お答え:逃げ道をつくったと理解し苦しみを聞ける信頼関係を築くー二条淳也
冊子の注文のしかた
逃げ道をつくったと理解し苦しみを聞ける信頼関係を築く
〔質問051〕働かずアニメばかりの20代です
22歳の息子。
高校を出ましたが進学、就職をせずに家で趣味のアニメを集め、よく見ています。
何かきっかけがないと働かないままで過ぎていきそうです。
何とかならないものでしょうか。
〔お答え051〕逃げ道をつくったと理解し苦しみを聞ける関係をつくる -二条淳也
こんにちは。「高齢ひきこもり」というブログを運営しております、二条淳也と申します。
ひきこもりの当事者として、お答えを書かせて頂きます。
お子さんが進学も就職もせず、アニメばかり観ているとのこと。親御さんからすれば、さぞかし心配なことでしょう。
私もひきこもりが重篤化していた頃は、趣味の読書ばかりしていました。
ですが、「趣味に没頭していた」という能動的な意味ではなく、「趣味に逃げるしかなかった」というのが正確なところです。
進学も就職もしないで家にいるという状態に一番つらさを感じているのは、間違いなく本人だと思います。
「このままじゃまずい」と思っているけど、どうしても最初の一歩が踏み出せない。でも、仕事も勉強もしないでいると、24時間がつぶせない。
となると、趣味ぐらいしかすることがないのです。
これは私の想像ですが、「オレがアニメばかり観ているのを、母さんはよく思ってないな」というのは息子さん自身がすでに気付いていると思います。
アニメばかり観ているという姿勢からは「苦しいことから逃げて楽をしようとしている」ように見えますが、実際は高校までの時点ですでにつらい経験をしているのかもしれません。
これは私の経験ですが、自分の苦しい想いを親に話せるようになるまでには、かなり時間がかかります。
「今日○○さんに怒られた」と親に言えるようになるまでには、そうとうな時間がかかるのです。
親に不信感を持っている子どもなら、なおさら時間がかかります。私も自分の苦しい気持ちを親に吐き出すまでに、数年かかりました。
抵抗はあるでしょうが、「親として、まずは子どもの逃げ道をつくった」と思って、わが子を休ませてあげてはどうでしょうか?
「いい加減に働きなさい」と叱咤激励しても、その就労は長く続かないような気がします。
それよりは、まずは「苦しい想いを吐き出せるような信頼関係」を築くことを考えてはどうでしょうか。
「こんなバイトがあるよ」と働き場所を紹介するよりは、そちらのほうが長い目で見ると良いように見えます。
ちなみに、私の両親は「働け」と一度も言いませんでした。その姿勢が、逆に私に就労へ導きました。
息子さんと良い関係を築く。それがひきこもり脱出の基本的な一歩だと思うのですが……。
回答者と所属団体
二条淳也