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支援を受ける側ではなく人に役立つことをしたい

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支援を受ける側ではなく人に役立つことをしたい

自ら訪問活動をするなどひきこもり青年の相談をしているAさんが来ました。
母子家庭のお母さんから、ひきこもっている30代の息子を外に出るようにしたいと相談を受けています。
お母さんがこれまでいろいろな人を連れてきたのですがすべて拒否されています。
Aさんは「どうすれば息子と会えるのか、何か秘策でもないか?」と尋ねてきたのです。
ここを少し話します。
ひきこもっている本人が家族以外の人と会う決定的な方式は知りません。
とても一般論の方法はいえません。私が知るいくつかの実例から紹介します。
(1)母親が病気で寝込んだとき、自分が買い物に出かけた人がいます。
近所で火事があったとき、手伝うつもりで外に出た人がいます。
家の前で交通事故があり、自分から救急車と警察に電話をし、目撃情報を話した人がいます。
これらを「不幸な出来事がきっかけに動いたタイプ」と考えます。
私が腰痛で寝込んだとき(通常の外出しないタイプではありませんが)自分の役が回ってきたように動いた人がいます。これも近いでしょう。
(2)不登校情報センターで「不登校・ひきこもりと対人不安のある人」に文通を進めています。
そこに参加しようとする人の中に“文通ボランティア”希望者が少なからずいます。
希望者には、不登校の経験者、いじめを受けた体験者などわけありの人が多いのです。
残念ながらこの“文通ボランティア”はうまい活動レベルには到達していません。
それでもここに見られるのは、自分の経験を役立てたいという指向があるように見えます。
(3)動き出したひきこもりの働き方の特徴的な傾向に、対人サービス的な仕事は多いと思います。
ひきこもる子どもや青年への訪問活動をするトカネットのメンタルフレンドには元不登校生やひきこもり経験者がいます。
いい働きかけをするタイプが多いのです。
介護や整体などをめざす人もこの対人サービス的な仕事です。
とても丁寧に関わろうとする特性が生きている仕事になると思います。
このグループは、家族以外の人とは会おうとしないひきこもり状態の人との接触方法ではありません。
気質や性格特性をよく表している例になります。

振り返ると私はこれまでに50人以上の人の自宅への訪問活動をしています。
その中には20回以上訪ねながら一度も顔を見ることなくついに終了した人もいます。
ある時期から“強敵ひきこもり”の面会作戦を取り入れたのですが、この場合はそれを省略していました。
“強敵”認識がなく、比較的すぐに会えると考えていたのです。
必要なスタンスは、「支援を受ける対象者にはなりたくはない。できれば役に立つことをしたい気持ちがある」を尊重し、理解し、具体的な方法を引きだすことではないかと思います。
訪問者が思いついたことを提案しても空振りになるか、よくわかっていない人と思わせることになります。

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