大人の発達障害
大人の発達障害
発達凸凹(でこぼこ)~大人の発達障害を考える
露呈(ろてい Rotei)コロナ禍での気付き
「個性」から困りごとへ…
複雑になる人間関係。
混沌とする社会情勢。
生きづらさの理由を、憂える大人が増えている。
新型コロナウイルス感染症の拡大は、企業の規模縮小や働き方の激変を招いた。
コロナ禍による雇用情勢の変化で、若者や中高年の人が困窮する中、生活支援や就労相談の窓口を訪れたことをきっかけに、初めて自身に発達障害がある可能性に気付くケースが相次いでいる。
長年抱いてきた「生きづらさ」の原因を憂(うれ)える大人、そして知る大人が増えているのだ(グラフ1)。
2004年に制定された「発達障害者支援法」(16年改正)や2007年に本格化した特別支援教育により、先天的な一部脳機能障害としての発達障害への支援が加速した。
裏を返せば、それ以前に学校を卒業していた中高年の人の発達障害が、特にコロナ禍をきっかけに表面化した可能性がある。
診断された人数を年代ごとに見ても、相対的に30代以上が少ないのは、これまで公的に見逃されてきた実情を示唆している(表1)。
なぜ大人になるまで、発達障害が露呈しなかったのか。
それは、人間関係や生活環境によりカバーされていたからだろう。
しかし、家庭や学校では「個性」として容認されてきた「特性(行動や認知の特徴)」も、就職・異動・結婚・出産といった環境の変化を機に、困りごととして顕在化する。
周囲の人や環境との関わりが複雑になる中で症状が徐々に明確になる点も、大人の発達障害が「気付きにくい・気付かれにくい」一つの要因といえる。
得手不得手の差は、誰にでもある。
しかし、自分の努力では改善が難しく、周囲の配慮が必要な特性ゆえに、その「凸凹」は「障害」として位置付けられている。
地域全体で、存在を共有し向き合うべき「社会性の障害」として、大人の発達障害を考える
〔広報しまだ 2021年11月号〕