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(付録)データの信憑性について

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(付録)データの信憑性について

定時制高校や通信制高校が「高校中退者の受け皿になっている」「大検受験者が増えたのは高校中退者が大量に生み出され、彼らが利用するようになったからだ」ということが、関係者から言われ、また実感としても確かなことでした。
その程度を数学的にも表してみたのが今回の調査報告です。
しかし、この調査報告には、いくつかの前提や制約があり、定義の不正確さやその適応の個人差(学校差)があります。
それを列挙しておきましょう。
(1) 学校の分類はこの方法でいいのか。またこの分類方式でひとまず認めるとしても個々の学校が適切に分類されているのか。
(2) ここに集められた学校の調査データが、そこに分類された学校群(母集団)の全体的状況が比例して反映できているのか。
(3) 個々の学校における生徒の判断(それを条件づける個人情報)は学校によってバラバラではないのか。
それらの集大成としての全体数値はどの程度信頼できるのか。
これらについて、私はこれ以上一歩も踏み込んで確かめることができません。
人間に関する情報と判断は、多かれ少なかれ常に流動的な面、不明瞭な面はともなうのですが、それでも十分さという点では問題のあることを認めなくてはなりません。
今回の調査がどの程度偏りがあるのかを知る手がかりとして、『定時制・通信制高校と大検の活用』(進路・就職研究会編、桐書房、1996年9月)にある定時制・通信制高校の生徒の状態を示すデータと対比することにしました。
まず、同書にあるデータ(同書219~226ページ)を、表1と同じ基準に組みかえてみました。
それが表6「定時制・通信制高校の不登校・中退生の受け入れ状況(96)」です。
なお表記では表1を「97年調査」、表6を「96年調査」とします。
両調査は1年のずれはありますが、定時制・通信制高校を共通の調査対象としていますので比較が可能です。
そして両調査の結果が類似していれば、それは全体像を比較的正確に反映している可能性が高いと推測できます。
双方がそれぞれの偏りによって、どの程度相違してくるのかは比較によって示されると思います。
図5-1は「全日制高校からの転入者」を、図5-2は「高校中退からの再入学」を、図5-3は「中学時代の長欠経験者」をテーマにし、それぞれ、96年調査(表6)と97年調査(表1)を並べてみたものです。
いずれも大きな母集団たる学校群のなかの生徒を反映する(はずの)それぞれの一部を抽出しています。
母集団を構成する学校群とその生徒には均一的な要素はさほど大きくないかもしれません。
そして96年調査、97年調査それぞれに抽出された形の数校から20校ぐらいの対比では、このような違いが出ました
通信制高校に関するデータは見た目としても大きな開きがあるように思います。
ほかは大きいと見るか、小さいと見るか、一年の推移や誤差をどれだけ折り込むか……によって意見が分かれるかもしれません。
これらの背景を知ったうえで、この調査を参考にしていただければさいわいです。

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