トレーサー
〔2003年原本〕
工業デザイナーや製図技術者の作成した設計図を清書したり、簡略化して、見やすいように書き直す人です。
ほかに図書に載せる図版類を描く人もいます。
物を作る設計図ほどの精密さは必要でなく、イメージを伝えるため、思いきり省略してポイントを明示したり、マンガ的に特徴を明らかにしたりします。
建築物の透視図とか自動車の精密な立体透視図は特殊なものです。前者の作者はパースデザイナー、後者の作者はテクニカルイラストレーターとよばれトレーサーと区別されます。
描く対象は、広告用の商品、機械、道具などのほかに動植物図、踊りの順番（手足の変化を示す）、簡略化した地図、店内の見取り図、理科実験の手順など千差万別です。
取引先（依頼主）によって、描く内容に一通りの傾向があるようです。
トレーサーになるには、職業高校や専門学校などでトレースを学ぶことが1つ。
実際にデザイン会社に入って実地訓練を受けるのもいいでしょう。
線のひき方、文字の書き方、いろいろな図面の基礎を学び、あとは訓練を重ねることです。
文部科学省が認定し、（材）実務技能検定協会が実施するトレース技能検定（1～4級）があります。
各級の水準は次のとおり。
4級＝簡単な図、工業用図面をトレースすることができ、図面作成上必要な初歩的な知識をもつ。
3級＝やや複雑な図、工業用図面を正しく美しくトレースすることができる。
図面表現に必要なＪＩＳの基礎事項を理解できる。
2級＝かなり複雑な図、工業用図面を正しく美しくかなり速くトレースできる。
ＪＩＳの基本的知識およびトレース技能が適応する専門分野について、図面作成上必要な基本的な知識をもっている。
1級＝複雑な図、工業用図面を正しく美しく速くトレースできる。
ＪＩＳおよびトレース技能の適応する各専門分野の知識と印刷用原図として使用できる高度の実技能力をもち、該当専門分野の技術を指導できる。
就業先はメーカーなどの設計部門やデザイン会社。
出版物の図版類を扱う人には独立自営の人も少なくありません。
収入は〔並〕、ときたま〔髙〕でしょう。
〔参考〕（材）実務技能検定協会＝トレース技能検定部
〒114－0015 東京都北区中里1－15情報館3Ｆ
TEL03－5814－1465
http://www.kentei.or.jp/trace.kentei/
