Job:鋳物工・溶解工
鋳物工・溶解工
〔2003年原本〕
鋳物工(いものこう)は鉄などの金属を溶解し、鋳型に流して生産財や日用品をつくります。
工程、扱う金属、作るものによっていろいろな機種に分かれています。
鋳型は砂型鋳造(ちゅうぞう)と金型鋳造に分かれ、砂型鋳造はそこに使う模型が木型か金属型かによってさらに分けられます。
自動車エンジンブロックなど量産型のものは、砂型鋳造の金属模型になります。
砂型鋳造の工程は、①混砂(こんさ)、②中子(なかこ)、③造型、④溶解、⑤注湯、⑥仕上げ、になります。
混砂は硅砂(けいさ)を主に、硬化剤や樹脂を混ぜた鋳物砂をつくります。
鋳込み地金の大きさや種類により内容が変わります。
中子は、鋳物の中空部分をつくるために、鋳型に砂型をつくる仕事です。
中子の部分に芯金を入れることもありあます。
中子を取るための木型などに、手作業や中子吹込機で圧縮空気を用いて砂を入れ、形をつくります。
造型は、周囲に鋳物砂を入れた母型(おもがた)をつくり、中子を収め、上型と下型を合わせて鋳型を完成させます。
大量生産型の工場では、圧力方式による造型や真空方式による造型も行われています。
溶解は溶鉄炉(キュポラ)といわれる溶融炉などを用いて、鉄など金属に添加物を入れ、金属を溶解する仕事です。
この仕事をする人はとくに溶解工といわれます。
注湯は、溶融金属を取瓶(とりべ)にうけ、注湯口から鋳型のなかに流し込みます。
仕上げは、金型が固まった後、鋳物を取り除き、付着した砂を落とし、鋳ばりを取り整形します。
鋳物工場は中小企業が多く、自動車、電気機器、産業用工作機械メーカーなどの下請け工場です。
機械導入が進んでいますが、鋳物の技法が尊重される職人的仕事は欠かせません。
技能資格として、鋳造技能士(鋳鉄鋳物、鋳鋼鋳物、銅合金鋳物、軽合金鋳物)と金属溶解技能士(銅合金坩堝(るつぼ)炉溶解作業、鋳鉄キュポラ溶解作業、鋳鋼誘導炉溶解作業など8種)が設けられています。
新人入職者は、砂処理の補助作業や造型作業の補助から実地訓練を受けます。職業訓練学校などの鋳造科で技術を学ぶことができます。
〔給〕は〔やや低〕~〔並〕。
かつては熟練後、独立することが多かったのですが、最近は減少している職種で独立は少なくなっています。