シェアハート
シェアハート
所在地 | 熊本県熊本市中央区 |
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shareheart3@gmail.com |
発達障害、仲間と悩み共有 「シェアハート」発足8年に
発足から8年を迎える発達障害者の会「シェアハート」の月例会。
生きづらさを抱える人が、心を開いて話せる場となっている=10月、熊本市中央区
熊本県内の発達障害者でつくる団体「シェアハート」が、8日に開く例会で発足8年を迎える。
毎月の例会は、対人関係がうまく築けず生きづらさを抱える当事者が、心を開いて話せるよりどころとなってきた。
「発達障害の特性に苦しみ、孤独でいる人の力になりたい」。そんな思いで活動の輪を広げている。
「急にスケジュールを変更されるのがすごく苦手。コロナ禍で予定を立てづらく、不安が募った」
男性が告白すると、参加者が「いいね!」「分かる」と書いた紙を掲げた。
人前での発言が苦手な人のために作ったコミュニケーションカード。共感を示し、安心して話せる環境をつくり出す工夫だ。
設立メンバーの井上裕介さん(36)=熊本市=は「良い所を褒め共感し合うことで、受け入れてもらえたという自信につながる。
自分を変える大きなきっかけになる」と語る。
井上さんは大学卒業後、社会福祉士として高齢者施設に就職。
しかし、入所者との意思疎通がうまくいかず、同時に複数をこなす仕事にもついていけずに1カ月で退職を勧められた。
その後、アスペルガー症候群と診断。「子どもの頃からコミュニケーションが苦手で、生きづらさに悩んできた。障害を知って自分のせいではなかったと思い、すっきりした」と振り返る。
ただ、周囲に同じ障害の人は見当たらず、悩みを打ち明ける場もない。「仲間と出会いたい」との思いから2012年11月、シェアハートを立ち上げた。月例会は毎回20人程度が参加する。
発足時から通う今坂祐太郎さん(33)=菊陽町=は小学生の頃からコミュニケーションが苦手。仲良くなりたいと思うほど余分な発言をし「しつこい」「うっとうしい」と毛嫌いされた。「場違いな発言で嫌な空気になった過去がフラッシュバックし、今でも苦しい」と打ち明ける。
江上房孝さん(31)=熊本市=は突然の大きな音が苦手で、運動会のピストル音や避難訓練の火災報知機の音に驚く度[たび]、周囲にばかにされた。冗談が通じず、ちょっとしたからかいも真に受けてしまい周囲から疎まれた。
メンバーの多くは自分に自信が持てず、人との関わりを避けてきた。職場でも孤立し、長続きしないなどの課題を抱えるが、シェアハートに通うことで「自分が変われた」という人は多い。
今坂さんは人との距離感がつかめなかったが「話を聞いてもらえることで、徐々に自分をコントロールできるようになった。自分自身と向き合うことを知った」。江上さんも「同じ悩みを持った人と出会い、発達障害者のいろんな特性を知ることができた。コミュニケーション能力が改善した」と話す。
月例会は新型コロナウイルス感染拡大で計4カ月間開けなかったが、再開を求める声が相次いだ。井上さんは「一人一人のニーズに応えようとこだわってやってきた。それぞれの長所を伸ばし、生かせる場としてこれからも仲間を増やしていきたい」と意欲的だ。(福井一基)
〔2020年11/9(月) 熊本日日新聞〕
発達障害の当事者会「シェアハート」が50回目例会
発達障害の当事者会「シェアハート」が8日、50回目の例会を熊本市西区のくまもと森都心プラザで開いた。
高機能自閉症やアスペルガー症候群などがある県内外の当事者と支援者26人が、社会参加へ向けた就労の悩みなどを語り合った。
同会は2012年11月、18歳以上の当事者らを対象に発足。同じ障害のある人同士の交流の場として月1回の例会を開き、活動してきた。
この日は4年間の歩みを全員で振り返る内容。
県北の男性(25)は会への参加をきっかけに、アスペルガー症候群の診断を受けたことを告白。
「高校時代、学校活動の仲間ともめることもあった。
参加して自分のことが分かり、吃音[きつおん]も減った」と話した。
障害者の就労について、就職している男性は「自分の特性に合った仕事が必ずある」とエール。
就労移行支援事業の利用を検討している熊本市の男性(23)は「企業の障害者採用枠をもっと増やしてほしい」と訴えた。
発足時から支援しているキャリアコンサルタントの金子洋子さん(61)=熊本市西区=は「相手に理解してもらうために、自分の得意分野や苦手なことを表現できるようになってほしい」とアドバイス。
同会役員の井上裕介さん(32)=同市中央区=は「安心できる居場所を作り、当事者の社会参加を促していきたい」と意気込んだ。
(林田賢一郎)
〔2017/1/9 熊本日日新聞〕