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甘えと依存を通して安心感が育つ

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甘えと依存を通して安心感が育つ―2004年5月11日の手紙

この前お話ししました手紙を書き始めることにしました。
さて何について書こうと思うとテーマの特定は難しいものがあります。
調子に乗れなくて、少々ぎくしゃくした未整理のものになりそうです。
5月8日に福島県郡山市で「不登校・引きこもりへの対処」というテーマで話す機会がありました。
テーマは従来とさして変わりませんが、教師の参加予約が約4割程度あるとのことでした。
そこで家族に話す内容とは別に、教師や学校での具体的な対応、方法、タイミング、判断材料についても話そうと思いました。
2つの文献を大至急で読みました。
1冊は原田正文『学校に行きたくないと言われたとき』です。
著者は、高校教師の経歴を持つ精神科医師です。養護教諭と研究サークルを続けている人です。
もう1冊は新潟県登校拒否問題対策協議会の「登校拒否ー今どう理解し、対応したらよいか」というもので、私が以前編集していた『こみゆんと』に20ページにわたり掲載したものです。
いずれも1993年に発表されたものです。
10年以上は経っていて、すでにその時点で基本的対処のしかたは、確立していたことを改めて感じました。
この数年、私は主に引きこもりを基点にして、その延長というか外周のような把握のしかたで不登校を話してきました。
今回は、不登校を中心に、その底辺状態として引きこもりを話すことになりました。
ひさしぶりに、気分を新たに不登校について話した気がしました。
翌5月9日、親の会のときですが、このときは「子どもが十代」のグループに加わりました。
参加者は3組(家族)4名、それにAyくんと私の6名です。
この交流会では約2時間、3人の十代の子どもの実例を聴きました。
内容は、2つの場で私なりにうまく重なったように思います。
思いつくまま、いくつかのポイントを挙げてみるとー、
受け入れるということで大事なのは、弱さをそのまま認め、それでいいのだよ、それは苦しかったね、残念だね…言葉でどのように表現するのかはともかく、この点が親側に欠けていた、してきた経験がなく、励ましてきた、子どもの言葉を受けとめるより押し返してきたことが語られました。
子どもがうつむいて帰ったとき、そのまま抱きしめてやればよかったのに、肩をつかんで反対を向かせて、事態に立ち向かわせようとした、その積み重ねがあったようです。
子どもによっては、このような励まし方も有効であると思いますが、内気で繊細なタイプの子どもには、そういう形の励ましは(特にそれが繰り返されることは)受け入れ拒否に感じられる、その点が改めて確認されたと思います。
この受け入れは、子どもにとっては甘えであり、親への依存です。
それがかなえられることによって、人間一般への安心感、信頼感が育ちます。
それが基盤になって親への依存から抜け出すことになります。
甘えや依存を親として受け入れることによって、子どもは親への甘えや依存から抜け出していく力、人間への基本的な安心感が得られます。
十代の子どもにおいて、不登校の子どもにおいて、この甘えや依存はどんな姿で現れるのか――まとわりつき、親への細々とした要求を出しつづける、ときには母親のふとんの中に入ってくる、などです。
親の会の場でもそれらしきことは少し出されました。
もしこの甘えや依存を親が認めなかった場合、子どもには何が生まれているのか。
孤独です。
疎外感、自分の味方がだれもいないさみしさです。
親の交流会の席にいたAyくん(22歳)にこの点で「どうだった?」と聞いてみました。
彼は少し考えてから「…ぼくは、たぶんいまでも孤独だと思います」と一言つぶやくように話しました。
席にいた親たちにはおそらく忘れられないものになったと思います。
自分の子どものおかれた状態を見る目が違うのではないかと思うくらいです。
弱さを受けとめる、甘えと依存、孤独…この3つの点が振り返ってみて、印象に残っています。
昨日急遽、ミニ講演会を思いたちました。5月22日、「十代の引きこもりへの対処」というテーマで講演会を開くことにしました。
*(以下、約160字省略)

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