(6)本人の悩み・訴え・症状と対応
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− | 私が、相談その他の形で聞くことができた本人の意識、悩み、課題などをおおまかにわけてみると、次のようになります。<br>こういう形で自分の問題を感じているのです。<br> | + | ==(6)本人の悩み・訴え・症状と対応== |
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①友達に関係すること――いじめや仲間はずれ、孤立、違和感、友人がいない。友達をつくりたいと(探している)…。<br> | ①友達に関係すること――いじめや仲間はずれ、孤立、違和感、友人がいない。友達をつくりたいと(探している)…。<br> | ||
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⑥性格など――性格を変えたい、気を強くしたい、自己主張できるようになりたい、悪に手を汚したくない…。<br> | ⑥性格など――性格を変えたい、気を強くしたい、自己主張できるようになりたい、悪に手を汚したくない…。<br> | ||
− | これらが人によってはいくつか組み合わされて、語られます。<br>それは悩み、苦しみであり、家族との関係や生活上の困難であり、未来への漠然とした不安となっています。<br> | + | これらが人によってはいくつか組み合わされて、語られます。<br> |
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− | 私は、以上の不安や訴えにそれぞれ答えるわけですが、次の面にも気を配るようにしています。<br>これらは問題を感じていても、なぜそうなるのか、どんな意味があるのか、考えてもよくわからなかったこと、考えの及ばなかったことなのです。<br>自分を知るうえでは大事な点だと思います。<br> | + | 私は、以上の不安や訴えにそれぞれ答えるわけですが、次の面にも気を配るようにしています。<br> |
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− | 感情を抑制した結果は、心的なストレスが重なり、さまざまな身体症状として表れます。<br>意識以上に、本質的な状態はここに表れます。<br>これらの身体症状は苦痛を伴い、また身体のエネルギー消耗を激しくします。<br>疲れやすい人たちなのです。<br>そういう症状が出ることにより、問題の所在を表出させる役割があります。<br> | + | 感情を抑制した結果は、心的なストレスが重なり、さまざまな身体症状として表れます。<br> |
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− | さらに、そういう症状自体が自己保存的な役割も果たしています。<br>もし症状が出ないのであれば、問題の所在に気づかないばかりか、個体を破壊する事態が一挙に進行します。<br>身体症状は、この事態の悪化を止めることはできないはずですが、いくぶんは緩和させているのです。<br>その過程で適切な対応をすれば、進行を止め、逆に改善方向に反転させることができます。<br> | + | さらに、そういう症状自体が自己保存的な役割も果たしています。<br> |
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− | 身体症状には、アレルギー系(皮膚炎、ぜん息)、消化器系の症状(胃腸障害、大腸症候群、過食と拒食など)、頭痛、胸部のしこり感などがあります。<br>特定の身体部位ではなく、不安、恐怖、実在感の喪失、離人感、感情喪失…など精神疾患系に属することもあります。<br> | + | 身体症状には、アレルギー系(皮膚炎、ぜん息)、消化器系の症状(胃腸障害、大腸症候群、過食と拒食など)、頭痛、胸部のしこり感などがあります。<br> |
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− | これらに対応するには、医師・医療機関に行き、投薬などの対処を必要とすることがあります。<br>しかし、それで十分とは思えません。<br>私は統合失調症に関する講座に出席したことがあります。<br>その講師(医師)は、「服薬+自然治癒力」が治す方法であると述べました。<br>いい表現だと思います。<br> | + | これらに対応するには、医師・医療機関に行き、投薬などの対処を必要とすることがあります。<br> |
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− | この医師の話のなかには、カウンセリングの方法はありませんでした。<br>日本の精神医療の現場の多くはそうだからです。<br>しかしこの医師は、自然治癒力(それは医療行為の場面で使用される生命力と同義の言葉)を根本をおき、服薬はそれを助けるものとしているのです。<br>服薬にしてもカウンセリングにしても、それは適切さが問われますし、それはたんに医師やカウンセラーに任せられるものではなく、引きこもりの当事者の感覚的な判断が大切になります。<br>その意味で、ドクター(カウンセラー)ショッピングと言われる、自分に合った医師やカウンセラーを探す試みは必要でもあります。<br> | + | この医師の話のなかには、カウンセリングの方法はありませんでした。<br> |
