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Center:2012年1月ー不登校情報センターの引きこもり支援の特殊性

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不登校情報センターの引きこもり支援の特殊性

〔Ⅰ〕引きこもり支援の概要
公的な資金援助を受けている引きこもりの支援団体の中心的な方法は、対人関係訓練、職業技術訓練を重ねて就職に向かうことのようです。
外部者として見ると数年前に比べて、対人関係訓練が加わりその重さが徐々に大きくなっている印象を受けます。
そのぶん引きこもり経験者の現実に近づいた対応になりました。
そういう変遷はありますが、職業技術訓練を経て就職に向かう支援方法は一般的とおもいます。
それにたいして不登校情報センターのこれまでの取り組みにはそれがありません。
それでも就職に向かう人はいました。
対人関係ができ当事者のなかに意欲や行動のエネルギーが生まれた、その表れが就職という形で仕事につく方法だったのではないかと理解しています。

振り返ってみると、就職に向かうことは本人に任せて、不登校情報センター自体を働ける場にしようとするのが中心でした。
その次に浮上したのは就職以外の仕事につく方法として自由業や自営業的な方法を勧める、応援することでした。
創作活動を収入に結びつける方向も期待しましたが、同時に期待しすぎないようにしました。
自分を生かす、自分を肯定的に評価する、出来ることから始める…創作活動はそういう位置にあります。
創作活動の全体を悲観するのではなく、例えばネットショップからの可能性を考えています。

参考になるのは障害者雇用の最近の動きです。
これに関係している人たち、とりわけ精神障害者の雇用に関わる人たちが現場では感じるものは私と似ている面がありそうです。
「短期労働者」の制度を知ったときその感覚の近さに少し驚きました。
引きこもり支援を当事者の生活の現実に密着する方法で取り組んでいるところは、これに近い感覚を持つと思います。
最初に紹介した引きこもり支援の中心的な方法にいる人たちは、この現実をゆっくりと受け入れてきたのではないかと思います。
それが対人関係訓練の場を非公式に承認し、公式に導入したことであり、一部の地域若者サポートステーションがフリースペース化している背景です。
これは悪いことではありません。
現実に沿った対応はそういう種類のものになるしかないのです。
当事者の、とりわけ大人になった当事者の持つ“不動のちから”がそうさせているのです。

これからどこに向かうのか。就職指向は障害者雇用に傾くと思います。
障害者以外はたぶん福祉型の制度・施設への導入か個人的・集団的な職場づくりに向かうのではないかと思います。
要するにこれは不登校情報センターのたどってきた道と似ているのです。
不登校情報センターは集団的な職場として、収入を得られるワークスペースに成長することをめざしています。
個人的な仕事づくりは当事者の関心・特技を生かし、それをバックアップしていくことです。
そのような姿がかなり明瞭になりました。
これまでに公的な資金援助はありません。
公的支援を否定するつもりはないし、拡充を求めますが、不登校情報センターが公的援助を受けていたら事態の認識が遅れていたかもしれません。

〔Ⅱ〕不登校情報センターの特徴
不登校情報センターが早い時期から、このようなスタンスになったのはいくつかの理由がありそうです。
その特徴点を個条にしてみます。

(1)当事者の参加が自由意思によるものであること。
これはどの支援団体でも同じというかもしれませんが同じとはいえません。
不登校情報センターには定式的な訓練プログラムがありません。
それがないために逆に意味をもったのではないかと思います。
当事者は自分に興味・関心がないことにはタッチしなくてもいいし、逆に自分にできることを持ち込むのが可能な状態になっています。
不登校情報センターとして訓練プログラムが用意されていたらこうはならないでしょう。
また訓練プログラムがない状態で公的資金支援を受けることは難しいはずです。

(2)社会参加支援というより、人間関係づくりのフリースペースから始まったこと。
当事者が集まる状態は自然発生的に生まれたことですが、途中からはスペースを意図的に用意していきました。
それでもその全体がきわめて緩いものであったことはあまり知られていません。
いまではこのような緩さはいろいろスペースに生まれているように思います。
*(中村好孝・堀口佐知子「訪問・居場所・就労支援」、『「ひきこもり」への社会学的アプローチ』ミネルヴァ書房、2008年、参照)。

(3)当事者の要望は就職支援ではなく働ける場づくりでした
2002年ごろ、「働ける場にして欲しい」という要望が当事者の中から提起されました。
私はそれに対して「収入を得られる場にしよう」と回答としてワークスペースは始まりました。
この要望には当事者の「就職するのが向かう先ではない」という暗黙の気分が含まれていたのです。
これが就職ないしは仕事に就く方向を急がなかった1つの理由です。
それは初期の1990年代末に取り組んだ「人材養成バンク」の失敗が影響しています。
私自身が模索していた時期のことでした。
少なくとも就職を目標にする前の引きこもり経験者の課題を把握することが必要でした。
当事者側からのこの要望はこの時期への効果的な問題提起であったと思います。
*「2002年6月ー教育的アプローチを考える」のなかにその頃の状態を書いています。
2002年10月頃「あゆみ仕事企画」というワークグループが始まります。

(4)情報提供が出版からネットに交代する時期
不登校情報センターの活動にインターネットに関わる情報提供部分があり、その発展が「収入を得られる場」と結びつく可能性があったことも欠かせない要素です。
不登校情報センターが存続するには、ウェブサイト制作自体を収益のあるものに成長させるしかできなくなりました。
2003年から2004年ごろにかけてそれまでの出版による支援団体の情報提供方式が衰退し、それに代わってインターネットによる方法が表面化しました。
その課題と当事者の「収入を得られる場にしよう」というのが大筋で一致したのです。

(5)ある人は松田の個人的な特質が関係していることを強調しています。
そうかもしれませんしあまり関係ないことかもしれません。
私にはよくわからないことです。
いずれにしても不登校情報センターの取り組む引きこもり支援の方法は特殊であり、一般化のなかに解消することはできません。
特に支援団体の情報提供を業務とする点が特殊です。
特殊であるとの自覚がいつごろ生まれたのかはわかりませんが、徐々にそうなってきた感じがします。
その意味で不登校情報センターに引きこもり支援方法は、他の支援団体にはたいした参考にはなりません。
また他の支援団体の取り組み状況は、不登校情報センターにはあまり参考になりそうもありません。
支援方法でバッティングが起きにくいともいえます。
ただ「就職だけではない、仕事おこし・仕事づくりが欠かせない」になっているのは最近の引きこもり支援の全体に広がっていませんか。
「社会につなげようとしてきたものが、社会の方から近づいてきた」というのはここにも現われています。

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