厚労省虐待防止対策推進室
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所在不明児 11都県28人 うち11人は昨年から 厚労省調査
住民票はあるのに自治体が居住実態を把握できない「所在不明の子ども」が今月1日現在で11都県に28人いることが厚生労働省の全国調査で分かった。
うち11人は昨年4月から引き続き居場所が分からず、事件に巻き込まれている可能性もある。
各自治体は警察と連携し、安否確認を続ける。
調査は2014年に始まり3回目。16年4月時点では35人の所在が分からなかった。
今回の調査は、16年6月時点で乳幼児健診を受けていなかったり、学校に通っていなかったりして連絡が取れず、市区町村が安否確認が必要と判断した18歳未満の1630人を対象に実施した。
その結果、1602人は家庭訪問のほか、他の自治体や入国管理局などとの情報共有、照会により所在が確認できたが、28人(男15人、女13人)は所在が分からなかった。
そのうち6人は、初回調査から所在を把握できない状況という。
年齢別の内訳は、就学前17人、小学生3人、中学生5人、義務教育期間後の子が3人だった。
28人のうち3人は、就学させていない可能性が高いなど、虐待やその疑いに関する情報があり、10人は海外へ出国している可能性があるという。
一方、所在が確認された事例の中には、傷害致死容疑で逮捕、起訴された父親の供述で16年11月に大阪府千早赤阪村の山中から遺体で見つかった堺市の男児や、東京都新宿区の女性が相模原市で遺体で見つかり、元交際相手の男が殺人容疑で逮捕、起訴された事件で行方不明となっていた長男も含まれている。
また所在が確認された1602人中、57人には学校に通わせていないなどの虐待や、その疑いがあった。
厚労省虐待防止対策推進室は「所在の確認が必要とされる児童は虐待を受けている恐れがあり、57人を把握できたのは成果。調査を通じ、安全確認を進めることが大事だ。居住実態が把握できないケースについては警察の力も借り、引き続き確認に努めたい」としている。
〔◆平成29(2017)年6月29日 毎日新聞 東京夕刊〕