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DV

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DV

知っていますか? 親のDVが子どもに与える悪影響
DVは夫婦間の問題だと思われがちです。
でも、子どもたちも様々な形で暴力に巻き込まれています。
◆DVは子どもに大きな影響を与える問題
DVは「夫婦間の問題」だと思っていませんか? でも、子どもにとっては「両親間の暴力の問題」。
決して無関係ではなく、今も多くの子どもたちが家庭の中で、日々暴力にさらされながら育っています。
DVと虐待は、密接に関わり合っているのです。
内閣府の男女間における暴力に関する調査報告書(平成30年3月)によると、
3人に1人の女性が配偶者からDVを受けた経験があり、7人に1人の女性が継続的にDVを受けており、20人に1人の女性が命に危険を感じるほどのDVを受けたことがある、とのことです。
女性から男性へのDVもあります。
しかし、9割以上の被害者は女性です。
また、体格差や経済的に自立することの難しさなどから、女性が受ける被害の方が深刻なものになりやすいという現状があります。
子どもがいる家庭の場合、子どもはDV被害に否応なく巻き込まれます。
当然、暴力の影響は、子どもにも及びます。
◆DVの本質は「支配とコントロール」
DVというと「身体を傷つける暴力」をイメージする方が多いかもしれません。
しかし、心や、人としての尊厳を傷つけることも「暴力」です。
DVにはいくつかの種類があり、多くの場合、複数の種類の暴力が組み合わされています。
身体的な暴力は、他の暴力を使ってもパートナーが思い通りにならなかった時に、最終手段(見せしめ)として行われることが多いようです。
舌打ちや眉毛の動かし方ひとつで、相手を支配しコントロールできるのであれば、身体的な暴力は必要ないからです。
DVの本質は「支配とコントロール」なのです。
「夫が帰ってくる時間になると、今日の機嫌はどうだろうかと心配になり、緊張する」「文句を言われるのではないかと、いつもビクビクしている」というのは、DVを受けているサインです。
このような親の態度からも、子どもたちは両親の不均等な力関係を感じ取り「暴力を学習」していきます。
子どもに影響を与えるのは、身体的暴力の恐怖だけではありません。
さまざまな暴力によって生じる夫婦の関係性(力関係)のあり方を学習させてしまうことも大きな問題なのです。
以下に心当たりがないかどうか、チェックしてみましょう。
1つでも思い当たることがあるようであれば、要注意です。
■社会的暴力(行動の制限)
実家に行かせない、許可なしに行動させない、1日の行動を細かく報告させる等
■精神的暴力
人前で侮辱する、脅して言う通りにさせる、何時間も叱責する、舌打ちしてにらむ、無視する等
■経済的暴力
生活費を入れない、働かせない、借金を背負わせる、レシートを細かくチェックする等
■子どもを利用した暴力
子どもを危険な目にあわせる、子どもを傷つけるとほのめかす、子どもを取りあげると脅す等
■性的暴力
むりやりセックスする、むりやりポルノを見せる、避妊に協力しない等
■身体的暴力
殴る、蹴る、叩く、物を投げつける、首を絞める、煙草の火を押しつける、眠らせない等
DVは、「緊張蓄積期(イライラがたまっていく)」→「暴力爆発期」→「解放期(謝ったり、優しく接したりする/解放期がない場合もあります)」といったサイクルを繰り返しながら、次第にエスカレートしていきます。
しかし、これは病気でも、火山の噴火のような自然現象でもありません。
DV加害者は、暴力をふるう相手や場所を「選んでいる」からです。
結婚、妊娠、出産などで、女性が逃げ出しにくい状況になった時に、DVが始まったり、急激にエスカレートすることは少なくありません。
◆子どもの巻き込まれ方
DV家庭に育つ子どもたちは、様々な「暴力への巻き込まれ方」を体験しています。
■ 加害者からの暴力
DV加害者が子どもにも暴力をふるっているケースは少なくありません。
殴られている親をかばおうとして、一緒に殴られることも多いようです。
DV家庭では、子どもが加害者から性虐待を受ける確率が高いという報告もあります。
