タバコ
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果物・野菜がスモーカーの救世主に? スウェーデンからの報告、喫煙者のCOPD予防に果物や野菜が有効
タバコが健康に及ぼす悪影響は計り知れない。
特にタバコの煙に含まれる有害物質は肺を直撃し、長年にわたり吸入すると肺に炎症を起こし、呼吸を困難にする。これが慢性閉塞性肺疾患(COPD)だ。
喫煙習慣のある中高年に発症する生活習慣病といえる。
このたびスウェーデンの研究グループが、喫煙者や元喫煙者の果物・野菜の摂取量とCOPDの発症リスクとの間に関係性が認められると、医学誌「Thorax」(2017; 72: 500-509)に発表した。
1日1皿分の果物・野菜増量でリスクは8%減
緑黄色野菜、りんご、梨といった果物や野菜に含まれる抗酸化物質は酸化ダメージから肺を保護し、COPDを予防する可能性があるといわれている。
研究グループは、スウェーデンに居住するCOPD歴がない45~79歳の男性4万4,335人を調査した。
喫煙状況により現喫煙者、元喫煙者、非喫煙者に分けた。
果物・野菜の摂取量については自己記入式質問票を用いて評価し、COPD発症との関係を検討した。
平均13.2年の追跡で、1,918人にCOPDの発症が確認された。
解析の結果、喫煙者では果物・野菜の総摂取量が多いほどCOPDのリスクが低下するという強い相関関係が認められた。
一方で、非喫煙者ではこの関係は観察されなかった。
対象を果物・野菜の総摂取量で5つのグループに分け、10万人・年当たりのCOPDの年齢標準化発症率を比較したところ、果物・野菜総摂取量が1日に2皿程度の摂取量が少ないグループでは、喫煙者の発症率が1,166人、元喫煙者が506人だった。
これに対し、1日に5.3皿程度の摂取量が多いグループでは喫煙者で546人、元喫煙者では255人とほぼ半減していた。
果物・野菜の摂取量が最も多いグループは最も少ないグループとして比較して、喫煙者における発症率は40%低下し、元喫煙者では34%低下していた。
果物・野菜の総摂取量が1日1皿増加すると、COPDリスクが喫煙者で8%、元喫煙者で4%低下したという。
タバコを吸わないことが一番だが、食べることでCOPD予防ができる果物・野菜はスモーカーにとってまさに救世主といえそうだ。
〔あなたの健康百科編集部 2017年06月20日〕