Center:2003年3月ー収入につながる社会参加をめざす
収入につながる社会参加をめざす
〔この文章はNHK福祉ネットワーク「ひきこもり情報」のサポートの現場に掲載されているものです。
前編と後篇があり、これは前編。後編は2003年4月に掲載。〕
引きこもりの経験者などが「収入につながる」活動をするために、『あゆみ仕事クラブ』を作って1年半になります。
『あゆみ仕事クラブ』は、不登校情報センターで《対人関係づくりをめざす当事者の会》の取り組みの一部です。
(参加費:月額500円)
今年に入ってからは、毎月平均23人が参加し、月々合計13万円余の収入を得ています。
1人あたり、月額5700円なので小遣いにも足りません。
しかし、現実に収入を得られることに意味があります、就職の形で仕事に就くのが難しい20代、30代の当事者にとって「ここにいる人となら一緒に働ける」気持ちを生かすには、不登校情報センター自体が収入になる活動をし、それを成長させるのも一つの方法です。
2年前に不登校・引きこもり関係中心の『あゆみ書店』を開いたことが、この活動の基盤をつくりました。
その後、あるメーカーからデジタル印刷機を、別の教育機関から15台のパソコンの寄贈を受けました。
仕事に取り組む条件が少しできたのです。
いま現在の収入の中心は、月刊地域新聞と月2回発行の生活情報誌の配布(ポスティング)です。
不登校情報センター周辺の葛飾区と江戸川区にまたがる面積4.2k㎡が、配布対象地域です。
少しずつ役割が高まっているのが印刷・パソコン関連の仕事です。
印刷物の内容は、協力関係にある学習塾の冊子や地域の事業所と個人の営業案内的なものです。
パソコン技術の仕事は、パソコンと周辺機器の設置、故障の点検・修理、ソフトウェアのインストールなどのヘルプデスク的業務です。
また、中高年の方へ初歩的なパソコンの使い方を指導する出張教室も行っています。
このほかにもいくつかの収入項目があります。
それらを発展させ、仕事を探し出すのは重要ですが、実態は仕事おこし的です。
ボランティアの協力を求めるのは、そのためです。
弁当店を開く、保険代理店の業務を手伝うなどの企画もありますが、実現はそう容易ではありません。
教育・福祉関係にかぎらず、物品の提供も含めていろんな業種からの応援を必要としています。
引きこもりを経験した20代後半以上の人が仕事に就き、経済的に自立する道は単純ではありません。
ある人は性格を変えようと努力し、ある人は社会的適応力を高めたり、何らかの技術や資格を手にしようとしています。
どの人も、こうすれば好転し、仕事に就けるということが約束されているわけではありません。
この人たちを、励ましていく方法だけが就業の道とは考えられないのです。
「いまの自分のままで」収入を得られる方法から始め、それを伸ばしていくのが、『あゆみ仕事クラブ』の方法です。
何とかして、軌道に乗せたいと思っています。