■ 被害者からの暴力
暴力は「より弱い者」へと簡単に連鎖します。
DV被害を受けている親から「お前のせいだ」と殴られたり、心に深く傷を残すような暴言を吐かれたりといったことがあります。
あるいは、DV被害を受けて抑うつ的になった親から放っておかれる(ネグレクト/育児放棄)といった形で現れる場合もあります。
■ DVの目撃
児童虐待防止法では、DVを目撃させることも「児童虐待」であると定義されています。
DVを目撃して育った子どもたちは、暴力を受けて育った子どもたち(被虐待児)と同じような症状をあらわします。
たとえば、頭痛、腹痛、夜泣き、夜尿、夜驚(夜中に飛び起きて叫び声をあげる)、うつ症状、情緒不安定、無気力、無感動、親への憎悪、などです。
また、不登校や、他の子へのいじめ、落ち着きのなさ、自傷行為、摂食障害、といった問題行動の背景に、親のDVがあることも少なくありません。
◆DV家庭で育った子どもたちの生きづらさ
幼い子どもは、自分の周りで起こることを「自分のせいだ」と思ってしまいやすい傾向があります。
そのため、両親の不仲についても自分を責めてしまいがちです。
また「被害を受けている親を守れない自分」に罪悪感や無力感を持ちます。
そうした気持ちは子どもの自尊心に、長いあいだ影響を与え続けます。
DVの加害者は「お前が悪いから」「愛があるから」と、自分の暴力や暴言を正当化します。
また、子どもたちは「両親が愛し合って、自分が生まれた」と信じたいものです。
そのため、暴力と愛情の見分けがつかなくなり、思春期以降、親密な関係を築きにくくなるなど、対人関係に困難を抱えることが少なくありません。
父親によるDVがある家庭で育つと、子どもは、「女が自分の思い通りにならなければ、男は暴力で言うことをきかせてよい」「男が機嫌の悪い態度を取れば、女は気を使うもの」といった、力関係を学習します。
男の子は父親を、女の子は母親を、いちばん身近なロール(役割)モデルとして成長しますので、男の子はDV加害者に、女の子はDV被害者になりやすくなります。
今年、twitterでは、#NotAllMen #YesAllWomen(全ての男性が暴力をふるう訳ではない。しかし全ての女性は暴力の恐怖にさらされている)というハッシュタグがタイムラインを賑わせました。
暴力をふるう男性1人1人が、それぞれ多くの女性を被害にあわせているからです。
そのような社会状況の中、女の子の場合は、DV男ばかりを渡り歩く、いわゆる「だめんずウォーカー」になりやすくなります。
男は暴力的な生き物だと思っているので、暴力をふるわない誠実な男性を「物足りない」「なにか裏があるのではないか」と思って遠ざけてしまうのです。
◆DV家庭に育つ子どもの気持ちを理解するための絵本
DVのある家庭で育つとはどういうことなのかをリアルに描いたノルウェーの絵本があります。
暴力が始まる前の「ひりひりするような緊張感」や、家族が暴力に巻き込まれる様子が、子どもの目線で描かれています。
子どものつらさやけなげさが、胸に迫ってくることでしょう。
「パパと怒り鬼―話してごらん、だれかに」というこの本では、主人公の少年の行動によって家族に変化が起こり、加害者の父親は「王様」のところで自分と向き合う努力を始めます。
「王様」は、日本でも少しずつ取り組みが始まっている「DV加害者更生プログラム」のことです。
DVは、暴力を振るう側の問題ですので、加害者が変わる努力をしなければならないのです。
苦しんでいる子どもたちに「だれかに話していい、助けを求めていい」というメッセージを伝える絵本でもあります。
◆DVに悩んだら
ひどい暴力を受けている場合、DV防止法により、加害者から逃げたり、子どもと新しい生活を始めるための支援を受けることができます。
危険を感じたら、すぐに警察や配偶者暴力支援センターに相談しましょう。
緊急性が高くない場合は、自治体の女性相談などを利用して、今後どうしていきたいのかなど、気持ちの整理をするといいと思います。
DVがあるからといって、すぐに離婚を勧められるわけではありません。
〔2019年2/21(木) All About福田 由紀子(子育てガイド)〕

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