はるもにあ
特定非営利活動法人 はるもにあ
種類・内容 | |
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所在地 | 〒 福井県福井市 |
運営者・代表 | |
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もっと知って欲しい 発達障がいのこと(3)
発達障がいを抱える本人や周りが困難に直面したとき、周囲はどう対応すればいいのでしょうか。
発達障がいの研究をしながら、日々障がいを抱える人や支える人たちに向き合う専門家に話を聞きました。
清水聡さん(福井県立大学教授 学術教養センターセンター長)
Profile:大学で教鞭を執る傍ら、「日本発達障がい者ネットワーク」の代表や「(特非)はるもにあ」の理事長などを兼務。
日々、発達障がいに悩む人の相談を受けている。
発達障がいは、認知や行動に特性があり、医学的にはいずれかの診断名がつきます。
しかし、実際には、健常者と障がい者の間に境目はなく、特性の一つ一つは程度の差こそあれ、誰にでも見られるものです。
そのため、特性があっても、本人も周囲も気付かないことがあります。
大人になるにつれ、社会から求められる基準は変わっていきますが、発達障がいを抱える人は、それに順応していくことが困難です。
このため、就職時以降に問題化する人が多いと言われます。
人と何か違うということは、本人も気付いていて、それをカバーしようと、周りが思う以上に気を使っています。
他の人と同様にできない、分からないから、人より大きなエネルギーを使って周囲に過剰に適応しようと無理をしたり、一人で思い詰めたりしてしまう。
結果、突然パニックになる、仕事に行けなくなるなどの問題が起こります。
また、周囲との関係がうまくいかなくなると人間不信に陥り、うつや神経症などの精神症状が現れることがあります。
これらは「二次障がい」と呼ばれ、発達障がいそのものよりもずっと深刻です。
大切なのは、人と関わるメリットを本人が認識することです。
周囲が声を掛ける、相談に乗る、良いところは褒めるなど、本人が安心して人と関わることができる環境を作ってあげてください。
助言を受けながら行動すれば、良い結果を生み、その経験からまた助言を求めるようになる、この好循環を作りましょう。
次に、居場所も大切です。職場以外に本人が受け入れられる場所を確保することは、自己評価の低下を食い止め、社会生活を続けるのに大いに役立ちます。
それから、本人の特性を理解し、それに合わせた環境づくりをしてください。
本人は障がいに向き合いながら常に「自分は何者か」を考えています。
落ち着いて、人を受け入れられれば、自分はどう行動すべきかを考えるようになります。
認知や行動の特性は変えられませんが、それ以外は変えることができます。
子どもの場合は、さらに周囲の関わりが重要です。
対応によっては、本人はその後の長い人生で、大きな苦労をすることになります。
二次障がいを引き起こさないためにも、早期に適切な対応の仕方を学び、環境を整えることが必要です。
発達支援や就労支援に関わる皆さんからのメッセージ
▽“できることに目を向けて”
障がいと聞くと、できないことばかりに注意がいきがちですが、得意なことはたくさんあります。
せっかくある能力を見過ごしてしまわないよう、ぜひ、できることに目を向けてください。
ハローワーク福井 専門援助部門
発達障害者雇用トータルサポーター
田邊二美恵さん
▽“目に見えないから繰り返し確認を”
受け入れのときには理解しても、障がいは目に見えないので、時間がたつと忘れがちです。
受け入れの担当者は理解していても、一緒に働く人が知らず、行き違いを招くことも。
必要に応じて理解を共有することも大切です。
(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 福井支部 福井障害者職業センター
ジョブコーチ
▽“障がいの特性を正しく理解”
感じ方、考え方、理解の仕方、学習の仕方など障がい特性は人それぞれ。
本人の障がい特性を正しく理解し「なぜ?」と思われる言動の理由を確認することで、本人にとっても周りにとっても良い方法が見つかります。
福井県発達障がい児者支援センター スクラム福井
センター長 伊原豊志さん
〔市政広報ふくい 2022年3月10日号〕