くまもと心療病院
くまもと心療病院
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みんな誰かのゲートキーパー 9月10日~16日は自殺予防週間
まもろうよこころ -あなたを守りたい-
ゲートキーパー養成講座の講師を務めるくまもと心療病院の有田さんにお話を伺いました。
◯くまもと心療病院公認心理師・精神保健福祉士 有田豊美(とよみ)さん
現在の自殺の動向や皆さんができることなどをお伝えします
◇自殺の動向 同居家族がいても油断禁物
令和3年の自殺者数は21007人。これは同年の交通事故死者数の約8倍になります。
男女別では、自殺者数が多いのは男性ですが、増加率でいうと男性は減少し、女性は増加傾向にあります。
自殺の原因・動機は、前年と同じく、健康問題、経済・生活問題、家庭問題の順で多いです。
ここ2年の変化は、女性や若年層の自殺率の増加です。原因は新型コロナウイルス感染症の影響で経済的にダメージを受けたり、人と接する機会が減少したことが考えられます。
宇城市を見ると、令和3年の自殺者数は11人。
前年よりも3人増えています。
また、平成26〜30年の統計で、自殺者が多い区分は、「60歳以上の女性で、無職で同居人がいる人」でした。
つまり、「同居しているから大丈夫」ではないのです。
同居していても、生活リズムの違いなどから、ほとんど会わず、話すこともない場合があります。
特に70歳以上の高齢者は、孤独感による自殺率が高い傾向にあります。同居人の有無に関わらず、高齢者の孤独感を解消することが自殺の予防対策として必要です。
「同居しているから安心だ」と考えず、声掛けを行い、コミュニケーションを取るようにしましょう。
まずは、私たち一人一人がゲートキーパーとしての意識を持ち自殺を未然に防ぎましょう
■POINT ゲートキーパーとしての役割
◆ゲートキーパーとは
悩んでいる人に気付き、声を掛け、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る、「命の門番」となる人のこと。
できることを意識して行動することで、専門家ではない私たちでも自殺予防に取り組むことができます。
◆サインに気付こう 体調や生活の変化を気に掛ける
▽特に気になる変化
・元気がなく、周囲との交流を避けるようになった
・仕事や家事の能率が落ちたり、ミスが多くなった
・遅刻が増えた
・眠れない
・お酒の量が増えた
特に、不眠を抱える場合は注意が必要。また、自殺した人の3割以上が体内からアルコールが検出されているように、お酒は計画性のない自殺を促します。
◆声を掛けよう 家族などの身近な人でも孤立させないように声を掛ける
▽声掛けの例
「ちゃんと眠れてますか?」
「つらそうだけど、どうしたの?」
「体調が悪そうだけど、何かあった?」
「何か悩んでいることがあれば、話してみない?」
など変化を気に掛け、些細(ささい)なことで良いので声を掛けてみましょう。
◆受け止める、耳を傾けよう 本人が話すのを待ち、理解者となる
話そうとして一方的に質問したり急かしたりせず、本人が話す気になるまで、じっくり待つことも大切です。
「頑張ろう」などの安易な激励や、「つらいのはみんなそうだよ」などの感情を否定する言い方はNG。
気持ちを受け止め、「一人ではない」と分かってもらうことが大切です。
◆つなぎ、見守り 専門家につなぎ、温かく寄り添う
一人で抱え込まず、専門家に相談することを勧めましょう。
現在、心の病院は患者が増加。初診は1・2カ月待ちのことも。
そんなときはまず、「眠れないことを、いつも行ってる病院の先生に話してみたら?」とかかりつけ医につなげてください。
専門家につなげた後も、必要があれば相談に乗るなど、支援を継続し、温かく寄り添い、見守りましょう。
〔広報うき ウキカラ 令和4年9月号〕