不登校の生徒数
不登校の生徒数
増え続ける子どもの不登校
全国の小・中学校における長期欠席者のうち、不登校児童生徒数は244,940人。
児童生徒千人当たりの不登校児童生徒数は25.7人(前年度20.5人)となっており、不登校児童生徒数は9年連続で増加、過去最多となっています。
今月は、小児科医による「子どもの不登校」についてのコラムを紹介します。
コラム「子どもの不登校について」
小児科長 熊谷(くまがや)淳之(あつゆき)
▼増加する小中学生の不登校
新年度となり新しい環境で生活を始めた児童生徒さんが多くいると思います。
楽しく過ごせる子もいれば通学に前向きになれない子も中にはいます。
なかなか学校などに通えない子どもの中には病院での検査で異常がないにもかかわらず「お腹が痛い」「頭が痛い」と訴え、そのまま不登校に至ってしまう場合があります。
不登校の児童生徒の数は全国的に増加しており、焼津市でも増加傾向にあるため、現在では決して珍しいことではありません。
学校に通えない理由はさまざまですが、子ども自身にもはっきりとした理由がわからず親や教師にもわからない場合も多くあります。
▼自己肯定感とは
近くで様子を見ている大人にとってはとても心配なことではありますが、不登校への対応で大事なことは「自分には何らかの役割がある、自分がいると喜ぶ誰かがいる、だから自分は必要とされていて、ここに居て頑張るんだ」という前向きな感情(自己肯定感)を持てるようにすることです。
そしてそれが最も補充される場所は家庭になります。
身近な大人が悩んでいることを受け止め、学校に行けないながらも頑張っていることを褒めたり、休日に家族で出かけたりして本人との絆を深めることが頑張る力につながります。
そして本人が学校に行ける勇気が出るまで焦らずに待つことが大切です。
▼発達障害とは
不登校の他にも「発達障害」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。
これは性格や特性が強いために学校や家庭などでの生活に支障が生じている状態を言います。
発達障害にも複数の種類があり、普通の人が何気なくできていることを非常に困難に感じることも少なくありません。
その一方で自分の興味がある特定の分野に強い集中力や秀でた才能を発揮する人もいます。
特性の度合いにもよりますが、困っていることを抱え込まず自分の特性と上手に向き合えるようにするためには薬や支援級の利用など医師が診療し助言していくことが望ましいと考えます。
当院では多職種で協力して取り組んでいます。
もしお子さんに当てはまり、悩みがありましたら当院または医療機関へ受診・相談をしていただきたいと思います。
問合せ:市立総合病院 病院経営戦略課
【電話】623-3111(代)
〔広報やいづ 2023年5月1日号〕
【Japan Data】小中学生の不登校は4年連続増の13万3683人:中学生は友人関係に悩む
不登校児童・生徒数の推移
文部科学省が2018年2月に公表した「児童生徒の問題行動・不登校等調査」によると、年間30日以上欠席した不登校の子どもは、全国の国公私立の小中学生合わせて前年度比6.1%増の13万3683人に上り、4年連続で増加した。
うち小学生は同10.4%増の3万448人、中学生は4.9%増の10万3235人。
小学生では全児童の1%、中学生では全生徒の4.1%が不登校となっている。
【小中学生の不登校は4年連続増の13万3683人 画像入り記事はコチラ】
学年別にみると、小学校は6年生の9794人、中学校は3年生の3万9580人が最も多く、小学1年から中学3年までの9年間、一貫して学年が高くなるにつれて増える傾向がみられた。
不登校の要因は、小学生では「家庭に関わる状況」が53.3%と過半数を超える。
「いじめ」は0.7%、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が18.8%だった。
中学生になると、「家庭」要因は28.9%に低下する一方で、「いじめ」0.5%、「いじめを除く友人関係」が27.2%となり、学校での人間関係がより大きなウエイトを占めるようになっている。
不登校児童生徒のうち「90日以上欠席」は、小学校は1万3736人、中学校は6万3706人。
不登校児童生徒の半分以上が超長期の欠席となっている。
〔◆平成30(2018)年7/12(木)nippon.com〕
小中学校の「不登校」が増加傾向 中学校では1クラスに1人
「不登校」を理由とする全国の児童生徒数は、小中学校ともに増加傾向にあり、中学校では35人に1人の割合で不登校児童生徒がいるという状況だ。
少子化により児童生徒数が減少、不登校児童生徒数は増加傾向にあるなか、就学環境改善への期待は高まっている。[写真拡大]
政府主導で働き方改革が推進されている。
「働き方改革」について厚生労働省では、女性も男性も、高齢者も若者も、障害や難病のある方も、一人ひとりのニーズにあった、納得のいく働き方の実現を目標としているが、大人の就業環境の改善が進む一方で、将来を担っていく子ども達が日々通う就学環境の改善はなされているのだろうか?
文部科学省が毎年行っている「学校基本調査」及び「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によると、平成27年度の長期欠席者(30日以上の欠席者)の内、「不登校」を理由とする全国の児童生徒数は、小学校で27,581人、中学校で98,428人であった。
前年の平成26年度と比較すると、小中学校ともに増加している。
少子化により児童生徒数が減少している中、不登校児童生徒数は増加傾向にある。
「不登校」とは、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にあること(ただし、病気や経済的理由によるものを除く。)と定義されているが、複雑化した現代においてその境界線は曖昧でグレーだ。
全児童生徒数に対する不登校児童生徒数の比率を見ると、平成27年度、小学校では237人に1人、中学校では35人に1人の割合で不登校児童生徒がいるという状況となっており、1クラスに1人不登校が存在する計算だ。
青年期の不登校が内包する諸問題は数多くあるが、そのなかでも懸念されるのは成人期の引きこもりやニートの創出、うつ病などに繋がるきっかけとなる点である。
不登校など、社会や周囲との軋轢を抱えたまま学生を卒業し、半強制的に社会へ出ていく若者は多い。
そういった人達が社会にうまく適応できず、その才能や能力を活かせないまま、大人の引きこもりになっていく事は本人の幸福度の問題を含め、社会にとって大きな機会損失である。
生産性の向上やQOLの向上など、子どもの就学環境改善は大人の働き方改革と目的はある程度一致する。
不登校児ゼロ!など大人の一方的な理想・目標がかえって児童の圧力や負担になってはいないか?と振り返ってみたり、児童が安心して存在することの出来る環境構築、「ただそこに存在して良い」肯定感を得ることなど、将来的に日本を担っていく若者に「圧力」や「焦り」ではなく「余裕」や「安心」を与えることの重要性に再度目を向けた就学環境の改善に期待したい。
〔2017年9月6日 財経新聞 (編集担当:久保田雄城)〕