学校のかなりの学校に登校拒否の子ども(小学生、中学生、高校生)が入学しています。
養護学校は医療機関に付設、隣接していて、子どもは近くの寄宿舎、児童福祉施設、ばあいによっては病院から学校に通学します。
養護学校は、教育、医療、生活のあらゆる面に対応する学校です。
登校拒否の受け入れ条件は、学校または病院によって差がありますが、発育不全、アレルギー、肥満などある程度の身体症状を条件とするところが多いようです。
病虚弱児養護学校は、全国に97校あります。
高校生を対象とする高等部があるのはこのうち約30校です。
子ども数、生徒数が少なく、生徒一人ひとりの実情に応じた対応をします。
健康学園
東京都特別区の一部が設置する、小学生対象の全寮制の“準”養護学校です。
子どもは区立小学校に在籍したまま、健康学園で生活と学習をします。
医療機関は付設されていません。
入園対象者は、アレルギー体質、肥満、虚弱など病弱児養護学校と似ています。
自然体験を希望する子の入園を認めるところもあり、山村留学とも似ています。
所在地は千葉県南部や伊豆半島など自然ゆたかな地域です。
周囲の環境を生かした行事や地域の子どもとも交流もあり、少人数制の学園です。
東京都特別区が設立する養護学校も、内容的にはこの健康学園と同じです。
多くは設立されたのが養護学校義務化以前の時代(戦前に設立の所もあります)で、当初から自然環境が子どもの健康に大きく影響することを認めた“転地療養”的考え方でつくられたためと思われます。
中学校に対応するのは、東京都立の健康学園が1か所設置されています。
院内学級・訪問教育
6か月以上の長期の療養中の子どもに対して、教育委員会を通して、定期的に教師が派遣される制度が訪問教育です。
障害者など主に自宅で生活する子どもへの訪問と病気入院中の院内学級(病院内学校)の2種類があります。
小児科の入院病棟のある病院を中心に、全国で約300病院でこの制度が実施されています。
教師は、教育委員会を通して派遣されてきますので、訪問学級・訪問教育ともいいます。
97年、文部省は養護学校高等部においても訪問教育を実施する方向を示しました。
養護学校高等部を設置していない県もありますが、高等部の設置も含めて訪問教育の整備は進むものとみられます。
山村留学・海浜留学
農山村・漁村地域の自治体(教育委員会)が実施している小学生、中学生および高校生の国内留学制度です。
受け入れる小学校、中学校および高校は、自然ゆたかな地域にあり、都市域に生活する子どもにとっては、雰囲気がガラリと変わって快適な環境になります。
入学できる児童・生徒は、受け入れる学校によって条件が違いますが、「普通学級で学ぶことができる」「自ら希望して入学する」などの所が多くをしめています。
一部の学校では「里親の理解が得られれば」「子どもの状態によっては」「一定の数にかぎっては」不登校の子どもも受け入れています。
また、近くに登校拒否の子どもを積極的に受け入れている宿泊施設があり、そこから通学することを条件にしている学校もあります。
子どもは現地の子どもたちと一緒に、生活、学習、遊びなどをします。
寮(または宿泊施設)のあるところ、里親制のところ、家族転住のところ、混合のところなど、学校によって異なります。
自治体の過疎対策などとも結びついて、毎年のようにこのような留学事業を開始する自治体があります。
教育センター・教育相談所
教育委員会や公立の教育研究所などの教育行政部門が、各種の教育相談の場を開設しています。
これらの教育相談所は、登校拒否をしている子どもの親が困って相談をする機会の多いところです。
応々にして、家族・家庭での原因調べに終始し、学校的価値観から誤解や偏見に満ちた対応をしているといわれます。
相談員の多くが元校長であるために、学校教育的発想の枠内で処理・解決を考えやすいこと、臨床心理の経験不足や登校拒否への無理解などによるものです。
もちろん、このような相談所でも登校拒否に深い理解をもつ相談員はいますし、最近は特に登校拒否への対応のしかたが深められつつあるといってよいでしょう。
また、医師、心理などの専門家と協力して、より適切に対応しているところもあります。
(1)親の会と体験者の会(説明)
(2)通所施設、宿泊施設(説明)
(3)学習塾、フリースクール、家庭教師(訪問活動)(説明)
(4)大検と大検予備校(説明)
(5)小学校・中学校(説明)
(6)中検と夜間中学校(説明)
(7)義務教育制度を補完する方法(説明)
(8)教育委員会・教育行政(説明)
(9)高等学校(全日制)(説明)
(10)定時制高校(説明)
(11)通信制高校(説明)
(12)技能連携校と通信制サポート校(説明)
(13)仕事の学校と就業=就職サポート(説明)
(14)外国の高校(留学・ホームステイ)(説明)
(15)大学・短期大学・専門学校(説明)
(16)児童福祉施設(説明)
(17)医療・心理・保健機関(説明)
(17-2)臨床心理士とカウンセラー、セラピスト(説明)
(18)司法と人権の機関(説明)
(19)電話・文通・出版・体験発表(説明)