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引きこもり等の支援団体意見交換会
〔2010年07月17日〕 7月14日、杉並区社会教育センターの「不登校・引きこもり等相談支援団体意見交換会」に出席しました。テーマでも意見交換の場でも、生活保護、障害者、発達障害に関することが多く、行政担当者や他の民間団体から周辺事情を聞くことができました。しかし、行政部局の異なる担当者間においても密接な連携を取るのは容易ではなさそうです。 その困難の一つが一人ひとりの状態が明瞭でなく、全体としては働けない、仕事に就けない、けれども病気なのか障害なのか判定しがたい状態によります。これはまた引きこもりと自立の中間的過渡的段階にいる人たちの状態でもあります。 行政部門のどの部局が対応するのかわかりづらい、民間支援施設でもどこが対応しているのかわかりづらいのです。それが対応と支援の空白、遅れにつながります。それでも私の勘ですが、個別の部局においても、部局間の連携においても杉並区はまだ進んでいると思います。 行政の各部局の意見交換を民間の支援者を交えて行なう、このような非公式な形は大いに普及させたいものです。担当者個人の思いが同じでとは思いませんが、少なくともかなり実情に接近していることを民間の支援者に語る形で、他の部局の人にも伝えられる方法になるからです。役所間の公式の会議よりは具体的な様子を把握しやすいのではないかと思います。 生活保護が受給者にとって最初の社会福祉であり、同時に最後の社会福祉になっているという現実を弱点として聞きました。 会場で「杉並区被保護者自立促進事業実施要綱」をもらいました。そこには生活保護以外の多くの自立支援事業が並んでいます。就労支援、社会参加活動支援、地域生活移行支援、健康増進支援、次世代育成支援の5項目で分けられています。 たとえば「若年者社会参加支援活動費」は「義務教育を終了し、おおむね30歳以下のニート・引きこもり状態にある社会参加が必要な者で、福祉事務所長が認めた者」に上限9万6千円の支給額が示されています。 これらは東京都として共通するもの、区により異なるものなどがあり、適応の要件は個別に研究されなくてはなりませんが、生活保護以前に利用を考えていいものです。しかし、実際の運用状況を知るには、行政の関係者との接点がなくては利用は進まないでしょう――福祉の人も、相談を受け実情を知らないと該当するかどうかを考えられないでしょう。 縦割り行政の弊害を指摘するのは簡単ですが、それ乗り越えるのは情報交換であり、時にはプライベートな情報を交換しなければならないように思います。個別の具体的な状況をほとんど開示しないまま、あらゆる福祉制度の利用方法を知ることはできないはずです。 休憩時間に昨年7月に成立した「青少年総合対策推進法」の実施状況を、司会者に聞いてみました。ちょうど同じ日に東京都がその実施の説明会をしているということです。それによると地域単位に青少年自立支援地域協議会を設立します。 この日の意見交換会はこれに近いのかもしれません。行政部門と民間部門が同席すること、教育・福祉・保健・医療・矯正・更生保護、雇用その他の関連分野が対象になっていることがそう思わせます。 引きこもりの高齢化、その親の高齢化に伴う困難の解消策はこういうところからも考えられ、生み出されていくように思います。