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所有意識からシェア意識への変化

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所有意識からシェア意識への変化

存在の仕方の変化が意識を変える

社会経済の背景事情は人々の考え方や気分、そしておそらく生活習慣さえも徐々に変えていくようです。それを説明したのがこちらです。(内山節『半市場経済―成長だけではない「共創社会」の時代』、角川新書、2015年)。 「消費社会研究家の三浦展(みつうらあつし)は、「若者たちもはや所有に対して期待感を抱かず、疲れのようなものすら感じている」と指摘する(『マイホームレス・チャイルド』文春)。若者たちがさまざまな物事を「シェア=共有」することに楽しさを見いだす姿には、個人による「時間の私有」よりも、他者の「時間の共有」に価値をおく感情が見いだされる。 彼らのコミュニテイや田舎暮らしへの関心も、このような意識の表われのひとつだろう。内閣府が2014年6月に行った世論調査によると、都市部に住む人の31.6%が、農山漁村に定住してみたいと考えているという。この数字は2005年の約1.5倍だ。世代別では二十代が38.7%と最も高く、…これは大変大きな数字だ。 この背景のひとつに、人間を交換可能な商品としてとらえる近代的労働に対する、若者たちの拒絶があるように思う。…そのような地域でこそ、「自分の役割」としての仕事を見いだし、人間的な関係を大切にする暮らしを実現できるという期待があるのではないだろうか。…それは新しい時代の「生き方=働き方」の模索でもある。」(129p、この部分=第3章の筆者・杉原学)

親世代の中に、社会のこの大変化を感じられず、子どもには正社員の就職以外は認めないとか、そういう道から外された状態を子どのもの能力や努力の不足と考えて親子間や家族内の“考え方や価値観の違い”としたことが、ひきこもりの理由になる場合もあったことは確かです。 私が親たちから相談を受けた例を考えると、親たちは善意であったし、子どもの将来を考えていたためといい得るでしょうが、社会の変化を理解していなかったし、親世代がそういう社会をつくりだした(少なくとも見過ごしてきた)意識に欠けていました。

社会の変化による人の変化が、特に考え方やそれを生み出す気持ちの変化が描かれています。それは若い世代から表われるのですが、おそらくは子ども時代にその萌芽はあると見なくてはならないでしょう。 当然このような変化は、さらに進むものです。しかし、これまでに先行的な状態があったと見なくてはならないでしょう。現状においても模索状態でありますが、先行的な状態のなかに対人関係、時間関係、所有関係等に関するいっそう混沌とした時期があったと推測されます。ひきこもりはその表われ方の1つと考えられます。それはなお現在進行形でもあります。 自由を使いこなせない 自由を獲得した個人は、その自由のために格闘することになる。少なくともそうせざるを得なくなる人は少なくはない。安定している社会規範にそのままスッと入っていた人が、今や自分でその入り方を選ばねばならなくなっているのです。 これが大きな問題になる人は少なからずいます。戸惑い、躊躇し、怖れ、自由であることに不安を感じ、自由を不自由に感じてしまします。そのうちのある傾向は責任を感じます、その程度は自分に背負えないほどの責任を感じます。他方では、自由を回避する手段に、これは多くは無意識のうちと思いたいですが、移行します。この両極の2つの傾向はときに瞬間移動するのではないかと思えるほどになることがあります。これには個性があるようですべてがそうなるのではないようです。ある人は自由である責任に圧迫され、別のある人は自由を回避し、一見無責任な行動をあらわにし、さらにある人は両方を使い分けるように移動してしまうのです。 こういう過程を通して、人間は自由を獲得した個人に成長する、すなわち発展するのです。自由を手にすることは、多くの人にとってはなんでもない、新たな利益を身に着けるみたいに見えますが、そうではない人も少なからずいることを了解してかからなければならないのです。 『ひきこもり国語辞典』にも少しそこが出ています。 責任感:「責任ということばに潰されそうです。責任を感じすぎるので、責任あることはできないし、したくないです。責任感のない人が責任のある立場につき、責任感のある人は責任ある地位につけないと思うことがあります」

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