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アイムのエジソン放課後デイ

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所在地 神奈川県川崎市
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ページ名 アイムのエジソン放課後デイ 神奈川県川崎市(発達障害のニュース、  )
”イケてる福祉施設”を作れば、障害者が「かわいそう」なんて誰も思わなくなる 唐突だが、誤解を恐れずにいえば私は普段から「日本の福祉はダサイ、ダサイ」と言っている。
それに関して最近ちょっとおもしろい出来事があった。
開成・灘ら名門男子校教師の提言「くそばばあ」と言われたらこう答えよ 社会福祉学ジャーナルという業界紙があるのだが、それに私のこの「ダサい」が一冊は引用で、もう一冊は文章で掲載された。
知り合い以外にも、「福祉のダサさ」に問題意識をもっている方がいてうれしい限りだ。
実際に仲の良い福祉の経営者はみんな福祉の現状を打破するために「かっこいい福祉」を運営している。
ということで、今回は「なぜ福祉がダサくてはいけないのか」について書いてみる。
また同時になぜダサくならざるをえなかったかの業界的な構造についても触れておく。
息子を預けたいと思う施設がなかった
佐藤氏が運営する、アイムのエジソン放課後デイ
私自身は高卒で小さな会社を転々としながら最後はヤフー・ジャパンを経て東京ガールズコレクション関連のプロデューサーとなった。
だから私自身は福祉業界とは一生縁がないと思っていたし、ましてや学会などというアカデミックなお堅いところとは縁がないと思っていた。
そんな私が川崎市で発達障害の福祉施設であるアイムの放課後デイを6年前に始めた理由は単純だ。
アメリカから引っ越し、自閉症の息子(現在20歳)を近所の福祉施設に預けようと見学をした際に衝撃を受けたからだ。
いろいろあって町田市と川崎市にある放課後デイを数カ所見学したのだが、正直気分が沈んだ。
日本の福祉業界はなんとなく地味だなという印象はもっていたが、実際に見学してみると地味を通り越して、まったくつまらなかった。
何がつまらないかというと「空間」とそこで働いている「人」の両方がである。
とてもじゃないけれど14歳の息子をこんなところに預けたいとは思えなかった。
それで6年前に自分でアインシュタイン宮前平をスタートさせたのがはじまりだ。
このアイムの起業の経緯は様々な福祉的な分野で活動している人たちが登場する本として2019年に出版された『ソーシャルアクション! あなたが社会を変えよう! 』に寄稿している。
この本を取りまとめてくださったのが、武蔵野大学の社会福祉学科教授の木下大生氏なのだが、今年の初めに入り彼からこんな連絡を頂いた。
「社会福祉学」2020年11月号に私の書いた章が引用されているとのことだった。
なんでも立命館大学生存学研究所の三島亜希子さんという著名な福祉分野の研修者の方が私の文章を引用してるとのこと。
私は興味本位でさっそくそのジャーナルを取り寄せてみた。私の文章の下記の部分が引用されていた。
<佐藤典雅が、子どもが自閉症児であったことから放課後等デイサービスを立ち上げたきっかけが心に残った。
「うちの息子をダサい福祉施設に入れるのは忍びない」というものである。
「飾りっ気のない白い壁に貼られている折り紙の工作と、やたら多い注意書きの手書きサイン(中略)さらにはノーメイクで髪がパサパサの地味なスタッフ。そこにはセンスのかけらもないと感じた」アメリカの福祉サービスを見た彼には「受け入れ難かった」という。
些末なようだが、研究者が指摘しづらい日米の違いに何かヒントが隠されているのかもしれない。>社会福祉学(Vol61-3 No135 / 2020年11月号)
障害者のステータスを上げたい アイムのダヴィンチ放課後デイ
