Center:(2)移転前の講演会と移転直後の状況
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(2)移転前の講演会と移転直後の状況=
5月13日に新小岩校で講演会を開くことを、第一高等学院から許可してもらった。
講演会の準備自体はそうたいしたことはない。
出入りしている人を中心によびかけ、相談や問い合わせをしてくれる人に参加をよびかけ続けた。
その講演会には、結局100人以上が参加した。
人生模索の会のメンバーとトカネット(訪問サポート)の学生がそれぞれ20名ぐらい含まれる。
いちばん多いのは、引きこもりの子を持つ親だった。
私が「引きこもりから社会参加へ」のテーマで話し、トカネットの学生が訪問サポートの体験を発表した。
講演と発表の後は、それぞれグループに別れて話し合った。
人生模索の会のメンバーはといえば、新しく移ってくることになる新小岩校舎の建物内をあちこち見て回ったり、話し合ったりしていた。
これといってまとまった話をする場ははなったが、私のねらいはそれでも十分だった。
私はといえば、参加した親を子どもの年齢で2つのグループに分け、その25歳以上のグループの集団交流の場にいた。
参加人数が少なければ個別の相談の機会にしてもいいと思っていたが、参加人数は多かった。
グループ毎に交流の形で話をきく方法をとったのはそのためだ。
私のこのグループ交流会には参加者が十人余。
とても好評で「こういう親の交流の場をつづけてほしい」という要望があった。
それ以降月1回のペースで続けることになり、現在は、親の会(IINA会)として成立している。
これらの5月ごろの動きが、読売・朝日両紙で大きく報道された。
読売新聞は5月21日付けで、駒田君の体験したことをまとめた記事と5月13日の講演会・集会模様を伝える内容だった。
朝日新聞は5月28日付けで「大検予備校 ビルをポン!」という見出しで、第一高等学院が不登校情報センターに新小岩校舎を無償で貸す経緯を伝え、「引きこもりの人集まれ」の記事になった。
6月3日、引越し作業。
人生模索の会の人たち約20名が手伝って、大塚の事務所をひき払い、新小岩に向かった。
なかば居抜きの建物のところ、机、いすその他の設備もある程度使用できる。
段ボール箱に詰めた荷物を運び終えたところで一段落。
片づけは後にして、座れるスペースでの雑談(?)が始まった。
移転した新しい不登校情報センターは、毎週水曜日ごとに人生模索の会に人は集まった。
それ以外の日にもちらほらと顔を見せる人もいた。
一日のある程度の時間を荷ほどき、片づけ、場所づくりにあてながら、私は様子をみていく。
女性の会(社会参加を目指すひきこもり女性の会)というのもときどき成りたっているようだった(ということは成り立たないこともあった)。
大塚時代に生まれた30歳前後の人の会は、あるカウンセラー指望の人がかかわって、定着しつつあるようにみえた。
その一方、20歳前後の人のよびかけを見たことはあるが誰も集まらなかったようだし、土曜日の会を開くことになっていたが1人しかこなかったり・・・・・・そんな様子だった。
ともかく私がある一室にいて、そこで仕事をしていても、他の部屋が空いている。
そこで誰かが何かをしようとしていても、スペースとしては支障がなくなった。
これは大塚のころとは違う。
1月か2月したころで、移転後の様子を改めて考えてみたことがある。
数人から感想を聞いてみたこともある。
少しぎくしゃくしている感じがするという答えであった。
7月に花火を近くの公園でやろうという人がいたが、どうも盛り上がりに欠ける。
ある人は「変わってきてから、居場所がありません」と言ってきた。
「大塚のころがよかった」という人もいた。
場所が教室、長机を前にいすに座る形になるのが堅く感じになるのだろうか。
そう思って教室にジュウタンを敷き、そこに直接座れる形にしてみた。
教室が人数の割には広く感じ、しかもすぐ隣に別の教室がある。
そちらに移っていく人もいる。
スペースとしてのまとまりのないことも関係しているのかもしれない。
いや大塚のころは、狭い部屋にぎゅうぎゅう詰めで、うっかり足をあげたら次に足を降ろす場が見つからないくらいだった。
それが結局よかったのだ。
人と膝をつきあわせる感じ、スキンシップ的雰囲気が案外よかったんじゃないのか・・・・・・。
いまはそれがないから逆作用なんだよ・・・・・・。
いかにももっともらしく聞こえる意見だったが、本当かどうかはわからない。
だれかが確信をもって話したわけでもない。
ただはっきりしている。元に戻ることはできない。
いまの現実をよくするしか方法はない。
方法がまだわからないだけだ。
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