CPAO
所在地 | 大阪府大阪市 |
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ページ名CPAO、大阪府大阪市、(子どもの虐待のニュース)
虐待防止 地域の力で 市民 各地で活動 行政と家庭の隙間埋める 子どもの虐待問題
東京都目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5)が虐待され死亡するなど、痛ましい事件が後を絶たない。
親や行政の責任を問うだけでなく、地域住民として問題の難しさと向き合い「自分たちにも再発防止のためにできることはある」と、地道に活動する人は各地にいる。
事件が連日報じられた6月上旬、都内の映画館で児童養護施設の日常を追った作品が上映されていた。
「私にもできることはあるでしょうか」。上映後はトークイベントが開かれ、客席から事件に触れた質問も出た。
イベントのゲストの一人で、孤立しがちな母子らを支援するNPO法人CPAO(しーぱお、大阪市)の代表、徳丸ゆき子さんは、「心ある人は地域にたくさんいる。手の届く範囲で始めれば、つながれるはずです」と語った。
シングルマザーの徳丸さんが活動を始めたきっかけは、大阪市のマンションで2010年、母親から置き去りにされた幼児2人が、餓死した事件だった。
徳丸さんは商店街に立ち、孤立する親らに「SOSを出してもいいんだよ」と呼び掛けるチラシを配り始めた。
「加害者になってしまう人と、育児や家事を抱え込んだ普通の親は地続きの存在。私だって追い詰められたら、ひどいことをするかもしれない。一人で抱えずに済む地域が必要」。
子ども食堂や短期宿泊の受け入れ、野外活動…。居場所づくりは発展してきた。
NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク(東京)の吉田恒雄理事長は、「虐待を生む背景は複雑で、行政や専門職だけでは予防策は立ちゆかない。従来、家族が担ってきた機能を、地域がいっそう引き受ける必要がある」と指摘する。
目黒の事件では、結愛ちゃんが香川県から東京都に転居し、児童相談所の連携の在り方が問題になっている。
「検証は必要だが、多くの児相の現場はあまりに忙しい。ノウハウが蓄積されにくい構造的な問題もある」と吉田理事長。
行政の手が回らない部分にも「住民が力を発揮して、行政と家庭との隙間を埋めることもできる」という。
そうした取り組みの一つが、16年にボランティアの市民らが行った、福岡市の児相サイトのリニューアル。
中心メンバーのデザイナー、田北雅裕さんは「多くの児相のサイトは専門用語が多い上、デザインも古い。ケアすべき人に情報が届きにくい」と感じていた。
ただ、児相にはサイト更新の予算もないことも知り、約100万円を募金で集め新デザインのサイトを作成、市に寄付した。
「児童福祉の分野は、個人情報の保護などが壁となり実情が見えにくい。でも批判や諦めで終わらせず、身近なことから始めると、地域でできることは少なくない」と田北さんは話す。
□子どもの虐待問題
虐待された疑いがあるとして、昨年1年間に全国の警察が児童相談所に通告した18歳未満の子どもは、6万5431人と過去最多になった。
大阪府岸和田市で2003年、男子中学生が餓死寸前で保護された事件など悲惨なケースも相次いで発覚。
東京都目黒区では今年3月、船戸結愛ちゃん(5)が虐待で死亡、東京地検は保護責任者遺棄致死罪で両親を起訴した。
〔◆平成30(2018)年7月4日 宮崎日日新聞 朝刊〕
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