日本の福祉施設に衝撃を受け、私がアイムの放課後デイを始めた時に考えたことがある。
「なぜ障害者にはかわいそうなイメージがつきまとうのか?」
たどりついた答えは「障害者がかわいそうにみえる場所に通っているから」である。
だから逆に「健常者がうらやましいと思える」福祉施設をつくれば、障害者のステータスが上がると思い、そんな福祉施設を目指してこれまで作ってきた。
アイムにはほかの施設にはない、楽しい仕掛けをたくさん施している。
実際にある日、教室の入り口付近で見知らぬ親子がウロウロしていたので声をかけてみた。
そうしたら「ものすごく楽しそうな教室なのでどうやったら通えるのかなとおもいまして」といわれた。
「すみませんね、実は福祉施設なので障害手帳がないと利用できないんですよ」と説明した。
でもこの時に内心「しめた!」と思った。
普通の子があこがれる施設をつくれれば、そこに通っている生徒たちのイメージは確実によくなる。
実際にアイムに遊びにきてくれる私の友達も「うちの子も通えたらいいのに」と口を揃えて言ってくれる。
アイムでは教室をつくる時に、まず最初に「自分がそこで長い時間過ごしたいと思えるか」どうかを考える。
そこで時間を過ごしたくないのであれば、うちの息子も、他の生徒たちも過ごしたくないだろう。
もとともとは息子のために始めた福祉なので、例えフランチャイズを始めて全国展開したところで、自分の息子が教室で楽しめなければ意味がない。
というわけではアイムは最初から「規模」ではなく「質」を目指してきた。
キレイだから儲からない?練馬区にあるたまみずき代表の櫻井元さん 私の仲良しで都内で「たまみずき」放課後デイを運営している櫻井元氏は、私が福祉に参入した時にいろいろと福祉業界のイロハを教えてくれた人物だ。
そんな彼がアイムの教室を見て「空間に投資をする価値はありますか?」と聞いきてきた。
私は「もちろんです!」と答えた。
なぜこんな質問が出てくるのかというと、福祉施設というのは、施設にお金をかけようがかけまいが売り上げは変わらないからである。
実はこれが福祉の最大の矛盾であり闇を誘発している部分でもある。
福祉施設というのは行政により1単位(1施設)定員10名と決められている。
よって教室が設備にお金をかけようが、ボロボロの教室であろうが、売上が全く変わらないのだ。
普通ならば、人気のないお店よりも人気のあるお店の儲かるのは当たり前だ。しかし福祉は違う。
どの施設も1日の利用者人数(定員)が同じ人数に定められている。
だからどんなに人気のある福祉施設であっても、そうでもないところより売上げが2倍ということは絶対にありえない。
もしどこの福祉施設も売上の額が同じであれば、コスト削減しか利益率を上げる方法はない。
つまり福祉業界においては設備に再投資をするモチベーションが働かなくなる。
アイムでは空間だけでなく生徒たち用のVR、パソコン、ゲームなどに相当な再投資を行っている。
見学者からは「アイムさんこんなにキレイで儲かっていますねー」と言われるが、私はその都度「キレイだから儲かっていないんですよ」と説明する。
そしてここからが肝心な話なのだが、実は福祉には主に二つの極端な業者が存在する。
一つ目は施設がボロボロであるがゆえにボロ儲けしている業者だ。
すべてのボロボロな施設が高利益率で運営しているとまでは言えないが、こういった業者は存在する。
二つ目は経営手腕がボロボロがゆえに福祉施設がボロボロになっている場合だ。
このパターンは特に、非営利であるNPOや社会福祉法人(社福)に感じている。
「非営利」は法人税がかからないため、なかにはその分まるまる株式会社よりも潤っている可能性もある。
ここが福祉業界の最大の矛盾なのだが、全く同じ規定で全く同じサービスを提供しているのに、株式会社として運営する施設には利益に対して約30%の法人税がかかり、NPOや社福には法人税がかからない。
これはキャッシュフローの観点からみると雲泥の差がある。
それなのにこの社福とNPOが運営する施設がボロボロの場合が多数ある。