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− | この講師は、自然治癒力が第一だと言っているのです。<br>それに比べれば、医療行為や心理療法は副次的なものです。<br>私は、この医師の言葉の次に、さらに次の言葉を追加したいのです。<br>「むしろ自然治癒力を発揮させるために医療行為や心理療法がある」と。<br> | + | この講師は、自然治癒力が第一だと言っているのです。<br> |
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そして自然治癒力(生命力)を引き出すに方法は、これ以外にもあります。<br> | そして自然治癒力(生命力)を引き出すに方法は、これ以外にもあります。<br> | ||
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2019年1月1日 (火) 09:39時点における最新版
この論文は『不登校・引きこもり・ニート支援団体ガイド』の序文として書いた「引きこもりからどう抜け出していくのか」です。
(6)本人の悩み・訴え・症状と対応
以上のように、引きこもりの人については、かなりの点を共通した事情として説明できます。
しかし、一人ひとりがどこをどのように意識するかに関しては、その人にとって印象深い事件や身体症状、おかれた状態によって大きく違ってきます。
私が、相談その他の形で聞くことができた本人の意識、悩み、課題などをおおまかにわけてみると、次のようになります。
こういう形で自分の問題を感じているのです。
①友達に関係すること――いじめや仲間はずれ、孤立、違和感、友人がいない。友達をつくりたいと(探している)…。
②教師と学校――強い秩序の圧迫感、集団行動ができない(ついていけない)、教師が自分に向かうときの無頓着、成績が下がる(授業についていけない)…。
③両親と家族――自分の感情や感覚を無視される(受けとめてもらえない、わかってもらえない)、指示命令、家族のなかでの異端者扱い、両親の不和、家族の殺伐とした状態、いつも常識的で紋切型のことばかりしか答えない…。
④進路の選択――不登校自体への自己否定感、同年齢の人との比較、遅れを取り戻したい、学校をやめたい、卒業したくない…進学できる学校探し…。
⑤社会と仕事――社会は自分が働けるところではない、自分に合った仕事をしたい、対人関係がうまくいかないから仕事が続けられない、作業が遅い、ついていけない…。
⑥性格など――性格を変えたい、気を強くしたい、自己主張できるようになりたい、悪に手を汚したくない…。
これらが人によってはいくつか組み合わされて、語られます。
それは悩み、苦しみであり、家族との関係や生活上の困難であり、未来への漠然とした不安となっています。
私は、以上の不安や訴えにそれぞれ答えるわけですが、次の面にも気を配るようにしています。
これらは問題を感じていても、なぜそうなるのか、どんな意味があるのか、考えてもよくわからなかったこと、考えの及ばなかったことなのです。
自分を知るうえでは大事な点だと思います。
感情を抑制した結果は、心的なストレスが重なり、さまざまな身体症状として表れます。
意識以上に、本質的な状態はここに表れます。
これらの身体症状は苦痛を伴い、また身体のエネルギー消耗を激しくします。
疲れやすい人たちなのです。
そういう症状が出ることにより、問題の所在を表出させる役割があります。
さらに、そういう症状自体が自己保存的な役割も果たしています。
もし症状が出ないのであれば、問題の所在に気づかないばかりか、個体を破壊する事態が一挙に進行します。
身体症状は、この事態の悪化を止めることはできないはずですが、いくぶんは緩和させているのです。
その過程で適切な対応をすれば、進行を止め、逆に改善方向に反転させることができます。
身体症状には、アレルギー系(皮膚炎、ぜん息)、消化器系の症状(胃腸障害、大腸症候群、過食と拒食など)、頭痛、胸部のしこり感などがあります。
特定の身体部位ではなく、不安、恐怖、実在感の喪失、離人感、感情喪失…など精神疾患系に属することもあります。
これらに対応するには、医師・医療機関に行き、投薬などの対処を必要とすることがあります。
しかし、それで十分とは思えません。
私は統合失調症に関する講座に出席したことがあります。
その講師(医師)は、「服薬+自然治癒力」が治す方法であると述べました。
いい表現だと思います。
この医師の話のなかには、カウンセリングの方法はありませんでした。
日本の精神医療の現場の多くはそうだからです。
しかしこの医師は、自然治癒力(それは医療行為の場面で使用される生命力と同義の言葉)を根本をおき、服薬はそれを助けるものとしているのです。
服薬にしてもカウンセリングにしても、それは適切さが問われますし、それはたんに医師やカウンセラーに任せられるものではなく、引きこもりの当事者の感覚的な判断が大切になります。
その意味で、ドクター(カウンセラー)ショッピングと言われる、自分に合った医師やカウンセラーを探す試みは必要でもあります。
この講師は、自然治癒力が第一だと言っているのです。
それに比べれば、医療行為や心理療法は副次的なものです。
私は、この医師の言葉の次に、さらに次の言葉を追加したいのです。
「むしろ自然治癒力を発揮させるために医療行為や心理療法がある」と。
そして自然治癒力(生命力)を引き出すに方法は、これ以外にもあります。
(1)引きこもりと不登校、ニート
(2)引きこもりのさまざまな原因・理由
(3)五感が敏感な人たち
(4)第六感としての「心の雰囲気がわかる」感性
(5)自己点検で感情を抑制していく
(6)本人の悩み・訴え・症状と対応
(7)意欲(生命力)を引きだす基本
(8)引きこもりからの回復と母親の役割
(9)反発心が自立には必要
(10)親の「あきらめ(?)」と子どもの自由への復帰
(11)親しい友人づくりと同世代復帰
(12)精神的な健康回復が先行