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Center:145ー物質の循環と生物の共生

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物質の循環と生物の共生

〔『有限の生態学-安定と共存のシステム』栗原康、岩波新書、1975年〕
〔2011年10月27日記載〕
フラスコの中、ウシの胃の中、宇宙基地という閉ざされた環境(これらをミクロコズムという)の生態系の様子を観察。地球を同様に閉ざされた環境として見たときどうなるのかを考える。
宇宙基地の場合は人間要素を含めざるを得ないが前の2者はバクテリアや小生物が発生して自然現象になる。

(1)発酵
「発酵と名づける『酸素なしの呼吸』によって餌を分解する…」(67ページ)。

(2)宇宙基地内の観察
「光エネルギーから生物を生産する効率は植物、草食動物、肉食動物と食物階段が上がるにつれてほぼ指数的に低下することは生物界における基本法則である。
アメリカの飼料学者マックス・クライベルは、太陽エネルギーが1年につき1平方メートル当り1.6×10の9乗カロリーとして、数種類の代表的な食料生物の太陽エネルギー固定率を試算している。
これによるとジャガイモで0.1%、豚肉で0.015%、卵で0.002%という値を出している。卵が低いのはニワトリの子供で食物段階が一段上がるとすれば、一人が1年間に要求する食物を生産するには、ジャガイモで600平方メートル、豚肉で4000平方メートル、卵では実に3万平方メートルの面積を必要とする。
この値は現実的なものではないが、人間の必要面積の高いものを食べることによっていかに莫大になるかを示している」(119ページ)。

(3)物質循環の型
生態系は物質の動きという観点に立てば、「入力」と「出力」と「貯蔵庫」と「流れ」の四つに分解して考えることができる。入・出力は気象学的(風・雨・雪など)なもの、地学的なもの(津表水・地下水)、生物学的なもの、人間的なものによって運搬される。(155ページ)。
物質の流れは変形をともなう。これは合成と分解にわけられる。

(4)人類システムと再生系
「今世紀になって人口とエネルギー消費量が指数的に増加してくると」、B(生物の数)の値のみならずm(活性)が増大してきた(B・mは分母)。しかも地球は閉じたシステムでM(資源=分子)には限界がある。T(寿命)が気になるのは当然。再生系が不充分、欠損していると廃物の排泄量が増加し、環境汚染となって生物の生存をおびやかす。(163ページ)。
フラスコのなかのミクロシステムをみれば「構造分化は、外界からの刺激に対する保護的な役割を通じて、システムの安定に役立っている」(171ページ)
「私はミクロコズムを眺めながら、成員を人間に置き換えて、こんなシステムを連想してみた。システムの構造は多様な成員を収容するように自己発展的に分化形成され、そのことが外乱に対する保護的な役割を果す。そして個々の成員は外圧によって規制されて生きてはいない。自(182ページ)分自身のやり方で自由に活動するが、しかし構造は資源の乱費に歯止めをかけ、そのために成員の活力は幾分低下する。しかしそのことが結果的に他の成員の活動をささえるような共生関係をつくりあげる。だから資源は底をつくことはなく、貯蔵庫としての機能をもち、そのために円滑な再生循環を可能にさせている」(183ページ)

(個人的なコメント)
人、個々人の役割とは実に絶妙に組み合わさっているものといえるが、どうやらそれさえも注意信号が点滅する時代に入っているようです。
地球的規模における生産活動、人口爆発、温暖化…それを阻止しようとするさまざまな抵抗とあいまって政治的、経済的、生活的な限界点が見えています。
それをどういう形で超えるのかに2つの対立的な方法が表面化しています。
人間圏という自然科学的な視点からの評価をあわせてみるならば、いずれにすべきなのかはかなり明瞭に思えます。

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