この場合、ありがちなのは経営マネージメントが弱いためだと私は分析している。
例えば無駄なコストが垂れ流しだったり、資金と人材の経営管理能力が弱いケースだ。
しかしこれは仕方のない話で、「非営利型」には資本主義的な競争原理を嫌って福祉業界に入ってきた人たちが運営している場合が多い。
よって福祉はサービス業であるという意識が薄かったり、競争するための危機管理が弱かったりする。
また硬直化している福祉業界しか経験していないため、広い視野で問題意識を持てていない。
そのため極端に効率のわるい業務フローや組織体を形成するスパイラルに陥り、それに気が付かないケースが見受けられる。
施設を運営するために行政が定める規定より2倍多くのスタッフを配置しないと業務が回らないところもなかにはあるくらいだ。
これがコスト垂れ流しの主な原因だと私は分析している。
また社福の場合は、立派な「箱」を持っているものの、それを有効活用してより利益を上げようという発想が乏しい。
建物はやたらと広いのに、半分からっぽという施設を見たことがある方も読者のなかにいらっしゃるかもしれない。
経営のマネージメントが弱い福祉業者は別として、一般論でいうと、施設にお金をかけていない福祉施設の方が利益率は高い。
だから福祉施設をよりよくしようという競争原理も働きにくい。
時々寄付などを行っている財団の方々とお会いすることがある。
彼らに聞くと「かわいそうに見えるみすぼらしい福祉施設から優先的に寄付をしている」という。
私の実感としてはそれは逆だ。だから「それは逆ですよ、キレイな福祉施設にこそ寄付した方がいいですよ」と説明している。
利益率を減らしてでも施設に再投資している福祉施設こそ利益率が低いからだ。
スタッフも利用者も顔が輝いた。
たまみずきの面談ルーム。ビフォー&アフター
私が6年間福祉を運営してきて痛感したことがある。
「まともな業者ほどバカを見る」
多分これが福祉業界の最大の矛盾で、福祉業界の闇を誘発する一因でもある。
福祉学会にはここのところにもっと光を当てて、厚生労働省に働きかけてもらえたらいいのにな、と思っている。
とはいってもそれは非常に時間がかかる話なので、私としては自分ができる範囲で福祉改革を細やかに行っているところだ。
先ほどの話にでてきた「たまみずき」の櫻井さんに話を戻す。
彼は別に儲けたくてそんな質問を私にしたのではない。
単純に「福祉施設をもっと楽しくできる」という視点がなかったので、それに気づいていなかっただけなのだ。
そんな彼からの依頼で、「たまみずき」放課後デイのリノベーションに協力した。
もともとは半地下にあり、教室全体が薄暗かった。
使い古したゴムマットレスに軋んでいる折り畳みテーブル。
そんなスペースを明るい色の壁と床に変えて、明るい色の家具を入れた。そして照明を大幅に増やしていった。
実際に完成した教室にスタッフが入ってきて顔色がパっと輝いた。
自分たちも明るい雰囲気の教室で働けることがうれしかったのだ。
もちろん新しい教室をみた生徒の保護者も喜んでくれた。そして当然ながら生徒たちがワクワクした表情になった。
後日櫻井さんからこういわれた。
「見学にくる生徒保護者の反応が全くちがうんですよ! こんな楽しそうな教室にうちの子を通わせたいといってくれるんです。
初めての場所が苦手な自閉症の生徒さんも、すぐにそのまま教室に入って遊んでくれます」
というわけで、これが「教室に投資する価値はあるんですか?」に対する彼自身の答えだ。
もちろん利益率が増える話ではないのだが、より質の良い福祉サービス提供をするうえでは十分意義のある話だと思う。
そもそも福祉施設の報酬は納税者からの税金によって支払われている。
だからそれを納税者である利用者に還元することが「正しい税金の使い方」ではないかな、と考えるこの頃である。
佐藤 典雅(株式会社アイム代表取締役)
〔2021年5/16(日) 現代ビジネス〕 

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