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NOVEL

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教え子たちと知恵結集 丸いスーツケースを開発した元教員 [長崎県]
丸い形のスーツケースを開発した立川正昭さん
丸いスーツケース。ありそうでなかった代物を長崎県諫早市の元中学教員、立川正昭さん(49)が開発した。
「やっと来月から先行予約を受け付けられそうです」。
直径55センチ、幅34センチ、38リットルを収納できるケースの周りをゴム製タイヤが回る仕組み。
でこぼこ道や階段でも引っ張っていくことができ、タイヤの回転で発電、充電できるシステムも搭載する次世代のスーツケースだ。
2013年、幼稚園から高校までの一貫校を創設する夢を実現させるため、22年間の教員生活に区切りを付けた。
同年、不登校の小学生から高校生を受け入れるフリースクールを設立した。
無償で運営するスクールの手伝いに、かつての教え子たちが集った。
そのうちの1人から「授業で話していたスーツケースどうなりました」と問い掛けられた。
社会科の教師だった。地理の授業で撮影した動画を見せるため、20カ国以上を旅した。
そのたび、不都合を感じた。従来のスーツケースは4輪タイヤが雪に埋もれたり、古い街並みの石畳ではがたがたと騒音を立てたりした。
ドイツから帰国する飛行機で「丸い形のスーツケースがあればいいな」とひらめき、授業で話していたことを思い出した。
考案したデザインを教え子が動画サイトに投稿すると、大きな反響を呼んだ。
需要があると判断し、商品化に向け15年、長崎市に会社を設立。社名の「NOVEL(ノベル)」は斬新を意味し、スーツケースにはカタツムリを意味する「Snail(スネイル)」と名付けた。
いずれも教え子の案を採用した。
商品化が近づくにつれ業務も増し、今年4月、初の新入社員4人を採用。
全員、教え子だ。
「喜びはみんなで分け合いたい」
10万円を超える当初の販売価格の見積もりが悩みの種だった。
「そんな値では売りたくない。もうけより、多くの人に使ってもらいたい」。
この考えに賛同する業者が現れ、販売価格は7万円程度まで抑えることが可能になった。
商売人ではなく、あくまで教育者だ。
わたしの好きな偉人 長岡藩家老の河井継之助です。
幕末の武士でラストサムライと言われています。
高校時代に本を読んで以来のファンで、研究室にも写真を貼っています。
彼の座右の銘が「常在戦場」。
「いつやるの? 今でしょ」の精神です。
言葉の通り、目の前にあることに精いっぱい取り組みたいと思います。
〔2017/04/09 西日本新聞朝刊〕

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