こども家庭リソースセンター沖縄
こども家庭リソースセンター沖縄
所在地 | 〒904-0004 沖縄県沖縄市中央3丁目15番5号(1階) |
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TEL | 098-938-9244 |
FAX | 098-939-6477 |
子どもの貧困:基地の街から/3 民間主導、割高な保育 生活に負担、就労の妨げに
夕方が近づくと、沖縄市中心部の商店街の一角にある子どもの一時預かりルームに、母親たちが足早に駆け込んで来る。
就職活動中の親の子どもを預かるため、NPO法人「こども家庭リソースセンター沖縄」が5年前に市の委託事業で開いた。
8月から職業訓練学校に通う女性(32)も先月まで3歳と1歳の姉妹を預けていた。
母子家庭で育ち高校進学をあきらめた女性は中学卒業後、沖縄県外に出て工場で働き、5年前に結婚を機に戻ってきた。
しかし、居酒屋で働く夫の手取り月収約18万円だけでは家計が苦しい。
自分も働こうと仕事を探したが見つからず、パソコンなどを習うため職業訓練学校に通い始めた。
就労を見据える女性は並行して認可保育所を探したが空きがなく、9月中旬に認可外保育所に姉妹を入園させた。
公的補助がある認可保育所ならば2人で月1万~3万円程度の保育料が、認可外だと7万5000円かかる。
しかも認可保育所にはない入園料と設備費計7万6000円も払わねばならず、工面のため携帯電話の利用料やガス代、光熱費を滞納した。
「これからやっていけるのだろうか」と女性は頭を抱える。
沖縄では、戦後の米軍統治下で米国の制度に合わせ主に5歳児の1年保育を行う幼稚園が整備されてきたため保育所の整備が遅れ、長く認可外保育所が受け皿となってきた。
こども家庭リソースセンター沖縄の與座(よざ)初美理事長は「保育の貧困が子どもの貧困につながっている」と指摘する。
子どもが小学校に入学しても本土との違いが親を悩ませる。
昨年の厚生労働省調査によると、学校の空き教室などを利用する学童保育の設置主体は、全国では行政が81・8%を占めるが、沖縄は6・9%だけで残りは民間事業者が設置した。
県は「米軍統治下の名残で幼稚園を併設する小学校が多く、さらに学童保育までつくるという動きにならなかった」(子育て支援課)と説明する。
結果として、民間施設の賃料などで運営費がかさむ沖縄の学童保育の利用料は本土より高くなった。
全国では約78%の学童保育が月額平均8000円未満だが、沖縄は約48%にとどまる。
定員42人の「沖縄キッズクラブ学童」(沖縄市)では、月謝が払えずやめていく子が毎年5、6人いる。
「沖縄の行政は子育てを置き去りにしてきた。子どもたちには何の責任もないのに」。
比嘉道子園長(56)は最近まで預かっていた子どもがコンビニ前や公園を寂しそうに徘徊(はいかい)している姿を見るのがつらい、と言う。=つづく
◇全国2番目の多さ ◇沖縄の待機児童問題
認可保育所に入れない待機児童数は2536人(2016年4月)で、東京に次いで全国で2番目に多い。
待機率(待機児童数を保育所の入所児童数で割った数)は5.7%で全国ワースト1位。
保育所利用者に占める認可外保育所利用の割合(15年度)は全国平均の7.7%に対し、沖縄県は28.3%。
〔◆平成28(2016)年10月27日 毎日新聞 西部朝刊〕