ホームステイ先を5回変更したL 君
ホームステイ先を5回変更したL 君
(体験談10)当時者の状況
自営業の息子のL 君、25歳。
発達障害で引きこもりになってしまい、引きこもり歴は7年。
精神科に通わせ、何度も治療をしてもらったが効果がなく、父親からカウンセリングを依頼された。
国内カウンセリング期間:6か月
アプローチ方法
父親が同行して、来所。
雪駄(せった)とトレーナーを着てきたのにはびっくりした。
その後、家を訪問することになった。
彼の部屋(一階は仕事場で母親しかいない)は真っ暗で電気をつけず、サンドバック一つと、ステレオしかなく、それ以外の物はすべて壊れている。
そこで趣味の音楽の英語の歌詞の意味を教えてあげるということで阿相が英語を教える。
学力がとても低く、英会話を一字一句教えるのも大変だったことを覚えている。
本人が心の中で現状維持ではいけないと考えているとわかってきたので徐々に海外留学を勧める。
カウンセリング期間中、いつも食事は出前を母親に命じていた姿を見たので、厳重に注意したところ、母親が喜んだ。
父親はL 君にしかるという行為をしてこなかったからと考えられる。
L 君を海外留学させ、母親を楽にさせたいというのが父親の意図。
その気持ちを阿相が汲み、観光ビザでオーストラリアに行くことになった。
空港で待ち合わせをした時にはじめて来所した時と同じ格好で来たのは驚いた。
機内で今度は、小学生の女子グループにからんだ。
添乗員が来て、空港到着後、オーストラリア当局に逮捕されると伝えられた。
その間、阿相は彼がどのような態度に出るか見るため寝たふりをして観察。
本人は逮捕されるのが怖く、機内では一睡もできなかった。
何とか無事にオーストラリアに入国。
英語学校には適用できたが、滞在先のホストファミリーとは上手くいかず、5回ホストファミリーを変えた。
彼がいる間2度ほど阿相が訪問し、カウンセリングをしたが、語学力の問題ではなく、コミュニケーション能力に長けていなかったため、本人も自信喪失してしまい、帰国させることになった。
結局オーストラリアにいたのは5か月。
帰国後も何度か会うチャンスがあり、銀座で買い物をする機会もあったが、ブランド物を大量に買い込んだ。
5か月間オーストラリアにいて英語が上手になった自信があったのか、日本で民間の英会話学校に通い、現在はアルバイトで英会話教師をやっている。
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