ピアサポート加算
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障害報酬改定でB型にもピアサポ加算 就労計の成果主義を修正へ
厚生労働省は2021年度の障害報酬改定で、就労系サービスの成果主義を修正する。
18年度改定で就労継続支援B型事業は、利用者が受け取る月額の平均工賃が高いほど事業所への報酬も高くする体系に改めた。
21年度改定では平均工賃にかかわらず一律の基本報酬とする新体系を設ける。障害者が職員として利用者を支える「ピアサポート」も加算で評価する。
事業所は二つの報酬体系のどちらかを選ぶことになる。就労継続A型も評価指標を五つに増やし、労働時間を重視した成果主義を修正する。
厚労省は年内に大まかな見直しの方針を固める。
18年度改定は成果主義の色が鮮明で、B型事業所からは「安定して働くことの難しい人を受け入れると事業所の評価が下がるのはおかしい」とする反発が相次いでいた。
厚労省が12日の「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」に示した新体系では「利用者の生産活動への参加支援」を一律の基本報酬で評価する。
障害者が社会参加しやすい環境をつくることを重視し、「ピアサポートによる利用者の不安解消」「独居高齢者の生活支援など地域社会への貢献」をそれぞれ加算で評価する。
ピアサポートの加算をめぐり、厚労省は「地域移行支援」など五つのサービスに限って導入する方針だったが、B型事業の新体系にも同じ条件で導入する考えに転じた。
一方、18年度改定による現行の報酬体系については、平均工賃の額が高いB型事業所の基本報酬を引き上げる方針。新体系に設けるピアサポートなどの加算は設けない。
■A型は5指標で評価
雇用契約に基づいて働く就労継続支援A型事業も、成果主義の路線を微修正する。
18年度改定では1日の平均労働時間の長い事業所の基本報酬を手厚くしたが、21年度改定では労働時間の長さに加え「生産活動の収支」「短時間勤務など多様な働き方の整備」など計五つの指標について点数化する。
事業所の基本報酬は、この5指標の点数の合計で決める。
A型利用者全体に占める精神障害者や40歳以上の割合が増えたことを受け、「利用者が長い時間働いて稼ぐこと」だけを事業所の評価基準とする考えを改める。
検討チームのアドバイザーからはA型について「五つの指標それぞれ客観的に点数を付けられるのか」、B型については「現行の報酬体系を選んだ事業所では居づらくなる障害者が出るのでは」といった懸念が上がった。
■二つの報酬体系へ
B型事業には、より高い工賃を目指すことに重きを置く「現行型」と、社会参加を促すことに重きを置く「新型」の二つの報酬体系ができる見込みとなった。
事業所が約1万3000カ所、利用者が約26万5000人に膨らんだB型事業は、大きな転機を迎える。
事業所にこの二者択一を迫ることになるが、どちらも大切な価値を目指すものだけに、選びにくいだろう。
例えばピアサポートは、新型を選んだ事業所では加算が算定されるが現行型だとされない。
「稼ぐこと」と「ピアサポートによって通いやすい雰囲気をつくること」が対立するかのように読めるが、実際は両立する。
その実例とも言えるのがシャロームの家(横浜市磯子区)だ。
B型事業所で、主に精神障害者が通う。13人の職員のうち7人が精神疾患の経験者で、「ピアスタッフ」と呼ばれている。
2019年度の平均工賃は月額2万4381円。全国平均の1万6369円を大きく上回る
。
運送会社から委託されてメール便を配達する佐藤友昭さん(49)は、発達障害のあるピアスタッフ。
効率的な配達ルートを組むのが得意で、昼食休憩中も利用者からの相談に応じる。
事業所全体として「高い工賃」と「気軽に話しやすい雰囲気」の両方を提供しているが、厚労省案によると、事業所は一度選んだ報酬体系を3年間は変更できない。
シャロームの家のサービス管理責任者で、ピアスタッフでもある堀合悠一郎さん(42)は「相談対応にたけている人、生産活動をリードすることにたけている人などピアスタッフもさまざまだ。
ピアサポートの多様性を反映した報酬改定にしてほしい」と話す。
検討チームのアドバイザーからも「ピアサポートの加算はなぜ新体系だけなのか」といった疑問の声が上がっている。
〔2020年11/27(金) 福祉新聞〕