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条件付きの愛情

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条件付きの愛情(マーガレット・ミッチェルの場合)

会報『ひきこもり周辺たより』2024年12月号
ほとんどの親は子どもの幸せを願うもの。今回はでもそれは母親自身の価値観や思い込みから来ていないだろうかというお話です。
私自身も全くそんなことはなかったとは言い切れない気がします。
「風と共に去りぬ」ご存じですか? 
不朽の名画と言われているこの作品はアメリカの女流作家マーガレット・ミッチェルが書いたベストセラー小説の映画化です。
彼女は大作の後は一作も発表できなかったとか。青年心理学の界隈では彼女と母親との関係の論文が近ごろ何篇か出ているようです。
それらの内容では、彼女は母親の影響を非常に大きく受け、この作品の中にも彼女の人生がいろいろとちりばめられているのだそうです。
南北戦争を生き延びた母は当時の婦人参政権獲得運動をしていて、「女性でも自立した生き方をするべきだ」と、彼女に医者になるように強く勧めていたそうです。
もともと文学少女で理系の苦手な彼女はそんな母の希望になかなか追いつけない自分にどんどん自信を失っていったようです。
やっと医学校に入った後、母親が亡くなると学校をやめて自宅に戻ってしまったとのこと。本当に向いていなかったのかもしれませんね。
その後タガが外れたように遊んだ時期もあり、一人目のちょい悪の夫と結婚したのですが、彼はちょい悪どころではなく2年後に離婚しました。
そして新聞社に勤め、2度目の結婚をしました。この夫に出会ったのが彼女の大きな転機となったのです。
ある時けがをして動けないときに夫がせっせと本を借りてきてくれ、「そんなに本が好きだったら自分で書いてみたらいい」と勧めてくれて、この作品を書きだしたそうです。
この作品の中には彼女自身がいろいろと込められているようです。
主人公のスカーレット・オハラは気の強い、行動力のある女性で、自信の無かった彼女とは真逆の設定でした。
これが彼女の、もしかしたら母親の理想像だったのかもしれません。
でも最後にスカーレットはすべてを失う。そんな設定も何かを暗示していたようです。

この大ベストセラー作品を生み出した後、いくつものオファーがあったにもかかわらず次の作品を書くことができなかったそうです。
本当の自分と違う姿である、母親が理想とした人間像を自分の理想としなければならなかったマーガレット。
母の求める理想像には及ばないという劣等感は、思いがけず大ヒットしてしまった作品の後にまた書くという自信は到底持てなかったのかもしれません。
「社会的に成功した女性」という母の理想像に障害苦しめられた事例、「母親の条件付きの愛情」という観点から研究材料として取り上げられているのです。
これは顕著な例として取り上げられているのですが、これほどではないにしても子どものためによかれと思ってしていたことや言っていたこと。
はて、自分はどうだったのかと考えてしまいます。

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