お答え:アスペルガー気質ならではの惹きつける特性を信じてもいい
冊子の注文のしかた
アスペルガ―気質ならではの惹きつける特性を信じてもいい
〔質問090〕アスペルガー気質の子に不安
アスペルガーの子ども(サポート校の高校生)の母。
子どもは通信制サポート校に在籍し、遅刻をしたり、早退したりしながらも通学はしています。
完全に休むことはないです。
先生とは連絡をよくしていますが、「しっかりと見守り、本人のペースを大事にしましょう」といってくれます。
母親としてときどきこれでいいのか不安になります。
〔お答え090〕アスペルガ―気質ならではの惹きつける特性を信じてじてもいい
こんにちは。「高齢ひきこもり」というブログを運営しています、ひきこもり当事者の二条淳也です。
私はアスペルガー症候群という診断を受けたことはありませんが、アスペルガーの要素を極めて濃厚に持っていると自分では思っています。
私の少年期、青年期は「発達障害」や「アスペルガー」といった言葉はほとんど出回っていませんでした。
そのため、そのような診断を受けなかったのだと思っています。
さて、息子さんがアスペルガーとのこと。
息子さんのことが詳しくは書かれていませんが、お母様から見て、心配になるような側面も多いのだと思います。
これから社会で本当にうまくやっていけるのか、周囲の人とうまく付き合っていけるのか、親御さんとしては本当に心配だと思います。
夢中になるものがあればまだいいですが、毎日を無為に過ごしているアスペルガー当事者も多いと思います。
親御さんからすれば、とても心配だと思います。
息子さんは自分では何も言わないかもしれませんが、アスペルガー気質を持っていると、非難や批判を多く浴びがちです。
高校生の頃、私は奇妙な行動や発言が多かったため「宇宙人」とか「緑の血が流れている」と言われていました。
自分では正しいことをしている、正しいことを言っていると思っていても、周囲からは「見当違いの行動」「青臭い正論」と思われることが多かったように思います。
そのような体験を毎日のように積んでいくと、「自分の判断は全て誤っている」「自分の発言は全て見当違いである」と思い込んでいくようになります。
少なくとも、私はそうでした。
二十代の一時期、私は自分から何も言わない時期がありました。
周囲の発言、周囲の判断こそが正しいのだから、それに身を委ねようと思ったのです。
「変わり者」というのは現代ではひどく疎外されますから、自分からの発信を少しでも減らして「一般人」になりきろうと思ったのです。
アスペルガー当事者の就労はかなり大変だと思います。
ただ、それが「どこもつとまらない」というわけではありません。
「つらいけど、まあまあガマンはできる」という職種もあるため、希望は捨てないで欲しいのです。
「職を転々とする」ということを親御さんは嫌いますが、その「転々とする」過程の中で、「ガマンできる仕事」に巡り会えるのではないでしょうか。
私は三十以上の仕事をしてきました。
そのほとんどがうまくいきませんでした。
でも、私は今、短時間ですがアルバイトをこなしています。
質問からかなり外れますが、私自身の体験をお話ししますと、アルバイトのきっかけになったのは「恋人ができたこと」でした。
たまに「アスペルガーだと恋人もできない」と思い込んでいる方がいますが、アスペルガー当事者の持つ特性は、一部の異性を惹きつけることがあります。
私自身、どこもバイトがつとまらない時期があり、「もう社会でやっていくのはムリだ」と思って完全にひきこもりましたが、愛してくれる異性が見付かるとそこから自信が生まれました。
変わった言動によって職場で奇異に見られても、「自分には愛してくれる人がいる」と思うと、大きなダメージは受けなくなります。
「あの人、付き合いづらい。仕事もできないし要領も悪い」と思われても、「自分のことを好きでいてくれる人がいる」と思うと、決定的なダメージにはならないものです。
やや質問からずれた回答になったかもしれません。
ただ、「アスペルガーだからといってどこもつとまらないわけではない」「どこもつとまらなくても異性から愛されることはある」「愛してくれる人の存在がアスペルガー当事者に自信をつけ、就労へ踏み出させることがある」ということは分かっていて欲しいと思います。
〔2017年2月〕
回答者と所属団体
二条淳也
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