ハーモニーファーム野のはな
ハーモニーファーム野のはな
所在地 | 〒597-0053 大阪府貝塚市地蔵堂460番 |
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TEL | 072-488-7838 |
FAX |
まなびやの宝 貝塚市・ホースセラピー事業 不登校児の学校復帰支援/大阪
馬と触れ合い生きる力を
貝塚市は今年度から市内の不登校の児童や生徒を対象にした「ホースセラピー事業」を始める。
エサやりや厩舎(きゅうしゃ)の掃除などを通して馬に触れ合うことで生きる力を伸ばし、学校への復帰を目指す。
事業への参加は授業の出席と同じように扱われるといい、市は「全国的にも珍しい取り組み」としている。
ホースセラピーを始めるのは、貝塚市地蔵堂の乗馬クラブ「ハーモニーファーム野のはな」。
府内で障害者の通所授産施設などを運営する社会福祉法人「野のはな」が昨年開いたレストラン「森の小径(こみち)」に併設された。
場所は市が2011年に購入した旧国立療養所千石荘病院の跡地などを含む丘陵地で、レストランや乗馬クラブは障害者の就労支援の受け皿になっている。
乗馬クラブには現在、約15頭の馬がいる。
貝塚市によると、ホースセラピーの対象となるのは、教育支援センター「レインボー教室」に通う不登校の児童や生徒らで、教室には昨年度、約15人が登録していた。
昨年11月には遠足をかねて乗馬クラブに行き、笑顔を見せていたという。
馬と触れ合うことで、癒やしを感じられるだけでなく、自身の存在感を高めることができたり、相手の表情やしぐさなどから気持ちを推察する力の育成や効果も期待できるという。
市は今年度予算に施設利用料など18万円を計上。
事業は月に1、2回の実施で1回につき6人までの参加を予定する。
市学校教育課は「自分に居場所があると感じられることが自信につながれば」と期待を寄せている。
〔◆平成29(2017)年4月15日 毎日新聞 地方版〕
障害者が働く乗馬クラブ オープン 平均工賃は月3万6000円
障害者が働く乗馬クラブとレストラン(就労継続支援B型、就労移行支援)が大阪府貝塚市にオープンした。
運営するのは府内で就労系事業所とグループホームを展開する社会福祉法人野のはな(西尾京子理事長)。
全国的に珍しい組み合わせの施設は、仕事を循環させる仕組みを確立し、障害者が地域で自立して暮らせるよう支援する。
ホースセラピー効果
1万平方㍍の敷地には厩舎棟、屋内外の馬場、レストランなどが入るクラブハウス棟が隣接する。
貝塚市が5年前に病院跡地で行う事業を公募し、同法人の提案が採用された。
建物は全額法人負担で建て、土地は市から借りている。
乗馬クラブ「ハーモニーファーム野のはな」は9月15日に本格始動した。
西日本最大級の屋内馬場では雨の日も乗馬を楽しめる。
業務は乗馬クラブの運営に実績のある企業に委託。障害者は厩舎や馬場の清掃、エサやりなどを担う。
馬と触れ合うことで心身の療養になるホースセラピーの効果も期待され、馬に会いたいと施設に通う回数が増えた人がいるなど早くも効果が出現。
12頭いる馬は新しい環境に慣れさせている段階。
将来的には障害者が馬を洗ったりブラッシングしたり、ひき馬もできるようにする。
企業からきた中村友哉さんは「障害者はしっかり働く。馬も障害者もけがをしないよう安全に気を付けている」と話す。
出足は順調
一足早く8月1日に開店したイタリアンレストラン「森の小径」では、障害者は接客や厨房などで働く。
元大手ホテルのシェフが作る料理は上品な味で、窯焼きのピザも人気。
口コミで評判が広がり、ランチには多くのお客が訪れ、休日は1時間待ちになることもあるという。
吉川卓次・理事が「売り上げは当初見込みの1・3倍」と話すように好調な滑り出し。
ノウハウは、法人が大阪市立大学内で3年前から運営するレストラン(就労継続支援B型)の経験が生かされている。
またクラブハウス棟の隣の敷地には、引退した路面電車が置かれている。
保育園児やグループの集まりで料理を食べながら貸し切りで利用できるよう準備している。
施設では馬ふんから堆肥を作ることにも取り組んでおり、じゃがいもなどを栽培する畑で使うことにしている。
いずれは栽培する野菜の種類を増やし、レストランの食材として提供する構想も描く。
吉川さんは「施設内で仕事が循環する仕組みを目指している」と話す。
さらにホースセラピーの効果を期待して、不登校の児童が通うフリースクールのような仕組みをつくることも模索している。
目標工賃5万円
現在、施設では知的、精神の障害者を中心に22人が働く(定員60人)。
平均工賃は3万6000円だが、法人では目標工賃を5万円におく。
障害年金の約7万円と合わせると約12万円になり、グループホームで生活できる額になるからだ。
また法人では、各事業所に予定日を休まず通った人に2万円を支給する皆勤手当を設け、自発的に地域に出ていくよう促している。
こうした取り組みを通じて親が亡くなっても障害者が地域で自立して生活することを支えていく。
社会福祉法人も自立しないと生き残れないという意識のもと、吉川さんは「乗馬クラブもレストランもビジネス。障害者が働く場ということは出さない。味やサービスで勝負する」と意気込む。
年間の売り上げ目標は乗馬クラブ、レストランとも5000万円だ。
〔2016年10月26日 福祉新聞編集部〕