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受診抑制

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受診抑制

生活保護医療扶助削減狙う 窓口負担、批判相次ぐ
政府は生活保護の医療扶助について、「適正化」という名のもとに支給抑制・削減を狙っています。
最低限度のくらしができるよう憲法で保障された生活保護の切り捨ての一環で、関係者から批判の声があがっています。
安倍政権の冷たい姿勢が大本にあります。
安倍政権が閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太の方針、6月)は、同じ医療機関に月15日以上受診する「頻回受診」対策の強化を明記しました。
2月から行われている生活保護制度の見直しに向けた国と地方の実務者協議では、“頻回受診”対策として、医療機関での生活保護受給者への窓口負担導入も議論になっています。
全国生活と健康を守る会連合会(全生連)はこうした動きを警戒。
事務局の田川英信さんは「生活保護の場合、医療費がタダだから余計に医療機関にかかっていると思っているのが間違いだ」と述べ、事実認識に誤りがあると指摘します。
受診が必要でも、自己負担が「無料」という後ろめたさから病院に足が向かないケースが多い生活保護受給者の実態について述べ、「基本的に今、“頻回受診”を規制するという状況ではない」と話します。
子ども受診率低く
社会保障審議会の生活保護制度に関する専門部会(7月27日)で厚生労働省は、生活保護受給者が月にどれだけの医療機関にかかっているか(受診率)を生活保護受給者以外の人と比較したデータを提出していますが、同データでは、子どもや高齢の年齢層ではむしろ生活保護受給者の方が、医療機関にかかっている件数は少なくなっています。(グラフ参照)
同専門部会で日本医師会常任理事の松本吉郎氏は、「実感としても、子どもの場合は、重篤(じゅうとく=病状が重い)になってから受診させる保護者が多い。
データを見ても生活保護受給者が過剰に医療を受けていることはない」と語り、適切な受診につながるサポートこそ必要だと表明しました。
“頻回受診”対策として大阪府などが求めているのが、生活保護受給者はいったん患者負担分を窓口で支払い、その後、負担分の払い戻しを受ける「償還払い」という手法です。
政府が偏見を助長
同専門部会では、これについても首都大学東京の岡部卓教授が意見を表明。
「(償還払いは)一定の所得を前提にしている考え方に立つもので、生活保護においてはなじまない。強く反対を訴えたい」と述べ、必要な受診が抑制される危険を指摘しました。
他の委員からも反対意見が相次ぎました。
全生連の田川さんも償還払いについて「特に月末になるとお金のやりくりで苦労する生活保護受給者は、いったん支払うお金もなくて受診できず手遅れになる可能性もある」と言います。
「今でもバッシング(生活保護たたきの攻撃)などがあり、貧困や病気、経済的困難に苦しむ人たちが安心して受けられる権利となっていません。生活保護の医療扶助削減の議論を政府が進めること自体が生活保護への偏見を助長しています」と語り、医療扶助に焦点をあてた生活保護攻撃をやめるように求めています。
〔◆平成29(2017)年8月13日 しんぶん赤旗 日刊〕

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