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Center:2008年7月ーフルキャストの広告掲載について

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フルキャストの広告掲載について

〔『ひきコミ』2008年7月号に掲載〕 メールで「フルキャストのバナー張るのが気に入らない。すぐ外せ」というのが届きました。
なぜ、このバナー広告を掲載し、なぜ外そうと思わないのかの釈明をいたします。
フルキャストは派遣労働の大手企業です。
派遣労働が労働者の就業条件を悪化させ、労働の場を通じて技術・技能の習熟機能を低下させ、社会問題発生の一端を担っています。
このメールでの要請はそのような背景からのものでと受けとめます。
不登校情報センターは、引きこもりや対人関係不安があり、社会的場面から撤退した人たちをいろいろな面で支援するNPO法人です。
その重要な役割が、引きこもりの人たちの社会参加、就業支援に役立つ活動をすることです。
引きこもりの人の個人差、それは心身の状態の差でもあります。
その状況によって、社会参加に向かう方法、程度あるいは速度は違います。
病気レベル、障害レベルであればその現実から進まなくてはなりません。
長期の引きこもり経験があり、家族以外の対人関係が途絶えていた人で、20代後半以上になっていると、対人関係面で改善されたからといって、週5日勤務(1日8時間労働)に就くというのは、なかなかたいへんです。
推測ですが、少なくとも7~8割の人には心身の負担に耐えられず、早期に退職につながると思います。
それだけでなく、再び引きこもり生活に戻り、次の社会参加意欲をひき出すのに前回以上の苦痛を伴うこともあります。
その危険を察知して、過剰負担の仕事をやめられずにさらに傷を深める人もいます。
安全策をとって、週1日勤務とか、1日3時間週3日勤務を選ぶ人もいます。
これらは個人の希望、おかれた状態、就いた業種の適合性、職場の雰囲気など多くの要素が関係しています。
事前に全部の条件を了解した上で、就くことは実際上ありえません。
現実にその職についてみてわかる条件の方が多いのです。
引きこもり状態から社会参加、就労の過程は、ただ「正社員、1日8時間、週5日、残業なし」があればいいわけではないのです。
パートタイム、アルバイト、不定期勤務など多様な形がある方がいいし、登録社員制による派遣労働もこの多様性の確保の点からむしろ望ましい面があります。
それは労働条件全体の悪化とか、特に若年労働者の技能の停滞が結びやすいことは確かです。
しかし、派遣労働の廃止がベストともいえません。
フルキャストグローイングスクールは、その中間項を設けていると理解します。
完璧であるというのではありません。
改善に努力していると思います。
これらの理由からフルキャストのバナー広告を掲載し、外そうとは思わないのです。
なお、関心のある人が集まり、話し合う機会があってもいいと思います。

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